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ポストロックの最良のエッセンスを取り込んだ音を、2025年に音源化したわけ
―『TEAM』というアルバムは、蓮沼さんのキャリアにおいて『時が奏でる』と同じくらい重要になっていくのではと感じます。チームという別のチャンネルで作品を発表したということもそうですし、同時代に音楽を聴いている人間として、シンプルにかっこいいサウンドだなと思いました。
蓮沼:ありがとうございます、昔の曲ばかりですけど、現在の音として響いているはずです。
佐々木:蓮沼君はこれまでの活動で、ロック的なダイナミズムやバンド的なスタイリッシュさを作品レベルではやってこなかったと思うし、そこに新しい広がりが出てくる気がしますよね。
これまで本当にいろんなことをやってきて、初めてのロックアルバム、ロックバンドとしてのアルバムを作ったわけじゃないですか。そういう意味では新たなことをやったともいえるし、最初から隠し持っていたものを出したとも言える。その両方が感じられるのが面白いところだと思いますね。
―『TEAM』はどういうきっかけで制作されたんでしょうか。
蓮沼:とても単純な話で、2024年にチームでやったライブがよくて「これ、録音しないとダメかも」と思って、記録したかったんです。手応えを感じたライブからちょうど1年後に作品として形にできて、本当に嬉しいなと思いますね。1枚あるとチームという集団として、フィルとは違った関係性がまた何かキュってできあがったのを感じてます。
佐々木:今もこのメンバーでやれているのはすごく大事なポイントだよね。ポストロックって言葉もなんなら死語でクリシェだけど、そのポストロックが一番かっこよかった時代の感じ、各々の記憶に刻まれているメンバーでやっているという。
蓮沼:普段、働いてるメンバーもいますからね。
佐々木:そういう人ともずっとやってるのが蓮沼君だよね。このメンバーで結成17年にして初のアルバムが出るという。みんな若者だったのにおじさんになって(笑)。それはすごくいいことだと思うし、すごく強度のある作品になってる。
―エレクトロニックミュージックではない、蓮沼さんのチャンネルがまたひとつシェアされてライブの幅も広がりそうです。
佐々木:ライブハウスも出れますしね。それはすごくいいと思います。
―2026年の活動20周年に向けて、いい先駆けになりましたね。
蓮沼:別にそういう意味では作ってないんですけどね。区切りは区切りっていうか、ただの経過の連続なので。ピュアにライブがよくて、もうスタジオアルバムを作る機会はないだろう、と思ったタイミングを逃さずに作品にまとめられてよかったです。だってもうみんな、おじいさんに片足突っ込みはじめてるんで(笑)。


蓮沼執太チーム
『TEAM』(CD)
2025年11月19日(水)発売
価格:3,000円(税別)
- TEAMWORK
- United Tee
- Seneca
- Gakona
- Triooo – VOL
- ZERO CONCERTO
- BLACKOUT
https://shutahasunuma.shop/products/team
蓮沼執太 : Fender Rhodes, SEQUENTIAL Prophet-6, EMS Synthi A, Buchla Music Easel
イトケン : Drums
⽯塚周太 : Guitar
⻫藤亮輔 : Guitar
尾嶋優 : Drums
Recorded by 葛⻄敏彦
Mixed by ジョン・マッケンタイア(Tortoise)
Mastered by デイヴ・クーレイ
Art Direction: Akinobu Maeda