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注目俳優が勢揃いした青春群像劇『シナントロープ』
—最後に、藤原さんが3位にあげていただいた『シナントロープ』については、いかがでしょうか。
藤原:端から端まで、若手の俳優さんたちがとても面白いのと、染谷将太さんが、ただ立っているだけで不気味でカッコ良くて、ピリッと全体を締める感じがすごいと思って見ていました。あとは、違う場面を同じ言葉や事柄、音などで繋げて進んでいく軽快な感じがとても興味深く、とても気になるドラマです。
古澤:脚本の此元和津也さんが2021年に話題となったアニメ『オッドタクシー』を手掛けた方なんですが、此元さんの会話劇は唯一無二だなとあらためて思います。なんでもない会話の中にヒントや違和感が散りばめられているところに『オッドタクシー』を感じますね。登場人物が多いのに、構成がちゃんと整理されているのと、一対一の会話がとても多いので散らかった感じがなく、群像劇としてしっかり見られます。あと、この物語はどこに向かうんだろう? この人は誰? この謎はどうなる? などの要素で引っ張っていってくれるので、見入ってしまいます。気を抜いているとヒントを見逃すので、しっかり見ないといけない。『オッドタクシー』の最後がアニメでしかできないことをやっていたので、『シナントロープ』もどう終わるのかもすごく気になっていました。
明日菜子:個性豊かな登場人物が多く出てくる複雑な群像劇ながら、その見せ方がとにかく上手い。たとえば、序盤は、キャラクターたちを絞って、物語を展開させる。ただでさえ登場人物が多い中で、アフロさん演じる久太郎と遠藤雄弥さん演じる龍二が新たに登場するんですけど、彼らの場面がリズムネタのような独特な掛け合いになってるので、必ず頭に残るんですよね。ストーリーも圧倒的に面白いですが、いかにその物語に集中させるかという見せ方も秀逸です。
古澤:制作に、此元さんが所属されているP.I.C.S.という会社のスタッフの方がだいぶ入っているので、やりたいことが統一されている感じもあるのかなと思います。此元さんの生かし方というか、脚本をどう映像にするかの意志統一がしっかりされている印象でしたね。
—ありがとうございました。来期のドラマも楽しみですね。それでは、またの機会の座談会まで。