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「カトパコ」が世界的ポップスターへ爆進中。『フジロック』でも見逃せないその魅力とは

2025.7.1

CA7RIEL & Paco Amoroso『PAPOTA』

#PR #MUSIC

@cosquinrock1838

『フジロック』ベストアクト候補、「カトパコ」になぜ世界は熱狂する?

タンゴにステーキにサッカー……ヨーロッパとラテンの文化が混じり合うアンデスの麓、アルゼンチン。南米の果てのかの国に生まれたある2人の若者が、この夏、日本にやって来る。

2人の名はCA7RIEL & Paco Amoroso(カトリエル&パコ・アモロソ、以下カトパコ)。1993年生まれの2人組だ。『Tiny Desk Concerts』への出演、『Coachella 2025』での圧倒的なパフォーマンス、今年9月から始まるケンドリック・ラマーの南米ツアーのオープニングアクトに大抜擢、そして来たる『FUJI ROCK FESTIVAL ’25』への出演決定(山下達郎やVulfpeckといった実力派が並ぶ、2日目のGREEN STAGE!)をきっかけに、日本国内の音楽ファンの間でも、にわかに注目を集め始めている。

ギタリストの父を持ち、根っから芸術家肌のカトリエル。その幼馴染で、カトのクールな相棒であるパコ。

小さい頃から音楽に親しんでいた2人は、メタルのコピーバンドなどを経て、ファンキーなプログレバンド「Astor y las Flores de Marte」として活動を始める。しかし、アンダーグラウンドのバンド活動よりも、華やかな商業的成功を求めて方向転換。カトパコとして地道なリリースを続け、2019年にリリースした“OUKE”からじわじわと国内での評価を高める。コロナによる停滞期~ソロ集中期も挟みつつ、確実にステップアップを続けた。

CA7RIEL & Paco Amoroso(カトリエル&パコ・アモロソ)
アルゼンチン・ブエノスアイレス出身のカトリエル・ゲレイロ(CA7RIEL)とウリセス・ゲリエーロ(Paco)によるデュオ。2016年、カトリエルがソロのラッパーとしてキャリアをスタート。小学校時代から一緒に過ごしたパコがライブショーに加わる。2020年、コロナの影響により活動を中断、それぞれソロ活動に入る。2022年3月、2年ぶりに活動を再開。2024年4月にリリースしたアルバム『BAÑO MARÍA』が、Billboardの選ぶ「ベスト・ラテン・アルバムリスト」にランクイン。同年年10月、NPRの『Tiny Desk Concerts』に登場し、4カ月で2400万回以上再生され注目を集める。2025年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL ’25』に出演予定。

とりわけ、『Tiny Desk Concerts』への出演は2人にとって大きな一歩となった。すでにキャリアはあるものの、国際的には「新顔」と言っていいカトパコの2人が、この番組では、ベテランのようにリラックスしたパフォーマンスを披露した。

終演後、スタジオに置いてあった小さなボンゴを気まぐれに叩いてから去るカトリエルの姿は、大舞台にもかかわらず余裕たっぷりだ(もっとも実際には、彼らはこの日のために特別なアレンジャーとミュージシャンを雇い、かなり緊張して収録に臨んだらしいが)。コメント欄に溢れるメッセージはスペイン語、英語、日本語、ハングルが入り混じり、彼らの音楽が世界に向けて響き始めたことが可視化された。

そして、『Tiny Desk Concerts』とは打って変わって、『Coachella 2025』でのド派手でインパクトのあるパフォーマンス。特に、クライマックスに演奏された“EL DÍA DEL AMIGO”は感動的だ。2人が互いを見つめながら「お前とじゃなきゃ、ここまで来れなかった」と「Amigo(友達)」への感謝を歌うこの曲——この切なくも爽やかなテンションこそ、彼らの真骨頂と言えるだろう。

イントロの「パリラ、パリラ♪」という、Earth, Wind & Fireのようなコーラスで会場がシンガロングする一体感も素晴らしいが、『FUJI ROCK』でもこの光景は見られるのだろうか?

エモいバイブスだけじゃない。カトパコの快進撃の背景

彼らの魅力を列挙するなら、ピアスと刺青だらけのキャラ立ち充分なルックス、ジャンル雑食かつ美しいハーモニーを奏でるハイセンスな楽曲、音楽への愛と友情が一体となったバイブス——といったところだろうか。

最新作『PAPOTA』収録の“IMPOSTER”や“#TETAS”は特にわかりやすいだろう。SNSを介した急激な人気の上昇、自分たちを急速に飲み込もうとする「音楽産業」への戸惑いが描かれるこの2曲には、そんな彼らの魅力がたっぷりと詰まっている。

