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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

Enfantsとaldo van eyckの轟音。そこにあった「個人」と「社会」の関係を振り返る

2026.4.16

KLEW

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Enfantsとaldo van eyck。稀有で鋭利なバンドミュージックを鳴らす2組の共演

2026年3月26日(木)、Enfants(アンファン)とaldo van eyck(アルドファンアイク)という2組のバンドによる2マンライブが、ライブハウス新代田FEVERにて開催された。

EnfantsはLAMP IN TERREN活動終了後の松本大(Vo / Gt)を中心に2022年に活動を開始し、今年、素晴らしい1stフルアルバム『Bedford Hedgehog』をリリースしたばかり。一方でaldo van eyckは2021年に福岡で結成され、獰猛なエネルギーを放ちながら今、飛ぶ鳥を落とす勢いでその名を知らしめている4人組だ。本人たちの世代や出自は違えど、どちらもがこの時代において稀有で鋭利なバンドミュージックを鳴らす2組の共演なのだから見逃せない。

このライブは2025年1月からスタートした音楽イベント『StoriAA(ストリア)』の第8弾として開催されたもの。「StoriAA」は「参加するアーティストとオーディエンス一人ひとりの心に新しい“物語”が生まれるような体験を提供する」というコンセプトのもと、「わかる、こんな対バン観たかった!」と思わせる納得感と、「この人たちが同じライブで観られるんだ!」と思わせる意外性と豪華さが混ざり合った、大胆な組み合わせの対バンライブを都内で開催しているイベントだ。馴れ合いやマンネリではなく、かと言って、ただバラバラで別々なわけでもなく、「ライブに“出会い”があってほしい」という主催側の想いと審美眼が光っている。

会場は新代田FEVERからLINE CUBE SHIBUYAまで、場所もキャパシティも様々。他にも過去には堀込泰行×スカートなどが開催された。

轟音の中にあるのは「個人」と「社会」の関係

そして肝心の当日のライブ。先にステージに立ったのはaldo van eyck。ピアノとサックスが鳴り響く1曲目“last dance”のあとに少し挨拶をしただけで、その他にMCはナシ。バンドは持ち時間である約50分間、ほとんどノンストップで演奏を続けた。

2曲目の“E7#9sound system”からはヘヴィなギターサウンドに移行。ブルースとジャズが激しく混ざり合うようなその演奏は「野放図」という言葉がしっくりくる激しさだが、ただ爆発的なわけではなく、その激しさの中に「個人」と「社会」の関係が確かに感じられる。

揺れ動きながら前進し続けるリズム、一つひとつの楽器が「ここにいる」と鮮明に主張するダイレクトで迫力のある音。演奏は絶えず変化する。変化、変化、変化、変化、変化……持続していく変化。句読点を排した文章のような演奏は「わかりやすさ」なんて求めていなさそうなのに、もの凄く心地がいいのはなんでだろうか。aldo van eyckの4人が奏でる「時間」に、あっちこっちへ行きながらでも確かに進んでいくその「時間」に、自然とこちらも合流し、一緒に変化、変化、変化、変化、変化……していく。そんな感覚。

「時間を忘れさせてくれるライブ」とかじゃない。むしろ一人ひとりに確かにある「時間」を思い出させてくれるライブ。終盤には、観客たちのハンドクラップがバンドの演奏に重なる瞬間もやってきた。癒着は求めていないが、「分かり合おうとすること」は諦めていない。そんな姿勢にも胸を打たれた。

Enfantsは帰国後久々の国内ライブ

そして、続いて登場したEnfants。SXSWへの出演のため渡米していた彼らにとっては久しぶりの日本でのライブとなったようで、初っ端からガッツリと観客にコミュニケーションを求めるように、1曲目の“Dying Star”から松本大はハンドマイクでステージを闊歩しながら歌い、観客たちを煽る。MCでは、「音は日本に比べてものすごくいいが、環境は正直そんなによくない」という、アメリカライブの土産話も。

2曲目に演奏された“Punk Head”などはEnfantsらしいシャープでダーティなロックンロールだが、その硬質で鋭利なサウンドには、しかし隠し切れない繊細さと柔らかさが宿っているのを感じる。混濁した色彩からは、透明な光がはみ出すのを感じる。固く鋭利なものと、柔らかく淡いもの。混沌として真っ黒なものと、透き通って光っているもの。渇いたものと、湿ったもの。そんなまるで両極にあるものが同時に存在し、お互いを際立出せているところがEnfantsの魅力なのだと、そのパフォーマンスを観て感じた。あるいは、皮肉屋になろうとしても、優しさを隠しきれない人のような。そんな不器用そうなところが、とても人間らしくて愛おしくなるバンドなのだ。

中盤で披露された“天国に生まれた僕ら”や“Good News”といったメロディアスな楽曲たちは、塞き止めていた感情が溢れ出すような切なさと美しさがあった。それでもしっとりとは終らない。ラストは“Kid Blue”からの“Play”。最後は爆走のロックンロールで締め括る品格とピュアさも痛快だった。

2組のライブをこの日まで観たことなかった私は、当日を迎えるまでは青い炎が燃えるような、熱狂的でありながらもクールな夜になるのだろうと予測していたし、グサグサと突き刺されたような気分になることを想像していたのだが、実際に終わってみれば、とても温かい気持ちになる夜だった。Enfantsも、aldo van eyckも、2組ともが「人間」を諦めないために研ぎ澄まされたオルタナティブロックを奏でるバンドだったからだろう。いい夜だった。

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