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アーカイブは公演活動の中に組み込むべき「基礎」
―若手団体や制作さんによってはアーカイブを有効活用する術を知らなかったり、さらに実践となると、とてもハードルが高いことのように思ってしまう側面はある気がします。
岡室:そうですよね。でも逆を言えば、方法さえわかれば制作の一部になると思うし、今後もっと浸透していくとも思うんですよ。そんな思いで「舞台芸術アーカイブ講座」というものを新たに立ち上げました。
長田:これはすごくいい機会ですよね。内容も気になります。
岡室:基礎編と実践編がそれぞれ1つのパッケージになっていて、権利処理入門や公演記録のノウハウ、資料整理の実践など、現場で役に立つスキルが詰まっています。リアルタイム配信講座に加えて、より気軽にご参加いただけるように、オンデマンド講座も開設しました。実際に手を動かしながら、「現場ですぐ役立つ記録保存のスキル」を得ること。例えば、チラシの情報をまとめてデザイナーさんに渡したり、公演の振り返りの文章を書いたり、それを発信したり……。日々の活動の中にもアーカイブ的なものって含まれていると思うんです。その発想の延長で、アーカイブの実践と活用をより身近に感じていただけたらいいなと思います。


長田:なるほど! たしかに、これからの時代は各劇団が公演活動の中に組み込むべき基礎として、アーカイブ作業が加えられていくといいですよね。ここ数年でハラスメント講習の実践を多くの劇団が行うようになり、社会でも新たな常識として浸透し始めました。同様に、アーカイブの実践や活用も「今やるべきこと」のデフォルトとして認識されるようになってほしいです。
ハラスメント講習は、作り手と観客の双方を守り、安全に上演をするために必須のものであり、「私たちは安心して観られる作品を提供します」という意思表示でもある。だとしたら、アーカイブは「私たちは自分たちの作品を後世に残します」という意思表示になる。そうした「作り手の意思」が見えることは受け取る方にとっても重要な観点ですし、「この劇団は大きくなっていく意思がある」と感じるきっかけにもなり得ますよね。
岡室:おっしゃる通りですね。舞台芸術は消えてなくなるものだから残さない、残したくない。そういう気持ちも理解はできるのですが、後世のためにもどうか自分たちだけで決めないでほしいです。それぞれの時代、各々の作品の価値がありますし、冒頭の『らんまん』のお話で長田さんが触れて下さったように、作品は一つの作品で完結しているわけではなく、その背後には様々な人々の暮らしや思いがあります。それらをともにアーカイブしていくことは、社会的にも文化的にもとても意味のあることだと思います。

「舞台芸術アーカイブ講座 2025 〜現場ですぐ役立つ、記録保存のスキル〜」

「記録」を「創造」へ。
舞台芸術アーカイブ講座とは?
幕が下りた瞬間に消えてしまう演劇やダンス、パフォーマンスは、まるで「ドーナツホール」のように、中心 にありながらそれ自体を保存することができません。 「舞台芸術アーカイブ」は、公演映像、戯曲、ポスターやフライヤー、チケット、衣装、舞台装置図、舞台写真、劇評など、関連する周辺資料をできる限り多く収集し厚みのある「ドーナツ」を形成することで、この継承困難な経験や知、舞台の記憶を浮かび上がらせる、創造的な活動です。
本講座は一般社団法人 EPAD が、早稲田大学演劇博物館が 3 年間に渡って実施した、舞台公演記録のアーカイブ化のためのモデル形成事業「ドーナツ・プロジェクト」で蒔かれた種を、より実践的で「すぐ役立つ」スキルとして育てていくことを目指して設計しました。
(主催・運営:一般社団法人 EPAD 助成:文化庁 人材育成・収益化に向けた舞台芸術アーカイブ化推進支援事業)
1.基礎:アーカイブの視点と言葉を知る
1-1.舞台芸術アーカイブのいま
講師:志村聖子(ライデン大学客員研究員)
舞台芸術の特性から記録保存の難しさ、アーカイブの多様性、公共性、そして活用への課題までを公共的な視点から幅広く学ぶ講義。
1-2.権利処理入門
講師:福井健策(弁護士・ニューヨーク州弁護士・骨董通り法律事務所代表、一般社団法人EPAD代表理事、日本舞台芸術ネットワーク常任理事)
著作権、著作隣接権、肖像権といった舞台芸術のアーカイブにおける権利処理の基礎知識を学ぶ講義。
1-3.おさえておきたい基礎知識
講師:本間友(慶應義塾ミュージアム・コモンズ准教授)
どんなアーカイヴを作るのか、記録を残しアーカイブを構築する方法や整理を進めるための基礎知識を学ぶ講義。
2. 実践Ⅰ:現場で役立つ記録のスキル
2-1.公演記録のノウハウ~制作編~
講師:
坂本もも(合同会社範宙遊泳代表・プロデューサー/ロロ制作)
須藤崇規(映像ディレクター)
公開を念頭に置いた公演映像を残すために、現場ではどのような準備ややりとりが行われているか。制作者と撮影者の立場から対談形式で掘り下げる。
2-2.プロセスの記録
講師:
河井朗(演出家)
本間友(慶應義塾ミュージアム・コモンズ准教授)
創作中に様々なポジションで生まれる記録物。それらはどのように創作に活かされ、保存されていくのか。演出家とアーキビストの立場から対談形式で掘り下げる。
3. 実践Ⅱ:未来に役立つ活用のスキル
3-1.公演記録のノウハウ~記録映像編~
講師:
山本卓卓(作家・演出家・俳優。範宙遊泳代表。)
須藤崇規(映像ディレクター)
収録された映像はいかに編集されるか。公演映像が新たに創出する価値についてクリエイターと撮影者立場から対談形式で掘り下げる。
3-2.レッツ資料整理!
講師:
石本華江(慶應義塾大学アート・センター土方巽アーカイブ)
三坂恵美(EPAD事務局/Booster)
辻村優子(俳優)
公演メタデータのためのフォーマットを提供しながら、公演記録の保存・管理の仕方をデジタルとアナログの両方面から紹介する。
《リアルタイム講座》
受付終了
《オンデマンド講座》
講座を3つのパッケージごとに配信します。
講座の内容をまとめたハンドアウトを差し上げます。
▼申込みフォーム
https://confetti-web.com/@/donuts_course2025
申込み期間:
「1.基礎」1月23日(金)〜
「2.実践Ⅰ」「 3.実践Ⅱ」2月13日(金)~
申込み終了:3月15日(日) 23:59 予定
▼動画視聴料(税込)
各パッケージ ¥3,000
オフィシャルサイト:
https://epad.jp/news/donuts_course2025/