露悪的で皮肉っぽいジョークを好む一方で、ナイーブさの隠しきれない歌声——アシッドジャズからディープハウス、あるいは90’sボーイバンドのパロディーと、バックトラックの音楽的なギミックもいちいち芸が細かい。美しい歌心と、その照れ隠しのようなユーモアが同居する様子は『Flower Boy』(2017年)以降のタイラー・ザ・クリエイターにも重なるかもしれない。

そしてまた、彼らの人気には「追い風」がある。カトパコの熱狂を後押ししているのは、「ミレニアル・ラティーノ」とでも言うべき、新世代のラテン系 / スペイン語圏ミュージシャンの活躍だ。バッド・バニーを始め、カロルG、ラウ・アレハンドロ、J. バルヴィン、ロザリアなど。音楽メディアからTikTokまで、彼らの奏でる音楽は世代も言語も超えて、支持されている。

もちろん、ラテン系のポップスターは彼らが初めてではない。リッキー・マーティン、シャキーラ、ダディー・ヤンキーと、日本でも人気を博した先人たちの切り拓いた道がそこにはある。

「ミレニアル・ラティーノ」がそこと異なるのは、例えば英語とのバイリンガルもしくは母国語を尊重したボーカル、「男はマッチョ、女はセクシーに」という従来のラテン系に求められていた固定的ジェンダー観からの逸脱、インターネットネイティブ的な感性による自由なジャンル横断とラテンミュージックの伝統の両立……こういった「新しさ」が、バッド・バニーやカロルGらには共通している。

言語、非マッチョ、音楽性——もちろん、カトパコにもこれらの特徴は当てはまる。スラングたっぷりのスペイン語でラップし(※)、マッチョになり切れない弱い自分をさらけ出し、レゲトンもボサノバもトラップもフュージョンも切ない歌声でまとめ上げる——。

※筆者注:最新EP『PAPOTA』もアルゼンチンのスラングで、強い男、ステロイド使用者を意味する

CA7RIEL&Paco Amoroso『PAPOTA』を聴く(各ストリーミングサービスはこちら

補足的に言うならば、非英語 / 母国語によるボーカルでも世界的なヒットを掴むアーティストは年々増えつつある。K-POPの国際的な飛躍は言わずもがな、イタリア語で歌う“ZITTI E BUONI”をきっかけにブレイクしたMåneskinもその一例だろう。先ほどから何度も名前が出ているバッド・バニーの『Un Verano Sin Ti』(2022年)は「全編がスペイン語のアルバム」として初めて『グラミー賞』の主要部門のひとつ「年間最優秀アルバム」にノミネートされた。

その背景には、ストリーミング時代によるマーケットの流動化、SNSとファンダムのグローバル化、言葉の内容よりもまずサウンドとしての響きや個性的なビジュアルなどファーストコンタクトの衝撃が求められるInstagramやTikTokの影響力などが挙げられるだろう。

そんな時代に登場した、CA7RIEL & Paco Amoroso。アルゼンチンを飛び出し、欧米の音楽シーンをも巻き込みながら、その名前は着実に世界へ広がっている。

そして2人がこの夏、日本にやって来る——母国の真裏という、恐らく彼らにとっても印象深いであろうこの地で、その音楽はどのように響くのだろうか。まるでエモいバディもの青春映画のクライマックスのような瞬間に、我々は立ち会えるかもしれない。

@nellabertana2

▼リリース情報

CA7RIEL & Paco Amoroso |カトリエル&パコ・アモロソ
『PAPOTA | パポタ』(CD)
国内盤<世界初CD化>
2025年7月16日(水)リリース価格:2,600円(税別)

1. IMPOSTER | インポストール
2. #TETAS | #テータス
3. RE FORRO | レ・フォロ
4. EL DIA DEL AMIGO | エル・ディア・デル・アミーゴ
5. DUMBAI – Live at NPR MUSIC’s Tiny Desk | ドゥンバイ(ライヴ・アットNPR MUSICタイニーデスク)
6. EL UNICO – Live at NPR MUSIC’s Tiny Desk | エル・ウニコ(ライヴ・アットNPR MUSICタイニーデスク)
7. Mi Deseo/BAD BITCH – Live at NPR MUSIC’s Tiny Desk | ミ・デセオXバッド・ビッチ(ライヴ・アットNPR MUSICタイニーデスク)
8. BABY GANGSTA – Live at NPR MUSIC’s Tiny Desk | ベイビー・ギャングスタ(ライヴ・アットNPR MUSICタイニーデスク
9. LA QUE PUEDE, PUEDE – Live at NPR MUSIC’s Tiny Desk | ラ・ケ・プエデ・プエデ(ライヴ・アットNPR MUSICタイニーデスク)
10. DUMBAI | ドゥンバイ *ボーナス・トラック
https://ca7rielpaco.lnk.to/Papota_JP

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