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Tame Impalaと「役割を降りたい」ビッグアーティスト
風間:話は変わりますが、Tame Impalaが10月に『Deadbeat』というアルバムを出したんですが、ヒットはしている一方、批評の方からはそっぽを向かれちゃったようなところがあって、悲しいくらい話題になっていないんですよね。
キムラ:個人的には先行シングルの“End of Summer”が一番の盛り上がりだったなという感じですね。硬いテクノで素晴らしかった。そこからロックやサイケやハウスが出てきて、なんかいろいろやるんだな、と。いろいろアイディアはあるけれど、それがごっちゃになってる感じがしちゃって、個人的にはうーん……という感じでした。
松島:プレイリスト的って感じですよね。
風間:まったくそうですね。一方で、『GQ』にインタビューが出ているんですけど、「ライブの前にはとりあえず錠剤を飲むんだ」みたいなところから話が始まり、音楽の話というより(本名である)ケビン・パーカー自身の話になっていて。最近のライブではあからさまに無精髭がすごかったりもして……。
松島:ちょっとメンタルヘルス面が心配になる感じですか。
風間:はい。無精髭は、往年のロックスター感があって好きでもあるんですけど……。「役割から降りたがっている」みたいなところを感じます。それは例えば、いまの星野源もそうですよね。「ただ踊るんだ」と言ったタイラー・ザ・クリエイター(※)もある意味そうですし、brat summerの終わりもそこと絡めて考えてもいいかもしれないです。キャリアの長いビッグアーティストが、そこに疲れて「降りて」きている傾向があるなと考えたりしていました。
※タイラー・ザ・クリエイターは今年、前作『CHROMAKOPIA』を提げたワールドツアー中に、『CHROMAKOPIA』とはまったく異なる「ただ踊るんだ」というコンセプトのアルバム『Don’t Tap The Glass』を突如発売した。
風間:仕事をやり切ったというような面もあるんですかね。タイラー・ザ・クリエイターは、『CHROMAKOPIA』の後にあれが出せるっていうのはやっぱりすごいなって思いましたね。
—では、そのあたりの下半期の注目タイトルについては、次回でお伺いしようと思います。