グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
7月26日は、アーティストのティンカーベル初野さんからの紹介で、BAR長州ちからの店主でオーガナイザーの長州ちからさんが出演。世界最大の音楽フェス『コーチェラ』などにも出演する、京都を拠点に活動するバンド「おとぼけビ~バ~」の制作ディレクションやあがた森魚のイベント制作、ギターウルフのローディーなど、音楽関係の裏方としても活動する長州さんに、オーガナイザーになるまでの経緯や、おとぼけビ~バ~やあがた森魚との出会いの話、バーの名前の由来などについて伺いました。
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「山口のコーネリアス」と呼ばれて上京するも……
タカノ(MC):昨日の初野さん曰く、「バンドの背中を強めに押しちゃう人」ということで。
長州:そう言ってくださって、すごく嬉しかったです。
タカノ:あと、実は僕、例の阿佐ヶ谷ロフトAの大喜利イベントで、ちからさんと一緒だったと(笑)。
長州:大喜利に誘っていただいて、1人で出るのは恥ずかしかったので、初野くんを連れていったんですが、初野くんの方がめちゃくちゃ面白かったので、私はへこんで帰るという(笑)。
タカノ:そんなことがあったんですよ。つながりがあったというね。
Celeina(MC):それでは、長州ちからさんのプロフィールをご紹介させていただきます。1983年、山口県生まれのオーガナイザー・バーテンダーです。昨日ゲスト出演していただきましたティンカーベル初野さんが率いる、1990年代ヴィジュアル系リスペクトバンド「色々な十字架」のイベント制作や世界最大の音楽フェス『コーチェラ』などにも出演する京都を拠点に活動するバンド「おとぼけビ~バ~」の制作ディレクション、あがた森魚のイベント制作とバックバンド、世界中にファンを持つ日本を代表するロックンロールバンド「ギターウルフ」のローディーなどなど、音楽関係の裏方として活動中です。さらに、2015年からは高円寺で、ご自身の名前を店名にした「BAR長州ちから」をオープンされています。

長州:はい。
タカノ:まず、「長州ちから」というお名前は、どういう由来ですか?
長州:真面目にバンドをやっている時期が5年ありまして。ちょっとたけし軍団みたいなバンドで、メンバーになるとステージネームがつけられるんですよ。僕は山口県出身だったので、「長州ちから」か、あと、本名が岩井シンゴで親父が岩井レイジって名前で、「岩井アゲインスト・ザ・マシーン」とどちらかを選べって言われて、20歳ぐらいから長州ちからを名乗らせて頂いています。
タカノ:そこから定着したんですね(笑)。でも元々、イベントのオーガナイザーになりたかったって聞いてますが。
長州:そうですね。上京したときは、ミュージシャンになりたかったので、右肩にギター、左肩にベース、リュックサックにサンプラーとテルミンとリズムマシンとMTRを入れて夜行バスに乗って来て「山口のコーネリアス」と呼ばれてて。上京した途端に、周りの人が天才ばかりでギターとか上手だったので、そちらの道を諦めたというのが一つなんですけど。あと、高校2年生のときに、両親がなぜか17歳の誕生日を重く受け取ってくれる方で、17歳の誕生日プレゼントに『フジロック’00』にパックツアーで行かせてくれて。
Celeina:最高の誕生日プレゼント!
長州:高校生だったので、激しいバンドとか好きだったんですけど、そうではない色んなバンドを観ては、「何だこれ?」と思って、『フジロック』みたいなフェスを主催したいと、東京に来た感じもあります。
Celeina:今日のゲストさんにぴったり! 『フジロック』開催直前ですから。
タカノ:若くしてオーガナイザーになりたいっていう心意気があったということですけれども、最近はイベントオーガナイズの方はどうですか?
長州:昔は、知らないバンドを4~5組集めて「どうだ、カッコ良いバンドいるだろう!」ってやってたんですけど、最近はインターネットとかで勝手に調べられるんで、わざわざ、そのライブハウスに集まって、新しいものを見つけに来る感じでもないかなと思ってて。
タカノ:時代ですよね。
長州:ラジオとかSpotifyのプレイリストとかで知らない音楽を聴く方が面白いのかなと思いますね。
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おとぼけビ~バ~とオジンオズボーン篠宮を組み合わせる
Celeina:今では個性的なアーティストさんのお仕事を多く手がけられていると。
タカノ:すごいラインナップですもんね。
Celeina:それぞれ、流れがあると思うんですけど、おとぼけビ~バ~さんの制作ディレクションをやるようになったのは、どういう流れがあったんですか?
長州:「十代暴動社」っていう名前でレーベルをやっていまして、そこのレーベルからリリースした京都の板前さんがやっている「ねじ梅タッシと思い出ナンセンス」というロックバンドのレコ発を京都でやったんです。そのときの対バンに、おとぼけビ~バ~が出ていて。彼女たちがまだ20歳とかのときだと思うんですけど、ライブも物販で買ったCD-Rもすごく良かったので、何かお手伝いできることがあったらってメールをしてん返信をくれたところからのお付き合いです。

Celeina:ちからさん側から、ご連絡したと。
長州:勇気を出して連絡しちゃいましたね。
タカノ:レーベルオーナーみたいなこともやられている?
長州:そうなんですよね。
タカノ:おとぼけビ~バ~、すごいですよね。Red Hot Chili PeppersのフリーとチャドがSNSでメンションつけてたり。
長州:その前だと、明日の『フジロック』のヘッドライナーを務めるFoo Fightersや明日出演するBlack Midiがインタビューで言ってくれたりとか、日本公演の前座に呼んでくれたり、いろいろお世話になってますね。
Celeina:すごい!
タカノ:本当に今日のテーマにもぴったりというね。あと、イベント制作で最近だと、ギターウルフと超新塾、おとぼけビ~バ~とオジンオズボーン篠宮さん。これは面白い組み合わせですよね。音楽とお笑いって。

長州:さっきも言ったように、音楽ライブだとアーティストや曲を知らなければ見ないで帰って良いやとなるんですけど、音楽ファンってお笑いをあまり知らないこともあるし、お笑いファンにも音楽を見てもらいたいという気持ちもあるので、そのクロスオーバーがしたい。あと、シンプルにコロナ禍に俺がめちゃくちゃお笑い好きになったという。
タカノ:ちからさんが推してる人を、みんなに知ってほしいというモチベーションですよね。
長州:そうですね。好きなものをみんなに知ってもらいたいなという気持ちはめちゃくちゃあります。
Celeina:アーティスト側からしたら、ちからさんみたいな存在って本当にありがたいですね。
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オーセンティックなバーを目指して「長州ちから」と命名
Celeina:2015年から高円寺でバーもやられているということで、どんな経緯だったんですか?
長州:元々、新宿のゴールデン街で7~8年バイト修行していまして、漠然といつか店をやりたいなと思っていたら、行きつけだった「オクトーバー」というインディーロック系に強いロックバーの店主さんが辞めるって言い始めて。だったら俺に貸してくださいって言って、次の日に不動産屋に行って、まるっと居抜きで。
Celeina:バイタリティがすごい! そのバイタリティの源ってどこにあるんですか? 昔から?
長州:多分、そうだと思います。
タカノ:BAR長州ちからという名前も面白いですよね。
長州:名前はちょっと間違えたなと思ってるんです(笑)。結構、真面目にやってるんですけど、長州ちからという名前のせいで、皆さんが持つイメージが違うんじゃないかなという気がしてます。
タカノ:ご自身の名前を付けた理由はあるんですか?
長州:オーセンティックなバーって名字をつけたりするじゃないですか。「倉田」みたいな。それで「長州ちから」がオーセンティックになるんじゃないかと思ったんですけど、名前が変だったら全然オーセンティックじゃなくて(笑)。
タカノ:お客さんはどういう人が来るんですか?
長州:お客さんは音楽好きだったり、お笑い好きだったり、漫画好きだったり、映画好きだったり、カルチャー喋りが好きな人が多くて。みんな愉快なお客さんばかりで、自分よりいろんなものに詳しい人が多いので、お客さんから教えてもらってて助かってますね。

タカノ:みんなと仲良くなれそうで良いですね。BAR長州ちから、ぜひチェックしてみてください。さあ、ここで1曲いきたいんですけれども、長州ちからさんに、この時間にラジオでみんなで一緒に聴きたい曲を選んでもらいました。どんな曲でしょう。
長州:夏の暑い日なので、夏っぽい曲をかけたいなと思いまして。あがた森魚さんが小学校の初恋の先生について歌った“佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど”っていう曲を選ばせていただきました。ちなみにベースは細野晴臣さんです。どうぞ。