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サブリナ、ドージャ・キャットなど9〜10月注目新譜を深堀り。あのちゃんの凄みも

2025.11.14

#MUSIC

日本のノイズ / アングラも参照。気鋭ミュージシャンによる5時間半の大作

つやちゃん:1980年代リバイバルというと、いわゆるポップダンス系と、あとメタルかなと思うんですけど、最近Sleep Tokenとか、ポップシーンでまたメタルが売れ始めているというトレンドもありますよね。

伏見:そういう文脈でも、(メタルに詳しい)清家さんの最近のオススメは気になります。

清家:そうですね。急にメジャー感を欠いて申し訳ないですけど……ロキシー・ラドクリフ(Roxy Radclyffe)っていう、いま20代前半のトランスジェンダーで1人で全部作っているアーティストが、9月の頭に出した『Get Stickblood』という、本人曰くロックオペラ的なアルバムにかなりハマりました。

Bandcampで買うと歌詞のPDFがダウンロードできて、それが、小説とかもついていて100ページ以上もあるんです。基本的にダークキャバレーというジャンルが軸になっているんですけど、途中に長々とポエトリーリーディングの時間があったり、ノイズポップ、エクスペリメンタルとか、グリッチとかいろいろ出てきます。もちろんメタルとかエモみたいな要素も。自分は物語音楽的なものにすごく惹かれるので、コンセプチュアルなアルバムでストーリーがあって、なおかつ音楽のジャンルもごちゃまぜでっていうのが、かなり久々にものすごくツボなアーティストに出会ったなという感じで、今年全体で見ても一番好きだったかもという作品です。

清家:本人がセルフライナーノーツ的にリファレンス元になったアーティストを挙げているんですけど、My Chemical Romanceとかはまあそうだろうなという感じがしますが、高円寺百景や灰野敬二も入っていたのが面白かったです。ただ、これ、全体の長さが5時間半あるんですよね……。なので、ちょっとオススメしづらいんですけど、序盤のわりとポップな曲だけでも聴いてみてほしいです。ネットっぽい音楽、ブレイクコアや同人音楽、ボカロとかを好きな方は、わりと好きなんじゃないかと思います。

伏見:5時間半はワーグナーより長いですね(笑)。こういうハイパーポップやネットカルチャーから出てきた音楽って、登場してから4、5年かそれ以上経って、いまそういうアーティストがたくさんいることは知っているんですが、現状どうなっているのか、数年前から変化があるのか、僕は見えてなくて。お二人はどう感じていますか?

清家:自分の(検索やおすすめ表示の)アルゴリズム的にそうなっている可能性も捨てきれないですけど、わりとメタル寄りになっているというか、メンヘラカルチャーみたいなものと結びついて、ヘビーになっている、マキシマイズされて音が過剰になっているような感じはします。

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