グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。3月30日は、前回ご出演いただいたアーティストの「フユコ」さんが推薦してくれたアクタートレーナー、そしてアクティビストの森本ひかるさんにご登場いただきました。
INDEX
「アクタートレーナー」とはどんな仕事?
タカノ(MC):森本さんは「アクタートレーナー」をやられていますけれど、どんなお仕事なんでしょうか?
森本:俳優の方に演技技術を獲得していただくための授業をする、講師のような役目ですかね。
タカノ:僕ずっと、俳優さんはどうやって演技を学ぶんだろうなって気になってて。
森本:日本と海外の状況でかなり違っていて、日本は演出家の方に演出していただく中で、それぞれが叩き上げ的に技術を獲得していく流れが多いんです。その場所はそれぞれですけど、大学だったり、私塾だったり養成所だったりっていう感じだと思います。
タカノ:海外だとまた変わってくるんですか?
森本:そうですね、私の知っている範囲が狭いのであれなんですけど、例えば私がいたイギリスだと、演技の技術が体系化されていて、演技の技術を学ぶなら、あの大学やあのスクールで、あの講師から学ぶみたいな感じで。そこで講師をしているのがアクタートレーナーなんです。
タカノ:そうなんですね。森本さんがアクタートレーナーを始めるきっかけは何だったんですか。
森本:少しネガティブな話から始めてしまいますけども、私はもともと俳優として活動をしていて、その中で受けたハラスメントがすごくつらくて、演技は大好きなのに日本にいられないと思うようになったんです。
それでイギリスの大学院に留学をして、そこでアクタートレーナーとしての授業とか、専門的研究をしました。そこで学んでいく中で、自分が受けたハラスメントがこれ以上起きにくいような環境を作っていくことが、自分の傷を癒すためにも、今活動されている方のためにも必要だと思って始めたのがきっかけです。
タカノ:そっか、日本の俳優業界の中の問題を解決していきたい、困っている方のサポートをしていきたいっていう。アクタートレーナーとしては、実際にどんなことを教えるんですか。
森本:人によると思うんですけど、私の場合は3つ種類がありまして、1つ目は演技の技術、2つ目は作品の作り方、3つ目は作品を作る前の稽古場でのコミュニケーション方法を教えています。
タカノ:作品の作り方というのはどういうことですか?
森本:多くの場合、演出家や劇作家の方が最初から作品の設計図を決めて、その通りに作っていくんですけど、私が俳優の方々におすすめしているのが、作品を作る最初から終わりまで、ずっと俳優が主体的に作品を作る。台本も何もない状態から作っていくっていう作り方です。
タカノ:なるほど。能動的に作品に参加してくってことですよね。
森本:おっしゃる通りですね。
タカノ:そうすることで、俳優さんも含めてみんなで作品を作り上げることに繋がりますもんね。あとコミュニケーションの仕方とかも大事ですよね。なかなか教えてもらえないというか。
森本:本当にそうですよね。最初のギクシャクした関係のままいきなりアクセルかけて進み始めて、ガタガタになって、ああ〜問題が! 終わった……みたいな感じになってしまうこともあると思うので。

アクタートレーナー・ファシリテーター。俳優向けに演技教育をするほか、演出家が稽古場で俳優を標的とし行うハラスメントや虐待を減らすための研究や、劇場でのクィアパフォーマンスに関して研究を行う。MFA Actor Training and Coaching, The Royal Central School of Speech and Drama, University of London セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマ(ロンドン大学)大学院修士課程のアクタートレーニング・アンド・コーチング(演技法・教育学)を専攻、修了。
https://www.hikaru-acting.com/
INDEX
表現の現場のハラスメントやジェンダー不平等について調べ、発表する「表現の現場調査団」
タカノ:森本さんはアクティビストとしてもご活躍されていますけど、こちらはどのような活動をしているんでしょうか?
森本:はい。まず紹介するのが「表現の現場調査団」で、日本には美術、演劇、映画、デザインなどなどいろんな表現の業界ありますよね。そういう様々な表現の現場において、ハラスメントがどのように起きているのか、ジェンダーに関する不平等がどのように起きてるのかっていうのを調べて発表する団体になります。
タカノ:はい。LGBTQ+のアクティビストでもあるんですよね?
森本:でもあります! 啓発活動を行ったり、この間は国会議員向けの勉強会みたいなものに参加して、お話したりしました。
タカノ:森本さんの原動力って、一体何なんでしょうか?
森本:私の場合は、活動しないと、フラストレーションを持ち続けたまま、痛みを持ち続けたままになってしまって、それがつらい。それを解消するために活動をしている、というのもありますね。動かないとちょっとつらくて。

タカノ:そっか、でもそうやって森本さんが活動をすることで、いろんなところで困っている人、自分では声を上げることができないっていう人に勇気を与えていますよね。
ではここで1曲かけたいんですが、森本さんの選曲をお送りしたいです。どんな曲を選んでくれたんでしょうか?
森本:曲はですね、エズラ・ファーマンさんの“Mysterious Power”という曲です。これは私の解釈になるんですけど、エズラ・ファーマンさんはトランスジェンダー女性で、数年前にカミングアウトされたと思うんですけど、この曲では生まれたときに割り当てられた性別の、男の子として部屋の中に1人でいて、誰もいない中で自分が好きなラジオをかけて男の子じゃない自分を認めるっていう曲だと思ってます。
タカノ:森本さんもおっしゃっていましたけれども、誰もいない中でラジオを聞いててね、本来の自分を認めるっていう。曲調的にもすごくこの時間帯にあっていてね。
さあ森本さん、今後の予定はどうでしょうか?
森本:はい、2つお伝えしますね。まず1つは4月22日に開催される『東京リベレーションマーチ』に一般市民として参加しようと思っています。世の中にはいろんな差別ありますよね。その差別の垣根を越えて、みんなで「差別、おかしいよね」というメッセージを持ちながらマーチをします。
もう1つは「表現の現場調査団」に関してなんですけど、2020年から継続的に活動を続けてきまして、今年の秋頃ですかね、ちょっとまだ具体的にはわからないんですけど、また新たに調査結果を発表しますので、ぜひ皆さん注視していただければと思います。
タカノ:ありがとうございます。今日の森本さんのお話を聞いて興味を持った方は、ぜひ活動を追ってみてください。 FIST BUMP、今日はアクタートレーナーでアクティビストの森本ひかるさんにお話を伺いました。どうもありがとうございました。
GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann