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山田裕貴のストイックさがシンクロした役柄に
その佐藤二朗演じるスズキタゴサクは、はじめに聴取する刑事の等々力(染谷将太)や、事情聴取につきそう巡査長の伊勢(寛一郎)をそれぞれ挑発し、さらにはベテランの警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事清宮(渡部篤郎)との心を探り合うような交渉をしていく。その先で満を辞して対決するのは、じゃもじゃの天然パーマに丸メガネというやぼったい見た目に反して、卓越した観察眼と推理力を見せる類家(山田裕貴)だ。
山田裕貴はこれまで野生的な面や不良性を感じられる役を多くこなしており、今回はその印象を備えつつも、極めて理知的な役柄に扮している。初めこそ「じゃあはじめましょうかスズキさん、バケモノ退治を」と皮肉的かつ冷静な話し方をする一方、「いずれ後悔するよ、俺に会っちゃったこと。夜も眠れなくなるくらいにね」と挑発もする。予告編で見られる山田裕貴からの「爆弾を見つけられたら私の勝ちだ」と、佐藤二朗の「面白そうです」という返答は、まさに2人の「対決」と言うにふさわしい迫力を感じられるだろう。

岡田翔太プロデューサーは、類家と山田裕貴には本質的に近い性質を持っていると感じていたそうで、そこには「山田くんはすごくストイックで、世の中のことに対して深く考えて、しっかりとした自分の意見を持っている人。彼の心にある闇の部分が類家と重なり、原作を読みながら類家は山田くんにしか見えなかった」と考えていたそうだ。俳優のイメージと演じた役の特徴がもはや本人としか思えないほどにシンクロする山田裕貴にも、期待してみてもいいだろう。