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グソクムズの音楽は、はっぴいえんどのない世界でなぜ鳴り響くのか?

2023.7.18

#MUSIC

はっぴいえんどの「風街」が建てられ、愛されたワケ

一方ではっぴいえんどは、有名な「ですます調」を用い、客観的な視点と淡々とした風景描写で「風街」を作り上げた。その背景には、彼らが置かれていた当時の時代性が影響している。

1971年から1972年にかけて繰り広げられた「日本語ロック論争」に明らかなように、当時の日本では、舶来の音楽であるロックは英語で歌うものである、という固定観念もあり、西洋的価値観の受容と切っても切れない状況にあった。その中で「日本語ロック」、ひいては「日本のロック」を確立しようとしたはっぴいえんどが、海外の模倣ではなく、海外を相対化することによって生まれた表現の一つが、「ですます調」であり、客観的な視点だった。

歌詞の中で描き出したのは、東京オリンピックを境に失われた、近代化以前の田舎社会的な日本へのノスタルジーだった。戦後復興と高度経済成長期――良い職につき、良い人と結ばれ、幸せを得るという共通の理想を、自身の力によって実現することが出来るようになった未来志向の世の中で、反作用的に機能していた「あの頃」を希求する過去志向。そうしたアンビバレントな感覚を持つ社会の中で、フォーク音楽が流行していた当時、まだ大衆性を帯びていないロックミュージックを愛する、アンダーグラウンドでオルタナティブな層に位置していた若者たちの心を捉えたはっぴいえんどの歌詞は、ノスタルジーだけではなく、当時の若者たちの共通観念を歌っていたのだろう。

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