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「オーディション番組の矛盾は、最終的に自分で決めることが絶対できないこと」(手島)
─番組の配信が終わってから、どんなふうに今の自分を取り戻したんでしょうか?
Luvto:とりあえず、「普通の日常に戻ってみよう」からスタートしました。もう歌を歌おうという気持ちにもならなかったので、一旦普通に過ごすことを目標に頑張っていました。3ヶ月くらいたって眠れるようになり、そこから体重も戻っていきました。
─逆境からの精神的回復力をレジリエンスと呼びますが、ご自身が苦しい時期を乗り越えてもう一度今の心持ちになれたのは、何が支えになったと思いますか?
Luvto:結局僕自身は音楽が好きだし、支えられたのも音楽でした。それとオーディション期間中は、「自分のペースでいいんだ」とずっと自分に言い聞かせていました。最後は自分自身が一番支えになったと思います。もう一度始めるにあたっては、応援してくれている人たちの支えもあったかもしれないですね。そういう人たちのために、有名になろうというのではなく、Luvtoだから伝えられることを伝えていこうっていうふうに目標が変化したからこそ、再スタートできたと思います。

手島:一番良いところにたどり着いたんじゃないかなって気がします。最近よく「自己肯定感」という言葉が使われますが、本来それは、その人が何かの役に立つとか成果を上げられるとか、そういう機能的なことや効力感・有用感ということだけでなく、自分の存在自体をそのまま認められるかどうかという存在レベルでの肯定感っていうのがもっと大事なことで、多分そこに戻っていかれたわけですね。
これは批判ではありませんが、オーディション番組で気を付けないといけないのは、基本的に「他者が評価する」ってところなんですよね。どんな形を取ろうと、参加者の意志では決まらないんです。そこがいわゆる一般的なアーティスト活動とか他の表現活動と少し違います。努力はできるけど、最後は誰か他者の決定に委ねざるを得ないので、そこの部分っていうのは負荷がかかりやすい仕組みになってると思うんですよ。自己決定ができるかどうかっていうのは、人間にとってすごく大事なことなんです。

Luvto:確かにそれは感じますね。だから、多分何のためにやってるのかわからなくなる子が結構多いのかな。審査員に気に入られることが目標になったり、芸能界でデビューすることが目標になったり、ファンを増やしたいとか、先生に怒られないように頑張るとか、だんだんみんなバラバラになってきてしまう。デビューっていう一つの方向を向いてるように見えて、意外と向いていなかったのかも知れません。