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知らんヤツの代弁をするな
ー瀧波さんの回答は、非常に具体的な解決法が示されているのが印象的でした。
瀧波:私は何かしらを「やれ」、もしくは「やるな」と言うのが好きなんです(笑)。その通りにするかは、言われた方の選択なので。「そういうことじゃないんだよな」と思うならそれでいいし。でも、読む人がいるから、その中には「なるほど」と思って参考にする人がいるかもしれない。なので、具体的にアドバイスするのは相談者にとっても読者にとっても有益だと思いますね。

ーこの連載に登場いただいた宇多丸さんや清田さんよりも一歩踏み込んだスタンスだと思うんです。これはお2人が女性からの相談を「他者」として受けることが多く、一方で瀧波さんは同じ女性からが多いことに関係しているのかなと思ったんですが、いかがでしょうか?
瀧波:相談者は答える人の性別なんかを考えないで相談してると思うんだけど、やっぱり多かれ少なかれ限界はあると思うんですよね。私は男性に相談されてもわからないですから。男性から相談されてその気持ちがわかるんなら、夫と喧嘩したりしないですよ(笑)。「性別は関係ない」という考えも間違いじゃないけど、社会が私たちを男女に分けて、それぞれに役割を強いたり優劣をつけたりしている以上、悩みも同質にはなり得ない。私はそう考えています。
ざっくりした話になってしまいますけど、男性の振る舞いで困っている女性に対して、男性はどうしたって女性の側には立てないですし。年齢による立場の違いも同様ですよね。例えば、新卒の女の子が上司から「今時の若いヤツはこんなこともわからないのか」という態度をとられて辛いという悩みに対して、親戚のおじさんが「こうした方がいい」とアドバイスしても的外れになるに決まってるじゃないですか。そのおじさんに言えることがあるとすれば、「会社というのはこういう構造になってるんだよね」ということや、「自分が新卒の頃はこんなふうに世界が見えていて、今はこう見えてるよ」ということに止まりますよね。

ーおじさんが理解できるのは相談者を悩ませている上司の方の気持ちだけど、「上司はこう思ってるはずだよ」と言うのが解決につながるのかという。
瀧波:知らんヤツの代弁をするなと。そのことで自分自身も救われようと思ってないか、ということは自省したいですよね。
私も、もし中学生の女の子から人生相談をもらったら、まず娘に聞くと思います。絶対にこの子の気持ちはわからない。わかってたら娘とも喧嘩しないです(笑)。聞いた上で、正直に「娘に聞いたらこう言ってました」と書くと思います。
ー自分と相手の属性が一致しない場合、基本的にはわからないことがあるはずだから、無理に答えようとしないことが大事なんですね。わからないという前提から始めるのが誠実なコミュニケーションだと。
瀧波:占い感覚で相談してくる人もいると思うんですよ。「来年まではキツイけど、その後結婚するよ」みたいな、なんの根拠もない答えでもいいから、というノリで(笑)。それはそれで面白いからいいと思うんです。でも、相談者にも読者にも誠実に答えようとするなら、半端な気持ちではいけないですよね。回答のスキルを上げていくべきだなと。