グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
8月3日は、アイドルグループ「ミームトーキョー」のNENEさんさんからの紹介で、編集者・アーティスト・キュレーター・DJの米原康正さんが出演。伝説のギャル雑誌『egg』のクリエイティブディレクターを務めるなど1990年代以降の女子アンダーグランドカルチャーの扇動者でもある米原さんに、『egg』の裏側や、2000年代後半に中国へ拠点を移した理由、最近、立ち上げたブランドやギャラリーの話などを伺いました。
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1990年代から原宿の誰もが知る編集者
タカノ(MC):お2人はお友達?
Celeina(MC):そうなんです! 良いですか、お友達と呼んで?
米原:全然OK。
Celeina:ありがとうございます。フレッシュな感じで米原康正さん、ヨネさんのバックボーンに触れていきたいと思っているんですが。
タカノ:もう、すごい方ですから。
Celeina:そうですよ。1990年代、原宿を歩いていたら誰もが知る、じゃないですか。
米原:今もそうだよ(笑)。
Celeina:間違いないです。そのときから今までずっとです。ヨネさんは編集者、アーティスト、キュレーター、そしてDJと、たくさんの顔をお持ちじゃないですか。キャリアの最初って何だったんですか?
米原:基本的に今もそうなんだけど、編集者っていうのがベースにあって。他のものは、その編集するいろんな分野の一つと思ってもらった方がいいかな。編集っていろんなものがあって、それを自分のフィールドの中で一つにまとめて人に見せるっていうことをやっているので、キュレーションもDJもみんな編集だと思っていて。だから、他の仕事をするときも「編集です」って言っちゃってるんだけどね。

Celeina:へえ。もしかして、写真を撮るときも編集がメイン?
米原:基本的に、人を選ぶところから、どういう写真を撮るかっていうところまで全部自分でやっているので、僕は編集だと思っている。
タカノ:精神性も含めてみたいな。
米原:だから、やっぱり好きじゃないと撮らないっていう部分もあったりするし。
タカノ:気になっていたのが、伝説のギャル雑誌『egg』。こちらのクリエイティブディレクターをやられていたのは、いつ頃なんですか?
米原:1994年に相談を受けて「どんな子が気になりますか?」っていう部分からはじまって。僕、ZEEBRAじゃないけど、渋谷とか六本木とかの悪い人は大体友達で(笑)。その頃ストリートで一緒に遊んでた女の子たちが、普段はアメカジをサイズダウンさせた感じで、制服になるとルーズソックスにミニスカートだったんだよ。当時、メディアが扱う女子高生って、膝下のスカートにおさげで決まっていたので、これはおかしいなと思って、街で人気のある女の子たちがちゃんと出られるようなメディアを作りたいなってとこが最初だね。
Celeina:ヨネさん、ありがとうございます! ヨネさんの動きがあったから今があるんです。
タカノ:文化を作ってる方ですからね。凄いですよね。
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ガールズカルチャーから中国とアートへ
Celeina:その後、『OUT OF PHOTOGRAPHERS』を創刊、『smart girls』のプロデューサーを務めるなどご活躍されていますけれども、2000年代後半から2017年までは中国を拠点に活動したと?
米原:なんで『アウフォト』を作ったかというと、女子高生たちが「写ルンです」で写真を撮ったり、みんなが写真を撮り出した時期だったんですよね。『egg』は基本的に写真がメインではないので、写真メインの雑誌を作ったらどうかなとか。『smart girls』は、女の子たちが割とセクシーな格好するっていう部分があったけど、裏腹に、青文字系の女の子たちにはセクシーがなかったから、そこにセクシーをプラスさせたらどうなのかなとか。女の子が「こういうことがあれば踏み込めるのに」と思ったことを作るのは得意だね。
中国も、一度行ったときに、人々の熱気とか、これはもう日本は絶対に敵わないと思ったの。じゃあ、女子文化みたいな部分を上手く中国の中で僕が紹介できたらと思ってハマって、ずっと中国に行ってました。
タカノ:ガールズカルチャーにフォーカスしている理由は何なんですか?
米原:男がダメだからですよ(笑)。僕、基本的にパンクというかアウトサイダーが大好きで、社会的なものに縛られない人たちが好きなんです。でも、男子と付き合っていると、サブカルを気取ってる人でさえ縦の序列があったりとか、会社の裏返しみたいなところだったりするので。女子って、そこから完全に外れて自由気ままな人たちがいっぱいいるじゃない。そっちを面白いと思う部分が強くて、やってますね。
Celeina:面白いな。そして今、最も力を入れているのがキュレーション?
米原:これも編集の一つで。アートって本来、自由な発想の中で、いろんなことができるはずで。新しいアートっていうのを見つけなきゃと思ってるんだけど、今は「高くなりますよ」みたいな人たちがいっぱいいるので、自分たちでやった方が良いなと思ってるんですよね。高くなるのが悪いわけじゃないけど、その前に、面白い人たちが自分の作品を発表できるような場所を作ろうというのが、今の動きの一番大きいところですね。
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昔のような新しいものが生まれる街を目指して
タカノ:2019年に「+DA.YO.NE.(プラスダヨネ)」というブランドも開始されたということで、これはどういうものなんですか?
米原:基本的にプロジェクトで、僕がいろいろコラボするとプラスだよねという意味と、「プラスだヨネ」という意味があります。
タカノ:ヨネさんの「ヨネ」が入ってるんですね。
米原:名前はVERBALがつけてくれて。+DA.YO.NE.っていいんじゃないのみたいな話があって「使わせていただきます」みたいな(笑)。
Celeina:いいですね(笑)。そして、先ほどもちょっとお話させていただきましたけど、「tHE GALLERY HARAJUKU(ザギャラリーハラジュク)」を今年7月にオープンしたんですよね?
米原:オープンしました。(Celeinaさんに)来てもらったんだよね。
Celeina:はい!
タカノ:どんな場所ですか?
米原:原宿のとんちゃん通りの真ん中に花屋さんがあるんですけど、その隣にあります。

