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落語家生活は長い。25年でもまだまだこれから
―来年で落語家生活25年。活躍の場がどんどん拡大していますが、ここまでの噺家人生を振り返っていかがですか。
一之輔:自分でも驚くほど、考えていることが全く変わらないですね。基本的に「こういう噺家になりたい」という目標がないんですよ。弟子にはね、「目標持ってやれ!」とか偉そうに言うんですけど、僕はいいんです(笑)。

―テレビやラジオなどメディアでの活躍の場が増えても、落語家の基本である寄席にも出る。人気者として落語広報的な役割も果たされていますし、視聴率トップを取り続けるような「笑点」レギュラー就任後も落語に対する姿勢にブレがないのは、シンプルに「すごいなあ」と思います。
一之輔:「笑点」もほぼ素の状態でやっていますからね(笑)。「なんだまだ25年か」って感じなんですよ。でも勤続25年と言ったら、普通の社会で言ったら相当なベテランですよね。
―落語家さんは先が長い商売ですから、「25年なんてまだまだ若手」なんですね。
一之輔:上に山ほど先輩がいますから。うちの師匠(春風亭一朝)は何年だろう? 1968年入門だから……もうすぐ芸歴60年じゃないですか。すごいな師匠。寄席なんかだとね、楽屋が大部屋で1つなんですよ。出番に合わせて楽屋に入って、終われば帰っていくのでいっぺんに集まることはまずないんですが、同じ空間に10代の前座さん(寄席の一番の若手)もいれば、80を過ぎたおじいさんもいるんです。昔ながらの長屋、落語の世界そのまんまなんですよ。
―接するのが同世代だけではないというのは、表現者の幅を広げることになるので、メリットしかない気がします。以前一之輔さんにお話を聞いた際、「50歳ぐらいまでにできるだけネタを増やして、そこから選んで磨いていきたい」とおっしゃっていました。現在47歳ですから、もうすぐその一区切りかと。
一之輔:今おそらく(持ちネタが)260席ぐらい。やっていない話もいっぱいありますし、過去に覚えたきりの演目も、そろそろ思い出して高座に掛けなくちゃなとも思いますし……圓朝もの(※)のようなかっちりしたものをやっておくと、滑稽噺のような軽いネタにおける、人物描写に生かせるんです。「肚(ハラ)に入る」と表現しますけど、「こういう人物だったらこう喋る」という心情が、頭で覚えた台詞ではなく、すっと出てくるような状態がベストですから。そうなったら、毎回セリフが違っても全然いい。あえて今目指すべき目標を言うなら、その境地でしょうね。
※近代落語の祖と呼ばれる、三遊亭圓朝が創作した人情噺や怪談噺の作品群。
―ここからまだまだ変化していく一之輔さんを、追いかけてくと落語鑑賞人生も楽しくなるかと。
一之輔:楽しいかな〜、それはわかんないすね(笑)。

―え、ここは「そうですね」でお願いします!
一之輔:だって、若くて面白い人がいっぱい出てきていますから。僕もだいぶ「自由だね」と言われて育ってきたけど、今の若手はね、僕らが若い時よりはるかに自由でたくましいですよ。「これがやりたい」という明確な目標があるんでしょう。
―確かに若手の人数も多いですし、芸風のバリエーションも豊富。他の伝統芸能と比較しても、この層の厚さ、価値観の多様さには驚きます。
一之輔:もしかしたら落語の歴史上、一番いろんな種類の落語がいる時代かもしれませんよ。
―なるほど。それだけ選択肢が多い今、一之輔さんが大事にされていることを教えてください。
一之輔:落語家がやればなんでも落語なんですが、ちゃんと先人をリスペクトしていないと、やっぱりダメだと思うんですよね。「このやり方、演出、解釈を考えた人はすごい」と敬う感覚。その価値観は、常にあるべきだと思っています。

らくごDE全国ツアー VOL.13『春風亭一之輔のドッサりまわるぜ大千穐楽』ライブビューイング

日時:2025年11月22日(土)
開場|17:30 開演|18:00
鑑賞料金:2,300円(税込/均一料金)
※ACチケット/無料鑑賞券/6ミタ無料鑑賞クーポン/各種割引サービス利用不可
※未就学児のお客さまのご鑑賞はお断り申し上げます。
注意事項
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公式サイト:https://www.aeoncinema.com/cinema/event/2025/s-ichinosuke_2025/