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J-WAVEが貫く「選曲」の美学。ディレクター陣と語る、ラジオと音楽の新たな関係

2026.2.3

J-WAVE

#PR #MUSIC

2026年1月13日(火)から展開されている、江崎グリコ「ポッキー」の新しいキャンペーン、その名も「メッセージと一緒にシェアしよう #ラブなポッキー」。これは、カセットテープのデザインがあしらわれた12種類のポッキーのパッケージに、それぞれJ-WAVEのディレクター陣が選曲した特別なSpotifyプレイリストが付属するというもの。

ストリーミングサービスやYouTubeを通して、いくらでも音楽を聴くことができ、SNS上にはアルゴリズムにより提案されるプレイリストが溢れている今。いくらでも手軽な手段があるのに、なぜ私たちは人間の選曲に沿って音楽を聴くと、胸が弾むんだろう。

その謎を探るべく、J-WAVEの番組『ACROSS THE SKY』や『GRAND MARQUEE』などを担当しているディレクターの滝澤康平、『TALK TO NEIGHBORS』や『BITS & BOBS TOKYO』などを手がけるフリーランスのディレクターのkiko matsuuraに話を聞いた。

また、後半では選曲の技術論から、メディアとしての「音」の責任へ。J-WAVEコンテンツクリエーション部部長・朝倉芳明に、ラジオと音楽を巡る関係についても話してもらった。ラジオの特性、メディアとしての矜持、音楽ビジネスとの変遷。話題はどんどんディープに、本質へと進んでいった。

10代の「リアル」に届ける。J-WAVE流、プレイリストの編み方

ー今回、滝澤さんは「元気がほしいときの♡な」、matsuuraさんは「わかってほしいときの♡な」というテーマで洋楽、邦楽を各30曲ずつ選ばれています。どのようなコンセプトで選曲されたんですか?

滝澤:普段のラジオ番組だと、幅広い世代に向けて選曲している感覚があるんですが、この企画はピンポイントに10代後半がターゲットになっているのでチャレンジングだし、面白かったです。

2026年1月13日(火)より開始した「メッセージと一緒にシェアしよう #ラブなポッキー」キャンペーン。プレイリストの詳細ははキャンペーンサイトで公開中

滝澤:まず、やっぱり「恋」と「元気」が軸になるだろうなと思って、イメージに合いそうな曲をどんどんプレイリストに入れていきました。

matsuura:私は「わかってほしい」にフォーカスして、特に邦楽は歌詞をきちんと読みたくなるような曲を選びました。10代が聴いている楽曲をいろいろと調べたんですけど、それが本当に10代に刺さっているのか実感がなくて。TikTokなんかでバズっている曲は私たちにとっては「昔のヒット曲じゃん」という感じのものも多いんですよね。

ー「広告のイメージで作り上げられた10代」なんじゃないか、という。

matsuura:そうそう(笑)。「本当にリアルな10代なのかな?」と。友人のお嬢さんが音楽に詳しい高校生だったので、直接聞いてみたんですけど、意外とリサーチした情報と合致していて、確信を持って選ぶことができました。

「J-WAVEらしさ」の先にある、オルタナティブとポップの境界線

ー今回のコラボレーションは「J-WAVEのディレクターが選曲した」という部分が核になっていますが、「J-WAVEらしさ」はどのくらい意識しましたか?

滝澤:J-WAVEは一般的に「おしゃれ」と言われがちだと思うんですけど、ディレクターによって考え方はさまざまだと思うんです。僕としては、オルタナティブだったりアンダーグラウンドだったり、枠に収まらないものと、ポップで広がっていくもののちょうどいいバランスを取っていく感覚ですかね。

ディレクター・滝澤康平(たきざわ こうへい)

滝澤:最近の若いバンドでは羊文学が一番マッチしていて、J-WAVEでもよく選曲されているイメージです。

matsuura:担当している番組によっても求められるものが違います。私個人でいうと、お昼に長時間放送するいわゆるワイド番組よりも、割とコンセプトがはっきりした箱番組(※)を担当することが多くて、J-WAVEでどんな曲が多くかかっているかということに、自分の選曲が左右されることはあまりないです。

※毎週決まった曜日、特定の時間帯に1回だけ放送されるレギュラー番組

ディレクター・kiko matsuura (キコ マツウラ)

matsuura:ただ今回のプレイリストに関しては、J-WAVEリスナーに耳馴染みのある曲だけでなく、昔からJ-WAVEを聴いている人にとってちょっと懐かしいような曲を意識しました。

