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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

後藤正文や柳樂光隆らと考える、まちづくりと芸術文化。「みんなの利益」「公共」とは

2025.9.25

トークセッション『あたらしいハコモノのカタチ~地域における公共施設の可能性~』

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得意を持ち寄る、これからの民間と行政の協働の姿

後藤:僕たちが公共の施設を使おうと思った時に、自由度が低くて思うように使えなかったり、担当者に理解してもらうのに時間がかかったりすることがよくあります。そういった時、民間と行政はどう歩み寄っていくのがいいと思いますか。

出口:例えば「共同事業をやりましょう」となった時に、双方にメリットがないと歩み寄れないですよね。だからこそお互いに納得できる落としどころを探ることが大切で。先ほどのトークセッションで小林さんが仰っていた「音楽の受益者は誰なのか」という話がすごく印象的だったんです。要するに、音楽をやってる人だけが得をするんじゃなくて「あまねく」人に利益があるんだよと伝えることが重要なんだろうなと思います。あの話はさすが、元市の職員だなと思ってお聞きしていました。

後藤:一方で、すべての人に利益がないとやらないという考えだと何もできなくなる感じもあって、そこが悩ましいですね。行政の理念はわかるけど、広くみんなの利益になる「あまねく」ものって、実はそんなにないんじゃないかとも思います。

―そういった現状の中で、これからの公共施設が、どういった場であればいいと思われますか?

出口:公共施設を管理していて思うのは、そこを訪れる人に前向きな気持ちや「やってみよう」というきっかけを「伝播」することができれば、そこはもう公共施設と呼んでいいんじゃないかということです。

後藤:そういう意味では僕たちは民間で、音楽に特化した公共施設をつくろうとしているとも言えます。今ある公共施設を面白く使うことも大事ですが、これからはもっと相互扶助的に、みんなでみんなの場所をつくり、みんなで関わっていく。そんなことを考えてもいいんじゃないかと思います。

出口:1人で全てをやろうとすると実現するのが難しいし、どうしても閉じたものになってしまう。だからよく「持ち寄り型の運営」と言いますが、予算や場所やアイデアをそれぞれが持ち寄ってやると、なんとか形になるんじゃないかと思うんです。公共の施設って、必ずしも公的機関がつくる必要はないと思っていて。民間に開かれていればそれはもう公共施設ですし、今回のトークセッションの主催である「長崎創楽堂」のように、大学がつくったっていい。つくれる人がつくって、それを開いてみんなに使ってもらう。そういう感じでいいんだと思いますね。

小林:僕は行政にいたから、正直「ハコモノをつくること」には抵抗があるんです。というのも行政の職員がつくっても、なかなか面白いものができないんですよね。一方で僕ら民間には、いろんな仲間がいてアイデアはいくらでもある。そこは役割をうまく分けて、行政は資金面や、流れをスムーズにする環境づくりを支援して、実際の企画や運営は民間がやる。その方がうまくいくんじゃないでしょうか。

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