タカノ:どういったものを展示されるんですか?
米原:僕、アーティストのエージェントもやってて、その中にgataさんっていうアーティストがいるんだけど、彼が「BENCH AT THE GREENE」というブランドのIPを全部やっていて、そのポップアップを最初にやりました。その後、gataさんの個展を引き続きやってというところですね。
Celeina:gataさんから始まって、次が?
米原:「かすみらんち」さんっていうデジタルのアーティストの展示をやって、その後が、またブランド「BEN DAVIS」のポップアップをやるっていう感じで。原宿なんで、基本的に高い作品を置くよりも、いろんな人たちがそこを使えるようにと思ってます。『egg』のときに女子高生がいっぱい参加できるようにって考えたみたいに、ハブを作るっていうのが強いですね。
Celeina:なるほど。tHE GALLERY HARAJUKUは予約とか必要ですか? 誰でも入れる?
米原:もちろん。予約不要で、見る分には無料です。原宿って言うと、昔は洋服屋さんとか、いろんなところにたむろっている人がいっぱいいて、お金を使わなくても遊べたのに、今って、物を買って「ありがとうございました」で終わっちゃうんで。そうじゃない場所を作りたいと思いました。
タカノ:人との出会いも、その場で生まれたり。
米原:そうそう。今は消費者というか、物を買う人と売る人っていう街ばかりなんで、そういう街は面白くないなと思ってて。
Celeina:少しでもそういう部分を剥がしていきたいというか。
米原:ちゃんと、そこで生まれるものがないと。田舎が悪いわけじゃないけど、田舎の方で文化が生まれにくいのって、買う人と売る人が分かれてるからだと思ってて。田舎って人がいっぱいいるから、雑多な部分ができて、そこから何か生まれたはずなのに、どんどん生まれなくなっていくっていう状況は良くないなと思ってます。

Celeina:さあ、このあたりで1曲お送りしたいんですけれども、ヨネさんがこの時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでくださったんですよね?
米原:はい、OTYKEN(オティケン)というバンドの“STORM”という曲です。シベリアのミクスチャーバンドで、ロシアとかヨーロッパの方ですごい人気があるんだけど、情報が日本には一切入ってきてないっていう。曲によっては何百万回再生とかされてるのに誰も知らないのがおかしいなと思っていて、この辺は必ずチェックするようにしているんですよ。すごく良い曲なので皆さんに聴いてほしいです。
Celeina:ヨネさん、いろいろとお話を伺ってきましたけど、今後の予定はありますか?
米原:明日8月4日(金)から9月5日(火)まで、有楽町の阪急メンズ東京の7階の+DA.YO.NE. GALLERYでSIMON(シモン)くんっていうアーティストの個展『LIEN POP』が開催されます。

タカノ:お忙しいですね。発信は、ヨネさんのInstagramが中心ですか?
米原:Instagram、フォローしてください(笑)。
Celeina:ヨネさんのInstagram、皆さんチェックしましょう(笑)。さあ、「FIST BUMP」本日は米原康正さん、ヨネさんをお迎えしました。ありがとうございました。
米原:早い(笑)。ありがとうございました。

neuronoa solo exhibition“FEEL’EM ALL”

+DA.YO.NE. GALLERY
2023.9.06~10.3
https://www.instagram.com/plus_dayone_gallery/
【糖衣華・泉谷しげる二人展「VS」】

tHE GALLERY HARAJUKU
期間:9月6日(水)~18日(月)
休廊:月・火曜日 ※18日(月・祝)は開廊
時間:11:00~19:00
GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann