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第68回グラミー賞を総括。バッド・バニーの象徴的な受賞と「音楽と政治」

2026.2.10

#MUSIC

© Getty Images
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バッド・バニー、全編非英語による最優秀アルバムという史上初の快挙

そんななかアルバム賞がバッド・バニーの『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』に贈られたことは、象徴的であり、偉業でもあったと言える。

全編スペイン語のアルバムがアルバム賞を受けたのは史上初で、しかも同作はグラミーとラテン・グラミー賞の双方で最優秀アルバム賞を獲得したことも史上初。大穴だったと見る者もいたように、これは大きなサプライズになった。

バッド・バニーのアルバムは、彼が以前から少しずつ試みていたレゲトンに伝統的なラテン音楽を混ぜあわせる路線の発展型で、彼のルーツがいよいよ明確に打ち出された野心的な作品だった(ちなみに、ラウ・アレハンドロも2024年のアルバム『Cosa Nuestra』で同様のことをやっている)。2000年代にレゲトンをグローバルに広めたダディ・ヤンキーにも1960~1970年代のニューヨークサルサの立役者であるエクトル・ラボーにも同時に触れていたプエルトリカンの少年が、ラテントラップのアーティストとしてキャリアをスタートさせ、世界的なスターになり――そんな彼の音楽人生も詰めこまれた、一大音楽絵巻だったのだ。2023年の『コーチェラ・フェスティバル(Coachella Valley Music and Arts Festival)』でヘッドライナーを務めた際、彼はラテン音楽の歴史を背負うような演出をライブに持ちこんでいたのであり(※)、同作はそういった試みの延長線上にある。

※詳しくは以前、Mikikiで書いた記事を参照してほしい。

『DeBÍ TiRAR MáS FOToS』は、批評的な評価は非常に高く、2025年を代表するアルバムだったわけだが、そんな作品が世界最大規模の音楽賞の顔になったという事実、そしてその1週間後に彼がアメリカを代表するイベントである『スーパーボウル』のハーフタイムショーでライブをおこなうことは、現代におけるラテン音楽とラテン系の人々の存在感の大きさを証明することでもあった。ただもちろんこの結果には、ラテン・グラミー賞の投票会員を全員グラミー賞にも組みいれたことは大きく作用しているだろう(※)。

”The Grammys invited all Latin Grammy voting members to the Recording Academy: Why it matters”. INDEPENDENT.

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