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シリーズ屈指の傑作『スター・ウォーズ:キャシアン・アンドー』を見るべき理由

2025.4.22

#MOVIE

Ⓒ 2025 Lucasfilm Ltd.
Ⓒ 2025 Lucasfilm Ltd.

反政府活動に手を染めるリベラル女性議員の凄味

そんな本作を象徴する登場人物のひとりが、ジュネビーブ・オライリー演じるモン・モスマだ。脇役ながら本作で最も存在感を放つキャラクターではないだろうか。

モスマは、いまや議会で少数派となった、皇帝の独裁に反対する女性議員だ。現実社会さながら「理想を振りかざす面倒なリベラル女」としてマジョリティから疎まれている。ある日、表向きは富裕層向けの古美術商を営んでいるルーセンの元に、モスマが夫へのプレゼントを購入しに訪れる。彼らは監視役の運転手の注意を逸らしたのち、密談を始める。実はモスマは、抵抗運動がゲリラ化していくことに心を痛めながらも、秘密裏に彼らに資金提供をしているのだ。

モン・モスマ議員(ジュネビーブ・オライリー)。  Ⓒ 2025 Lucasfilm Ltd.

同時にモスマは、母親であり妻でもある。反抗期の娘は、多忙で不在がちな彼女からの外出の誘いに対し「良い母親像を世間にアピールするために私と一緒に外出したいのだろう」と手厳しい。夫は政治への関心は薄いようで、会食づくめの日々をぼんやりと謳歌している(ように見える)。やがて銀行口座も監視下に置かれ資金の移動が困難になった彼女は、小学校の同級生で元恋人の銀行家テイ・コルマ(ベン・マイルズ)に協力を依頼する。彼女の反帝国の活動を知らされていない夫は、妻とコルマの何やらこそこそとした様子を訝しむ。その後コルマは、モスマの資金洗浄に手を貸すという同郷の男を連れてくるが、悪名高いその男は協力と引き換えに、モスマの娘と彼の息子の政略結婚を持ちかける。

ルーセン・レイエルとモン・モスマ。 Ⓒ 2025 Lucasfilm Ltd.

モスマを取り巻くドラマは、仕事によって家庭に生じる歪み、相手を思うがゆえの嘘や方便、リベラルな価値観と衝突する郷里の惑星の風習とどう向き合うか……など、我々にとっても身近で大きなテーマをいくつも抱えている。そして、モスマの肩には、「権力が暴走し、適正な手続きが機能しなくなった世界には、武力による現状変更しか残されていないのか」というテーマが重くのしかかっている。正義のためにテロ / ゲリラに加担していくリベラル議員の姿は、シーズン1の公開後、現実の首相暗殺事件とドナルド・トランプ再選を経た今日の社会で、より一層の迫力を持つ。

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