グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
4月19日は、Sumally代表の山本憲資さんからの紹介で、指揮者の坂入健司郎さんが出演。1988年生まれ、13歳ではじめて指揮台に立ち、2008年に20歳で東京ユヴェントス・フィルハーモニーを結成、世界的なソリストとの共演や、数多くの日本初演・世界初演の指揮を手がけている坂入さんに、プロの指揮者になるまでの練習や勉強、オーケストラやクラシックの魅力などについて伺いました。
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一緒にやろうっていう雰囲気にどうやってするかが、指揮者として大変なポイント
タカノ(MC):坂入さん、笑顔が素敵で。そして、所作が美しくて。
坂入:ありがとうございます(笑)。
Celeina(MC):指揮者の雰囲気が。
タカノ:先ほど、ペンを持った状態でジェスチャーをしてたときに僕、見えちゃいました、バックにオーケストラが(笑)。そんな坂入さんですが、既に幼稚園の時には指揮者になりたいと思っていたと。早いですね。
坂入:クラシックのCDを聴いたら違う演奏、例えば、“運命”で違う演奏を聴いたら、僕はこういう風にしたいみたいなことを幼稚園のときから言ってたみたいで。
タカノ:早くから、違いが。そもそも分かるものなんだっていうところですけど。指揮者になるためには、どんな練習や勉強が必要になってくるんですか?
坂入:まず、ピアノやオーケストラにある楽器を練習したりですね。僕はチェロを弾いてたんですけれども、トランペットやフルートを吹いてみたり、パーカッションをやってみたり。あとは、譜面を読める、演奏や指揮をする作曲家の研究みたいなことが一番の最初の勉強かなと。
タカノ:幅広いですね。
坂入:そうですね。全てのことを知っていた方がいいので。例えば、弦楽器奏者の弓の運びの都合などで音楽はいろいろ変わっていくので、そういうことを全部、知っておくということと。そういうのが派生していくと、楽譜や作曲家の研究だけではなく、オーケストラとどうコミュニケーションを取るか、雰囲気を良くした方が良い音楽が流れるんじゃないかとか。全てにおいて、いろんなことを考えるという癖がつくようになると思います。

Celeina:音楽に対するナレッジとか技術だけじゃなくて、人対人のコミュニケーションも熟知しておかないといけないんですね。
坂入:それは僕、チェロを弾いてて気づいたんですけど、こういうふうにしたいって指揮者がひとりよがりになってしまったら、多分みんなテンション下がりますよね。一緒にやろうっていう雰囲気にどうやってするかが、指揮者としてはとても大変だと思います。もちろん厳しい指揮者もいるんです。怒ったり怒鳴ったりする指揮者もいるんですけど、この人ならついていきたいと思うような魅力がある職業っていうのが、指揮者だと思いますね。
タカノ:人生とか人柄と密着してるような。
坂入:そうですね、とても密着してると思います。
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1日で5キロ痩せた550人のオーケストラ指揮の経験
Celeina:坂入さんが指揮者として経験を重ねられていく中で、印象に残ってるエピソードはありますか?
坂入:最初、この演奏はこういうふうにしたいとか、この音楽はこういうふうにするべきだという思いを持って指揮をしてたんです。高校生の時も、まさに、ひとりよがりの指揮者でした。その当時、ある練習に行ったら、こんな練習ついていけないよってみんなからボイコットされて、練習会場に誰もいなくて。それから反省して、やっぱり、みんながあっての音楽なんだっていうことを考え直してから、指揮者って面白いなと。
Celeina:へえ。
坂入:ひとりよがりだった気持ちが、「こうふうにやりたいんだけど、どうやったらもっといいものができるかな」って対話したら、僕が思ってるのが100%だとして、120%になったんですね。その音楽の充実度というか、それが一番、指揮者としての自分が変わった瞬間でしたね。

Celeina:実際に、高校生のときにボイコットされたらショックを受けますよね。この切り替えポイントは、じわじわと来たものなんですか?それとも、気持ちの中で切り替わるスイッチがあったんですか?
坂入:そのときは、部活みたいなものだったので、楽団員の人もフォローしてくれました。1回失敗しちゃったけど、次のチャンスは、絶対にみんなが面白いものにするぞという決心がつきました。へこんでる場合じゃないなと。
タカノ:聞いてると、クラシックの魅力って、指揮者の方と楽団員の間の駆け引きみたいなところかもしれないと思ったんですが、実際にそうなんですかね?
坂入:そうですね。本当に駆け引きだと思います。例えば、最初の練習とか、初めて振るオーケストラは、オーケストラも緊張してるんです。どんな指揮者が来るのかわからないし、ひとりよがりな指揮者かもしれないし。指揮棒の振り方がわかりづらかったり。緊張感の中、ちゃんとできるよっていうものを示さないといけないので、そのやり取りは最初、言葉がなくても、例えば奏者が60人いたら60本の線でずっとコミュニケーションしてる感じです。そこがシビれるし、緊張もしますけど、面白いところですかね。
タカノ:坂入さんは、大人数の、100人以上の演奏会も経験されてるという。
坂入:そうですね。「児童合唱」という少年少女合唱も含めると400人、そして、オーケストラ150人で合計550人。2000人のホールだったんで、お客さんの3分の1は演奏者みたいな状況でしたね。そのホールで初めてリハーサルをしたときに、全員が僕を見るんですよ。550人の目、1100の目がこっちを見ているときに、あまりの緊張感で手が震え、足も震えたんですけど、1回振り下ろすと、もう音楽が流れてくるので、その音楽に没頭する。ただそれだけで乗り切ったんですけど、その日、朝からリハーサル、夜本番で、測ってみたら5キロ体重痩せてました(笑)。
Celeina:1日で5キロ!
タカノ:そんなこと可能なんですかね……。
坂入:汗もかいてるんでしょうけど、それ以上に、メンタルが……。1時間半ある曲なんで、有酸素運動もできてるんじゃないですかね。
タカノ:アスリートみたいな感じですね。
Celeina:ここで1曲、坂入さんが指揮する曲をお送りしたいと思うんですが、どんな曲を選んでくださったでしょうか?
坂入:まさに550人のオーケストラと合唱でやった曲のライブ録音がCDになってますので、その一部をお送りしたいと思います。マーラーが作曲した交響曲第8番“千人の交響曲”という曲の最後の部分を聴いていただきたいと思います。
〜音楽が流れる〜
タカノ:こちらの曲、実際は80分ということですので、はじめから改めて聴きたいなと思います。
坂入:ぜひ生で、聴いていただきたいと思います。
Celeina:「FIST BUMP」はお友達をご紹介してもらっているのですが、坂入さんがご紹介してくださるのはどんな方でしょうか?
坂入:はい。話し方のトレーニングをするベンチャー企業、kaekaのCEO千葉佳織さんを紹介したいと思います。
タカノ:話し方のトレーニング。どういうつながりなんですか。
坂入:彼女は、僕のオーケストラの後輩だったんです。バイオリンを弾かれるんですよ。一言で表すと「才色兼備」というような雰囲気の方で、大学生のときからオーラが違うというか、とにかく話し方が上手で。そのときから弁論大会で優勝したり、スピーチが上手で表彰されたりしてる中で、それを伝えるベンチャー企業まで作ってしまった、僕より年下なのにすごい大活躍の方です。
Celeina:ありがとうございます。明日は、話し方のトレーニングをするベンチャー企業、kaekaのCEOの千葉佳織さんにつなぎます。坂入健司郎さん、ありがとうございました。
坂入:ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann