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『Analog Market』レポート オーディオテクニカが提案する「感性を刺激する蚤の市」とは 

2025.11.25

『Analog Market produced by Audio-Technica』 

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レコードや蚤の市、ヴィンテージ技術を利用した音響イベントなどを通してアナログの魅力を発信する、Audio-Technica主催の『Analog Market 2025』が11月2日(日)、3日(月・祝)の2日間、東京・築地本願寺で開催された。 

アナログカートリッジ(レコード針)の開発を出発点に、60年以上「音と人の豊かな関係」を探求してきたAudio-Technica。その創業60周年となる2022年にスタートしたこのイベントは、単なるオーディオ展示会でもレコード即売会でもない。 

レコードやフード、アート、香り、そして手仕事といった多彩なアナログ文化が混ざり合い、暮らしと感性の接点をゆるやかに広げていく、まさに五感のマーケットといえるものだった。

築地本願寺の境内にレコードショップが全国から集結 

筆者が訪れたのは、開催2日目。秋晴れの清々しい祝日で、日中は少し汗ばむくらいの陽気だった。夕方にかけては少し冷え込み、風もやや強くなったものの、最後まで天気が崩れることなく絶好のフェス日和となった。 

©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

築地本願寺の本堂前広場には数多くのブースが並び、まず目につくのはバラエティ豊かなレコードショップの出店だ。東京・亀有のアートスポット「SKAC」内に店舗を構え、ロンドンにも拠点を持つレコードショップVDSがキュレーションした20店以上のショップが集結。 

レコード箱に行列ができる場面も / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

1000円均一の特価盤からTシャツ、トートバッグ、海外の音楽ファンジンや写真集まで並び、音楽を軸にカルチャーが広がっている。どのブースにも1台ずつAudio-Technica製のターンテーブルが設置されており、来場者は誰しもレコードを自由に試聴できる。レコードを熱心に漁りながら、店主との会話も楽しむその様子には、クリックひとつで音楽が聴ける今の時代でも、自分の手で探し、人と話しながら「これぞ」という1枚に出会う──そんなアナログレコード店ならではの喜びが溢れていた。 

築地という屈指の観光地である特性もあり、ふらっと訪れる海外からの観光客も多く見られた / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

レコードショップのみならず、マーケットエリアにはアナログ的なこだわりを感じさせる品々が目を引いた。能登の古民家から救い出された古道具ショップ「のとのいえ」、かつて街を駆け抜けたスケートボードの廃材で作られた靴べらを置く「TAMILAB」、月の満ち欠けに合わせて仕込む自然派ワインの店「Domaine Hide」、創業約300年の老舗お香メーカー「松栄堂」の移動販売車「Incense Station ことことワゴン」等々──いずれも人の手の温もりと感性が宿るものばかりだ。 

のとのいえ / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 
TAMILAB / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

またフードエリアでは五味五法 麺処「寿商店」の会場限定ラーメンに開場前から長蛇の列ができ、eejebee、DJ Emeraldらの選曲や、Shökaのライブなどが展開された「TSUKIJI RADIO」のブースのほか、Audio-Technica製品の試聴ワークショップなどにもひっきりなしに人が集まり、境内は終日賑わいを見せていた。 

五味五法 麺処「寿商店」 / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 
TSUKIJI RADIOのDJブースは、魚市場で使用されるターレを改造して製作されたものだという / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

第二伝道会館の中にはAudio-Technicaの製品が並び、実際に体験もできる / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 
レコードプレーヤーの針を交換して試聴ができるコーナーでは連日行列ができるほどの大盛況 / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

薄明かりのお寺で音を通じて自分と向き合う新たな体験 

そんな今年のAnalog Marketを象徴するのが、Audio-Technicaと米国OMA(Oswalds Mill Audio)によるコラボ企画『Deep Listening」だ。 

コンサートホール仕様のスピーカーOMA「Scottsdale」が並ぶ / ©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

OMAは米ペンシルベニア州の築250年の石造り製粉所を拠点に、1930年代の劇場用スピーカーや真空管アンプを現代に蘇らせているオーディオブランド。創始者ジョナサン・ワイスがAudio-Technicaの創業60周年記念カートリッジ「AT-MC2022」に感銘を受けたことから今回の協業が実現したという。 

OMAのコンサートホール仕様スピーカー「Scottsdale」(日本初上陸)とAudio-Technicaのハイエンドカートリッジを組み合わせた世界最高峰のサウンドシステム。来場者は、空間演出された薄明かりの会場に敷かれた座布団に腰を下ろし、セレクターの選曲に身を委ねて音に向き合う贅沢なリスニング体験が提供された。 

『Deep Listening』2日目のプログラムは、前述のレコードショップVDS設立者・関塚林太郎による「Synesthetic Listening / 共感覚としてのリスニング」から始まった。共感覚(シナスタジア)をテーマに、音が別の感覚と交わる瞬間を探るセッションである。 

©オーディオテクニカ / Kiara Iizuka (Sampo.Inc) 

会場となった第二伝道会館「蓮華殿」では、お香がほのかに香るなかハリプラサド・チョウラシアや芸能山城組、アリス・コルトレーンなど、関塚のセレクトしたアンビエント〜スピリチュアルな楽曲が次々と流れ、暗がりで音に身を委ねることよってその意味が一層広がっていく感覚を共有した。関塚は、「東京ではなかなか体験できない、音に包まれるような時間をみんなと共有できるのがうれしい。音楽を通して自分と向き合うこの静かな時間が、明日を生きる力になる。そうした“音楽の中心にある時間”を大切にしてほしい」と呼びかけた。 

続いてのプログラムは、シンガーソングライターの優河が自身のルーツとなる名曲をアナログレコードで紹介する企画、「シンガーソングライター目線で聴く、シンガーソングライター名盤」である。「人前でレコードに針を落とすのは初めて」と語る優河が、キャロル・キングやサンディ・デニー、レナード・コーエンなどの楽曲を、一曲ずつ丁寧にターンテーブルで再生していく。 

曲が終わるたびに針を上げ、盤をしまい、次のレコードを取り出し溝から曲を探し、またそこに針を落とす。ストリーミング全盛の現在では、ひどく手間に映るそうした一連の所作が、不思議と心地よく贅沢な時間に思えてくる。 

「歌を始めてから、人はみんな違う声を持っている、ということを意識するようになりました。それぞれの声には、その人の人生が重なっていて、時間とともに変化していく。そんな“声の変化”をとても美しいものだと感じています。私自身、回り道をしながら自分だけの声を育てていく過程を愛おしく思い、今はその声にさまざまな想いを込めながら歌っています」と、最後に話していたのが印象的だった。 

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