ー懐かしい曲というと?

matsuura:邦楽ならm-floの“come again”でしょうか。個人的にも色褪せない名曲だと思うんですが、高校生の子に聞いたら親御さんが聴いていたから知っていると。リリース当時はJ-WAVEでずっと流れていたので、こういったヒット曲は2世代に渡って聴かれているんですよね。岡村靖幸さんの“カルアミルク”なんかもそうで、今回はDaokoさんによるカバーを選曲してます。

matsuura:ストリーミングの影響だと思うんですが、若い世代は新旧を気にしないんですよね。私たちは仕事柄、なるべく新譜をチェックしよう、流そうとしちゃうんですけど、聴く方はあまり関係ないんだなという。

滝澤:matsuuraさんがおっしゃる通り、ストリーミングの時代になってから若い世代には「新しい / 古い」という感覚が本当にないんですよね。a-haの“Take on Me”にも「めっちゃいい! 最近の曲?」というようなリアクションが返ってきます。すごくシームレスなんですよね。

音楽の「背景」を知ることで変わる解像度

ープレイリストの中で、特に聴いてほしい流れはどこでしょう?

matsuura:洋楽の方は、プレイリストをスマホでパッとみた時に若い子がよく知っているアーティストが来るようにしたんです。目にした印象を意識したというか。そこからは新しいものも古いものも横断して聴けるようにしました。

滝澤:僕の邦楽のプレイリストは「恋愛一直線」というような元気な流れにしました。その中に入れたいなと思ったのがKan Sanoさんの“Natsume”で、この曲は夏目漱石が「I Love You」を「月が綺麗ですね」と訳したというエピソードがモチーフになっているんです。これ自体は諸説あるんですが、この背景を知っているかどうかでこの曲の聴こえ方が全然違ってくるんですよね。

https://open.spotify.com/intl-ja/track/2Rx74oW3k0iU3qoRaQg265?si=82a7f0165602432b

滝澤:こういった文化や教養を知れば知るほど解像度が上がっていく音楽の楽しみ方を10代後半のリスナーにも知ってほしいという気持ちを込めて選曲しました。

ー実際の選曲作業はどのように進めたんでしょうか?

滝澤:まず候補曲をいっぱい選んで、自分の中で肝になるような曲を中心に、線が繋がるようにストーリーを意識しました。特に邦楽は歌詞が聞こえやすいので、アーティストのバックボーンも感じ取れるような仕組みを考えたり。やっぱり感覚的な作業なので、言語化はなかなか難しいですが。

matsuura:私も候補曲をガーっと出して、一度全部並べて聴いてみるんです。滝澤さんと同じように、邦楽は歌詞によって物語を作れるのでそこを意識しましたね。あと、音楽的なつながりもやっぱり大事で。クラブDJのようにミックスはしないですけど、同じ音像で繋いでみたり、逆に全然違う音像の曲を続けることで世界観をガラッと変えてみたりします。

選曲に正解はない。だからこそ「テーマ」という背骨が必要になる

ー最近はSNSで自作のプレイリストを公開する人も多いですし、企業の広報の一環としてプレイリストを作ったりすることもありますよね。選曲初心者に何かアドバイスをお願いします。

matsuura:J-WAVEに『COMMON GROUND』というプレイリストを聴いてもらう番組があって、先日私も選ばせてもらいました。この時のテーマは「Dancing In The Moonlight」だったので、「じゃあロマンチックに、月夜に踊る感じで選ぼうか」みたいに自分の中でさらにキーワードを設定してどんどん選んで並べていきましたね。テーマをはっきりさせるのは重要かもしれない。

滝澤:そうですよね。テーマが与えられたら、それに沿って映画を作っていくような感覚ですね。「この曲は主題歌、10曲目でシーンがガラッと変わって、最後はエンドロールに流れる曲」というような。プレイリストを通して聴いた時に、一本の映画を見終わった感じになればうれしいなと。

ーもし仕事でプレイリストを作らないといけなくなったら、テーマをはっきりさせることが大切だと。

matsuura:テーマがないと難しいです。流行っている曲を単純に並べてもしょうがないし。それさえあれば、歌詞からキーワードを拾ってくることもできますから。今回の企画はテーマがしっかりあったのでやりやすかったです。

選曲に使用するための膨大な数のCDがストックされている

ー毎日膨大な数の楽曲をチェックされていると思うんですが、どういったメディアをチェックされているんですか?

