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各エピソードで描かれた当事者たちの地獄
以降のエピソードでも当事者たちが直面する精神的な「限界」や、それを超えた「地獄」が、自分のことのようにはっきりと感じられるだろう。
第2話では、警察官が学校へと聞き込みに訪れ、逮捕された少年の同級生、警察官の息子、また殺された少女の親友から証言を集める。その過程で学校という場所での抑圧や偏見、逮捕された少年が嘲笑の的になっていたことが明らかになる。事件後の第三者からの視点ではあるが、だからこそ少年自身が置かれた場所の地獄がつぶさに伝わる。


第3話は、女性臨床心理士による少年へのカウンセリングを映し出し、カメラが様々な場所を移動していたこれまでとは異なり「一室のみ」で展開する。これまでは年相応の純朴さ、または聡明さを感じられた少年だが、この対話では彼の中にある「歪み」が顕在化する。SNSの扱い、女性の見方、「自己愛」の強さ、それに付随する有害な男らしさ……それらすべてが一室の中でのみ、臨床心理士にぶつけられるという閉塞感、圧迫感もあいまって、観ていて本当に辛く苦しくなる。

第4話では、少年の家族の日常が描かれる。彼らは穏やかに暮らしているように見えて、どこか「影」がある。また、時には嫌がらせを通り越した犯罪行為に見舞われる様が切なく苦しい。ホームセンターの店員は「善意の理解者」のようではあるが、彼もまた一面的な見方に囚われており、自分の「正義」を信じることの危うさが見てとれる。

なお、各話冒頭に表示される「○日目」というテロップも重要な要素だ。時間による変化、あるいは「変わらなかった」こともショッキングなので、ぜひこの「日数経過」も強く意識して観てほしい。