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【2025年下半期振り返り・音楽編①】米津玄師とポストハイパーポップ、Jラップの活況

2025.12.11

#MUSIC

『RAPSTAR』、lilbesh ramko、国内ラップの地殻変動

—日本語ラップの大きな話題として、『RAPSTAR 2025』(※)の盛り上がりがあったと思うんですけれど、これについては松島さんいかがですか?

※『RAPSTAR』:2017年からABEMAで配信されている、次世代ラッパー発掘のオーディション番組。

松島:今年の『RAPSTAR』は、いわゆるプロパーな日本語ラップだけでなく、Worldwide Skippaのような変化球的なアーティストの活躍も目立ちましたよね。番組に出たことでそうした存在が世の中に見つかっていったのが印象的でした。

風間:選考から落ちた人もおいしい展開になっていますよね。

松島:そうですよね。決勝の公演に(出場者と別に)スター側として出演するラッパーにMIKADOがいるんですけど、彼は前年の『RAPSTAR』で惜しくも敗れてしまったアーティストなんですね。それでも、いまはスターと言っても過言ではない活躍ぶりですし、そうした別軸での夢の見せ方もあるよなと感じました。

恵比寿BATICAという、日本のヒップホップシーンにおける登竜門的な箱があるんですけど、今年の『RAPSTAR』に参加したAOTO、Siero、Worldwide Skippa、Sad Kid Yazというのは、いずれもBATICAに出ているような人たちで。まだアンダーグラウンドな存在である彼らがこうした賞レースで戦っていけてるっていうのは、やっぱり夢があるなと思いました。徐々にアンダーグラウンドとメインストリームの垣根が崩れていっている気がするし、僕はそうなればいいなと思っています。

キムラ:日本語ラップシーンの話題で象徴的だなと思ったのは、10月にお台場で開催されたCIRCUS TOKYOのイベント(『CIRCUS TOKYO 10TH ANNIVERSARY at ODAIBA』)で、lilbesh ramko、Peterparker69、PAS TASTA、Tohjiという、いまを代表するようなラインナップにもかかわらず、正直動員が厳しかったという話を聞きました。かたや、その翌日に開催された『暴力的にカワイイ 2025』(※)はめちゃくちゃ人が入ったという、この対称性が興味深いなと思って。この辺は松島さんにうかがいたいです。

※インターネット発のクラブミュージック系アーティストが集う、2017年にスタートしたイベント。長くclubasiaを会場としていたが、徐々に規模を拡大している。2025年はYunomi、YUC’e、Tomggg、TAKU INOUE、4s4kiらが出演。

松島:フジロッカー的な層の方っていらっしゃるじゃないですか。ラインナップの発表前にチケット買っちゃう、「行くものだから行く」っていう。『暴カワ』はそういう感じになってきていて、いい意味でラインナップに集客が左右されないのが躍進の理由なのかなと。「暴カワに行きたい」という人が定着していて、それはイベントへの信頼でもありますよね。CIRCUSのフェスには取材で11時間ずっと張り付いてたんですが、内容は本当に素晴らしかったものの、その素晴らしさがまだ伝わりきってないんだろうなと思います。組み合わせの妙みたいなところが若干ハイコンテクストで読み取りづらかったのかもしれません。

キムラ:なるほど。『暴カワ』の方はカラーがあって、CIRCUS TOKYOのイベントの方は、1組1組粒揃いではあるんだけど、全体を通して「いまのキュレーションはこうです」というのが、なかなか外に伝わりにくかったという。

松島:あの豪華さに加えて、ローカルアクトも本当に隙がない感じで、サードフロアまで素晴らしいDJが目白押しだったんで、会場がパンパンじゃないことにびっくりしましたね。ただ、当日券で海外の人とかは相当来ていたっぽいです。『暴カワ』の方は、クラブカルチャーと距離が近くない人を巻き込むことができたのも成功の原因なのかなと思います。クラブイベント時代からの積み重ねもありますし。

キムラ:『暴カワ』的な、いわゆるアニメカルチャーから派生した日本のクラブカルチャーの影響力を今年まさに感じたのが、AiScReam “愛スクリ~ム!”ですね。

松島:そうですね。さらにTikTokのバイラルもそこに乗って、みたいな感じでしたね。で、その『暴カワ』とCIRCUSの10周年を2日またぎで両方出てたlilbesh ramkoは、やっぱりちょっとすごいなと思いました。

風間:そうですね。渋谷WWWの15周年イベントの一環で、WWW、WWW X、WWW βの3フロアを開放してやるイベントがあったんですけど。

松島:『LYRICADE』ですね! 行きました。

風間:そう。そこで個人的に見た中でも、lilbesh ramkoとその前のAssToroの盛り上がりはすごかったです。こんな熱狂があるのかっていう。正直、その後のKhakiやPAS TASTAのバンドセットがちょっとしぼんじゃった感がありました。lilbesh ramkoは20分尺くらいで、たしか“i (dont) know.”だけやって終わったのかな。それでもう全員汗だくになって出ていく、みたいな感じでしたよね。

松島:トラヴィス・スコットの“FE!N”と同じバイブスですよ(笑)。8月に出したミニアルバムも、もう「その次」に行ってるんだなという感じで、やっぱり全然違うなと思いました。

風間:いや、本当に。米津さんは今度はラムコを呼ぶべきですよね。

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