滝澤:基本的にはストリーミングから探すことがが多いですね。みなさんも聴いていると思いますが、Spotifyのプレイリストの『New Music Friday』とか。音楽ニュースサイトだとBillboardやNME、Pitchforkを中心に見てます。Indienativeというサイトはインディー、オルタナ系のニュースを日本語でまとめてくれてるので重宝してます。

https://open.spotify.com/playlist/37i9dQZF1DX4JAvHpjipBk?si=ysmx3WChRqOTpOd1xQV0gQ

滝澤:僕の音楽知識の原点は大学時代に通っていたレコード屋とか、お茶の水にあったジャニスというレンタルショップですし、ライブに行って現場の温度感を選曲に反映させることもありますが、やはり最近はネットが中心ですね。

ー自分の趣味ではないけどバズっているから選曲する、というようなこともあったりしますか?

matsuura:基本的には、自分がいいと思えないものは選べないですよね。ラジオでも、こういったプレイリストでも。どうしても好きじゃない曲をかけないといけない状況も、ないとは言い切れないですけど(笑)。特に今回のように選曲者として自分の名前が出るような場合はこの曲を選んだ理由を説明できないといけないですし。でもヒット曲が悪いわけじゃないんですよ。どういう流れでかけるかによって、聴こえ方は全然変わりますから。

ー確かに、今回のプレイリストで超王道ヒット曲も選ばれていますもんね。

matsuura:ここぞという時に恥ずかしがらずに王道を選曲するというのも、とても大事なことだと思います。

開局以来変わらない、新しいカルチャーの「入り口」としての矜持

J-WAVEコンテンツクリエーション部部長・朝倉芳明

ー今回のポッキーとのコラボレーションは、J-WAVEと音楽の強い結びつきがあるからこそ成立した企画だと思います。ラジオと音楽を巡る環境はどんどん変化していますが、現在のJ-WAVEとしての音楽に対するスタンスを教えてください。

朝倉:J-WAVEは開局当初から音楽を大事にしてきた放送局です。それは「曲をたくさん流すから」というよりも、新しいカルチャーの入口になり得るものとして音楽を捉えていたということ。そういう意味では、必ずしも音楽でなくてもよかったのかもしれませんが、時代的に一番世相を映すのが音楽だったんだと思います。時代とともにその価値や意味合いは変わってきているのかもしれませんが、開局当初の思いやアティテュードはいまだに引き継がれています。

ラジオで全てを表現することはできません。映像はありませんし、映画のように作り込むこともできない。情報が少ない分、リスナーに能動的に関わってもらうことで完結するんです。ポジティブな意味でトリガー(引き金)になるメディアなんですよね。その中で、音楽がトリガーの1つになっているんです。ラジオでかける1曲1曲もそうですし、流れを持って聴くことで引き金になることもある。リスナーの方々の生活に寄り添っていることが本質的に重要なんだと思います。

ー確かに、ラジオをテレビのようにザッピングしながら聴取するリスナーは少ないですよね。1つの放送局を流しっぱなしにしながら「この番組の時間だからお昼ご飯にしよう」というように、ライフスタイルに密着していることが多いというか。

朝倉:radikoが登場する以前に調べたデータによると、ラジオリスナー全体の中で1つの局しか聴かない人が50%、2局聴く人を加えると80%という資料がありました。そう考えると、やはりライフスタイルのBGMになることがラジオ放送局の第一義的な役割なんじゃないかと。

朝倉:J-WAVEは音楽が流れている割合が多いことで、他の放送局よりもその役割を担う部分が大きいのかなと思っています。その中で、気づきや発見を感じていただけているならすごくありがたいです。そうするために、ディレクターは日々細部にまで気を配りながら番組制作にあたっています。例えば、「この曲の次にあの曲を流すなら、ジングルを挟まないとキーが合わない」とか。楽曲が食材だとしたら、ディレクターは料理人ですね。

ーそうやって繊細に選曲、放送することでストーリーを作り、リスナーの生活を彩っていくと。

朝倉:これはトークにも通じることなんです。ナビゲーター(※)の方によくお願いするのは「物事に補助線を引くようなトークや選曲を心がけてください」ということ。これがあると、リスナーの方の新しい発見に繋がります。

※J-WAVEは番組の司会進行役を「パーソナリティ」や「DJ」ではなく、独自の呼び方として「ナビゲーター」と呼ぶ

朝倉:ずっと昔から知っている曲でも、全然違って聴こえる。全員がそれに気が付かなくてもいいんです。そのままでも十分に美しい音楽なので。しかし、こういった発見があることで、CDやストリーミングで聴くのとは違った体験になるはずです。

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