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売れ線のポップスも「5人の総意でやらないと意味がない」
━「自分たちはいいと思ってやってるだけなのにな」という葛藤というか、世間との距離感がKhakiというバンドの面白さにつながっていると思うんです。変わったバンド扱いされてるけど、当人たちはいたってポップなことをやっているという。
平川:そうそう、居酒屋で好きなおつまみを自信満々で注文したら、みんな全然手をつけないなって感じで。
━ホヤの塩辛みたいな。
平川:そこまで珍味じゃないですけど(笑)。俺は美味いと思ってるのにっていう。ずっと気まずいっすよね。いわゆる売れ線のポップスをマンキンでやってみたい気持ちもあるんですよ。僕ら含めて、インディーズの人は売れてる曲に対して「それをやることもできるけど選択しません」みたいなスタンスをとるけど、実際にはやろうと思ってもできないことが多いから。僕らもそういう保険をかけてる側だけど、思いっきりやってみてもいい時期なのかなとも思います。

━今までのキャリアでそういうポップさに振り切ろうと思ったことはなかったですか?
平川:なかったですね。僕らがかっこいいと思うことをやればかっこいいでしょ、という感じでやってきたので。でも、企画みたいに歌を作るのも楽しそうだし、絶対難しいだろうし。インディーズバンドだからって、それに挑戦しないで終わるのも寂しいなという気持ちはあります。まあ、メンバー5人の総意でやらないと意味がないんで。どうなるか分からないですけど。
━Khakiの場合、全員が売れ線のポップスを目指して、それぞれちょっとずつ認識が違って予想外のものが出来上がる気もします。これこそバンドの醍醐味というか。
平川:確かに。それでうまくいけばいいですけどね。今はアルバムを出してツアーが終わった段階で、まだ次をどんな感じにするかは決まってないんですよね。
橋本:今日もこの後にミーティングするんで、そういう話もするかなと思います。

━今年はリリース、ツアー、『FUJI ROCK FESTIVAL』出演などもあり、以前に比べてもバンド活動がかなり上向きだったんじゃないかと思うんですが、いかがですか?
橋本:上向き度でいえば、もっと昔のほうが感じてました。最初のMVを公開してそれが思った以上に再生されて、フォロワーがどんと増えて、誘われるライブの規模が大きくなった頃。今まで聴いてたアーティストと同じライブに出たりして、あの時は「めっちゃ上向きだな」とダイレクトに感じてました。
━0が1になる瞬間というか。
橋本:そうですね。最近はそういう感じはあまりないです。
━そこに焦ったりしますか?
橋本:僕はちょっと感じてますね。都内でライブをやったら割とお客さんは来てくれるけど、ちょっと地方に行ったら集客が弱くて。これはどのバンドもそうなのかもしれないですけど。でも、それはまだ地方に開拓の余地があるっていうことだから、今後は行ったことのない場所でやってみようと考えてます。

━まだまだ可能性もあるぞ、という。
橋本:そうですね。もしかしたら海外にもあるかもしれないし。