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デジタルネイティブ世代にはより深刻かもしれない「マノスフィア」の問題
本作は、ミソジニー(女性蔑視)や、インセル(非自発的独身者)による女性への責任転嫁といった問題だけでなく、「マノスフィア」の危険性も提示している。
マノスフィアとは、男性がより「男らしくなる」方法や異性との関係へのアドバイスを提供するオンラインコミュニティの総称である。そこでは、女性を性的対象としてステレオタイプ的に扱ったり、男性の社会的な孤独や挫折がフェミニズムに起因する論調など、ミソジニー的な思想が根を張っている。
こうした問題は大人のコミュニティでも顕在化しているが、まだ自己を確立しておらず精神的にも不安定な思春期の少年少女、しかも日常的にSNSに触れるデジタルネイティブ世代にとっては、より深刻だ。彼ら彼女らの「世界」を知らない大人がその危険性を想像し、理解する契機となり得るという点でも、本作には大きな意義がある。

本作で共同クリエイターを務めたジャック・ソーンは、リサーチの過程で目にした、思春期の若者たちが「なぜ女の子に好かれないのか」を説明するインセル思想を取り入れた個人ブログに衝撃を受けたという。インフルエンサーのみならず、個人が拡散した主張がいかに若者に影響を与えるか、あるいは価値観を支配するかにも、危機感を持つ必要がありそうだ。
参考:Netflix「アドレセンス」のクリエイターが語る“マノスフィア”の深層──その引力に潜む危うさ | WIRED.jp