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『フジロック』ベストアクト候補、「カトパコ」になぜ世界は熱狂する?
タンゴにステーキにサッカー……ヨーロッパとラテンの文化が混じり合うアンデスの麓、アルゼンチン。南米の果てのかの国に生まれたある2人の若者が、この夏、日本にやって来る。
2人の名はCA7RIEL & Paco Amoroso(カトリエル&パコ・アモロソ、以下カトパコ)。1993年生まれの2人組だ。『Tiny Desk Concerts』への出演、『Coachella 2025』での圧倒的なパフォーマンス、今年9月から始まるケンドリック・ラマーの南米ツアーのオープニングアクトに大抜擢、そして来たる『FUJI ROCK FESTIVAL ’25』への出演決定(山下達郎やVulfpeckといった実力派が並ぶ、2日目のGREEN STAGE!)をきっかけに、日本国内の音楽ファンの間でも、にわかに注目を集め始めている。
ギタリストの父を持ち、根っから芸術家肌のカトリエル。その幼馴染で、カトのクールな相棒であるパコ。
小さい頃から音楽に親しんでいた2人は、メタルのコピーバンドなどを経て、ファンキーなプログレバンド「Astor y las Flores de Marte」として活動を始める。しかし、アンダーグラウンドのバンド活動よりも、華やかな商業的成功を求めて方向転換。カトパコとして地道なリリースを続け、2019年にリリースした“OUKE”からじわじわと国内での評価を高める。コロナによる停滞期~ソロ集中期も挟みつつ、確実にステップアップを続けた。

アルゼンチン・ブエノスアイレス出身のカトリエル・ゲレイロ(CA7RIEL)とウリセス・ゲリエーロ(Paco)によるデュオ。2016年、カトリエルがソロのラッパーとしてキャリアをスタート。小学校時代から一緒に過ごしたパコがライブショーに加わる。2020年、コロナの影響により活動を中断、それぞれソロ活動に入る。2022年3月、2年ぶりに活動を再開。2024年4月にリリースしたアルバム『BAÑO MARÍA』が、Billboardの選ぶ「ベスト・ラテン・アルバムリスト」にランクイン。同年年10月、NPRの『Tiny Desk Concerts』に登場し、4カ月で2400万回以上再生され注目を集める。2025年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL ’25』に出演予定。
とりわけ、『Tiny Desk Concerts』への出演は2人にとって大きな一歩となった。すでにキャリアはあるものの、国際的には「新顔」と言っていいカトパコの2人が、この番組では、ベテランのようにリラックスしたパフォーマンスを披露した。
終演後、スタジオに置いてあった小さなボンゴを気まぐれに叩いてから去るカトリエルの姿は、大舞台にもかかわらず余裕たっぷりだ(もっとも実際には、彼らはこの日のために特別なアレンジャーとミュージシャンを雇い、かなり緊張して収録に臨んだらしいが)。コメント欄に溢れるメッセージはスペイン語、英語、日本語、ハングルが入り混じり、彼らの音楽が世界に向けて響き始めたことが可視化された。
そして、『Tiny Desk Concerts』とは打って変わって、『Coachella 2025』でのド派手でインパクトのあるパフォーマンス。特に、クライマックスに演奏された“EL DÍA DEL AMIGO”は感動的だ。2人が互いを見つめながら「お前とじゃなきゃ、ここまで来れなかった」と「Amigo(友達)」への感謝を歌うこの曲——この切なくも爽やかなテンションこそ、彼らの真骨頂と言えるだろう。
イントロの「パリラ、パリラ♪」という、Earth, Wind & Fireのようなコーラスで会場がシンガロングする一体感も素晴らしいが、『FUJI ROCK』でもこの光景は見られるのだろうか?