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同じメンバーで歩んできた10年。来日を控えるTomeka Reid Quartetについて
ー今回来日するカルテットは同じメンバーで長く続けていますよね。これだけ長い期間、同じメンバーで続けられている理由を教えていただきたいです。
トミーカ:愛と幸福ですね。とにかくバンドのみんなが大好きで、私自身がアンサンブルで扱われたいと思うのと同じように彼らに接するように努めています。彼らは優れたミュージシャンであるだけでなく人間としても素敵な人たちで、私の成長をずっと近くで見守ってくれてきたような気がします。
なかにはバンドのメンバーをよく変える人が結構いるのは私も知ってますが、私としては4人でどういうふうに成長して発展していくのかを見届けたいような、そんな気持ちなんです。気がついたら10年も経っていて、びっくりです。

ーメアリーさんがこのカルテットに参加したきっかけは?
メアリー:トミーカとの出会いは、Living by Lanternsのドラマーのマイク・リードを通じてでした。このカルテットにはトミーカから誘ってもらったんですが、私はトミーカと知り合って、強いつながりを感じてもっと一緒に演奏したいなと思っていたから、オファーをもらったときは本当に嬉しかった。このカルテットは私にとって本当に特別なプロジェクトなんです。
私は自分のバンドもやっていますが、それとは別のところでどんどん音楽がよくなり、そして絆が深まっていくバンドがあることはすごく嬉しいことだと思ってます。お互いの信頼関係が深まるとより大きなリスクを負うことができるようになりますし、10年間かけて仲間意識が本当に深まりました。もちろんトミーカの書く音楽が大好きですし、バンドメンバーのトマ、ジェーソン、そしてトミーカは本当に素晴らしいミュージシャンで心からリスペクトしています。
ー最新作『3+3』はとても素晴らしかったです。グループ即興に対して作曲面でより踏み込んだアプローチがされているようですが、具体的に説明していただけますか。
トミーカ:作曲された部分と即興をどうブレンドし、いいバランスをどう実現するか、ということですよね。過去2作はどっちかと言うと、もっと楽曲ベースのもので、そこにフリーの即興演奏が入ってくるような感じだったと思います。
インプロと楽曲は全然違う別世界というわけでは決してないんですが、過去2作とは違う自分の面を今回は表現することができたと思います。私は今回、曲につながるフリーインプロビゼーションをもっと取り入れる方法を模索したんです。
ーリリース元の「Cuneiform Records」はプログレやアヴァンロックの作品なども出していて、いわゆる「ジャズ」のレーベルではないと思うんですが、なぜこのレーベルから出すことになったんでしょうか。
トミーカ:もともとはトマが提案したのだと思います。私がこのレーベルを選んだ決め手は、そのオフィスが私がDCで最初にチェロを習いはじめた場所のすぐ近くにあったからなんです。一周したというか、ぐるっと繋がった感じがあって。
メアリー:たしかに実験的なロックミュージックなど、いろんな作品を出してる折衷派のレーベルですよね。私としては「必ずしもジャズレーベルではないところから出す」というところに意味を感じていました。多様なタイプの音楽を扱うレーベルから出したほうが特定の箱のなかにポンと入れられずに済む可能性が高いと思うんです。オーナーのスティーブはもう40年ぐらいレーベルを運営していて、本当に献身的に取り組んでいる情熱のある人なんです。