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鈴木実貴子編:「人の期待」に応えるプレッシャーと欲望。疲れて潰れそうな時もある

2025.12.3

#MUSIC

アーティストは誰の期待に応えるべきなのか

鈴木:ところで、プレッシャーを楽しむ方法ってなんかないんですかね。ライブもそうですけど、次のアルバムでいい曲が書けるかも含め、全てのプレッシャーを楽しむってどうやってやるんですかね。そうなりたいんですけど。

手島:どういう時にプレッシャーを感じるかは1回分析してもいいかなとは思います。

鈴木:それに関しては、「人の期待」かも。要は今、(2024年にメジャーデビューして)関わる人が多くなった。今までとは状況が違う。今までだったら「自分が納得するものができたらいいな!」だったし、期限も決められていない。だからマイペースに制作できたけれども、関わる人が多くなったら、「あの人を納得させたい」「この人も納得させたい」「お客さんも納得させたい」「士気を上げたい」とかっていうプレッシャーと欲望みたいなものかなあ。人の期待に応えたいみたいな気持ちだから、動機としてはきれいなんですよ、いい奴というか。でもそれを楽しめず、疲れて潰れそうな感じもちょっとしている。

手島:うーん、難しいですね。煮え切らない話になっちゃうんですけど、基本的にはこうしたらプレッシャーが解決されるみたいなのは多分ない話なんで。その上でちょっと綺麗事みたいなことを言いますが、多分「鈴木実貴子」というアーティストを応援しようという人は、「鈴木実貴子はそのまんまでいいですよ」っていう人だと思うんですよ。

活動の規模が大きくなっていくと、いろんな考えの人が出てきますけれど、昨日ライブを拝見して思うのは、基本、鈴木さんはあれしかできないと思うんです。

鈴木:そう!

手島:で、それがいいと思っている人が残るので、そのまんまでいることが結果的には期待に応えることになるのかなとは思います。ビジネスが拡大するといろんな人が関わるようになりますが、可能ならばそこの期待はあまり気にしない。そこの期待に応えるのは多分スタッフ側なんですよ。ビジネスの人たちは、利益を得たいとか、数字や結果を残したい人たちなんです。そこに対してはスタッフが応えればいいんじゃないですかね。スタッフとアーティストはチームだけど、ビジネスに関してどちらがその期待に応えるべく努力をするかというと、スタッフのほうが知恵を出して、納得させるよう頑張ればいいと思うんですよね。

鈴木:風潮的には結構、お前(アーティスト)も頑張れよ感はありますね。

手島:もちろん一緒にやるんでアーティストが全然協力しない、ということはないんですけど、僕は自分がアーティストをやっていた時もあるし、スタッフをやっていた時もあるので思うんですが、アーティストの役割はそのアーティストにしかできないんですよね。スタッフ側からしても、結局「この人はこの人でしかない」はずなんです。アーティストが一人で全部できるわけじゃないですから、「この部分は私が支えましょう、この部分はお願いします」というようなお互いを尊重した協力関係はもちろん大事なんですが、アーティスティックな部分は他の人に取り替えようがないんですね。だからまず応えるべき期待っていうのは、アーティストがアーティストであることだと僕は思います。

鈴木:ので、ほかのことを背負わないようにこっちが努力するってことですよね。「数字はあなたたちの仕事です」なんて、うちからは言えないわけだから。

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