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その選曲が、映画をつくる

映画『メイデン』レビュー 此岸と彼岸を越境する音楽

2025.4.18

#MOVIE

親友の死、拾った日記帳……若者の様を静かに描く

あらすじを紹介しよう。ところはカナダのカルガリー郊外。親友同士の高校生=コルトンとカイルは、豊かな自然が残る環境の中、スケートボードをしたり川遊びをしたり、若者らしい無軌道さと純真さで、気の向くままの毎日を過ごしている。そんなある日、衝撃的な出来事が起こる。黄昏時に起きた列車事故で、カイルが突然にこの世を去ってしまったのだ。深い喪失感に打ちひしがれるコルトンは、同窓生のタッカーと衝突したり、授業を突然放り出してしまうなど不安定な日々を送るが、ある日、かつてカイルとともに散策した川べりで、一冊の日記帳を拾う。

それは、人付き合いが苦手で学校の雰囲気にも馴染めない女子生徒=ホイットニーの日記帳だった。ある日ホイットニーは、幼い頃からの友人であるジューンとの仲違いをきっかけに、一人森の中へとさまよい歩いていき、ついには失踪してしまう。しかし彼女はそこで、少し前に亡くなっていたはずの少年=カイルと出会い、二人は連れ立って森や町の中を遊歩する……。

美しい自然と若者たちの戯れの様を驚くべき鮮度で捉えたショットの数々、16mmフィルムならではのざらついた画質、細密でダイナミックなサウンドスケープ、此岸と彼岸を行き来する大胆なプロット、無名俳優たちが繰り広げる説得力に満ちた演技――。第75回カンヌ国際映画祭への招待や、第79回ヴェネチア国際映画祭での「未来の映画賞」受賞をはじめとした好評も頷ける、実に高潔な野心に満ちた作品だ。

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