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ハイパーポップ色が強かった今年の米津玄師
キムラ:あと、米津玄師が今年出したシングルは、いままでよりも強くハイパーポップの要素が出ている感じがしています。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』の主題歌“Plazma”、『チェンソーマン』(劇場版)主題歌の“IRIS OUT”ですね。
キムラ:映画『秒速5センチメートル』の主題歌の“1991”という曲も、間奏でめちゃくちゃノイジーなすごい音がするんですよね。あと、9月には“KICK BACK”のリミックスを出しました。
松島:ありましたね。Frost Children、ハドソン・モホーク、日本からはTomgggさんが参加していました。
キムラ:はい。米津玄師は当然、いまハイパーポップを知ったような人ではないわけで、いつどこでハイパーポップの要素を出してくるかと思っていたら、brat summer終了のタイミングと合致していたのが面白いなと思いました。言ってしまえばハイパーポップの「大衆化の完了」という感じがします。
風間:ただ、米津玄師がいつこの曲を納品したのかは、ちょっと気になりますよね。例えばアニメとかは、海外進出を前提とすると、1年前ぐらいには作り終えていると聞きますし……。
松島:勝手な想像ですが、米津さんはおそらくそうした流れも前からチェックしてはいて、ただ、挑戦したいと思っていても、どのタイアップに当てられるかをコントロールできないみたいなこともあるわけじゃないですか。漫画界のゲームチェンジャーだった『チェンソーマン』にハイパー的な突破感を重ねて、ああいう仕事になっていったのかな? とか。
風間:たしかに『チェンソーマン』と(テレビアニメ版主題歌の)“KICK BACK”は歩調が合っていたのをすごく感じます。ただ逆に、それ以降の曲は“KICK BACK”と比べると、マッチングがちょっと難しいところがあるとも思います。作家性とは別の話として。
キムラ:米津玄師は“地球儀”でひとつの到達点にたどり着いた感じもして、それ以降はやや割り切ってお仕事をしているような感じを、いちリスナーとしては受けます。今年リリースされた曲は間違いなくどれも「当たり」なんですけど、米津玄師のアーティストとしての意匠というか、方向性は、わりと停留している感じがしますね。
風間:やっぱり大変なんだろうな、と思います……。もしかすると落ち着いたら、星野源が『Gen』を出したように、そういう(私的 / 自己対峙的な)作品を出すかもしれないですね。