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【『アートウィーク東京』をどう巡る?】
片桐仁は、立体やインスタレーション展示に注目
―東京でも、11月7日〜10日の4日間『アートウィーク東京(AWT)』という年に一度のビッグイベントが開催されます。東京を代表する53の美術館やギャラリーが参加し、会期中には各アートスペースに無料のシャトルバス(AWT BUS)が巡回するので、子どもから大人まで、アートを気軽に楽しめるイベントになっています。
片桐:53! 都内には、ここまでたくさんの美術館やギャラリーがあるんですね。僕は造形作家なので、やはり今日見た藤倉麻子さんの作品のような、立体やインスタレーションの展示を中心にまわってみたいです。

ダン・マッカーシー『Solo Exhibition』会場:KOSAKU KANECHIKA

遊び心があふれる独創的な絵画やセラミック作品を、40年余にわたるキャリアを通じて世界各地で発表してきたダン・マッカーシー。鳥をモチーフとして取り入れた新シリーズのセラミック作品や新作の絵画作品を発表し、旧作のセラミック作品も展示予定。
会期:2024年10月12日(土)〜11月16日(土)
住所:東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 5F
URL:https://kosakukanechika.com/exhibition/dan_mccarthy/
片桐:特に気になった展示の一つ。焼き物はアートの中でも特に好きな分野です。ダンさんのセラミック作品は、鳥をモチーフとしていて可愛らしく遊び心もありますし、一緒に新作の絵画も取り入れて展示されるようで、見応えがありそうだと思いました。
岡田理 会場:フイギユア

陶を素材とする立体作品を手掛ける岡田理の個展。岡田によるセラミック作品は、焼成など特定のプロセスを経て制作される陶の性質上、それぞれが具体性を伴いながらも、そぞろ歩くようにナラティブがつくり上げられ、抽象・具象の単純な二項対立では捉えきれないイメージの数々を提示する。
会期:10/26(土)〜11/24(日)
住所:東京都豊島区北大塚3-27-6 2F
URL:https://ffiigg.org/
片桐:岡田さんは「抽象・具象の単純な二項対立では捉えきれないイメージの数々を提示する」ということで、これだけだとどんな作品なのかわからないので、じっくり作品を見てわからなさと向き合いたいと思いました。
もともと僕は、作家や職人の緻密な手仕事を感じられる超絶技巧が大好きなのですが、超絶技巧の作家たちは、基本的に素材をそのまま生かしているんです。僕の粘土アートは、テクスチャーにこだわって表面に滑り止めを塗ったり、エイジング加工を施したり、素材をカスタマイズしまくっているので、素材をそのまま生かす超絶技巧の作品を見ていつも感動します。ダン・マッカーシーさんと岡田さんは同じセラミックでも、それぞれまったく違う魅力がありますね。
ヴァジコ・チャッキアーニ『Big and Little hands』会場:SCAI THE BATHHOUSE

1985年、ジョージア・トビリシ生まれのヴァジコ・チャッキアーニによる個展。社会的な出来事を示す象徴を扱った彫刻やインスタレーションを制作し、「状況に直接手を下すことなく、ある種の抵抗を生み出すこと」を目的とする作品は、ジョージアの時事問題、文学や詩のトピックと交差しながら、孤独、怒り、暴力など個人の心理的な問題を照らし出し、鑑賞者へ強く訴えるものとなっている。本展は日本では6年ぶりの個展。展示は今回のために制作される新作の映像作品と彫刻作品で構成される。
会期:2024年11月6日(水)〜12月21日(土)
住所:〒110-0001 東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡
URL:https://www.scaithebathhouse.com/ja/exhibitions/2024/11/vajiko_chachkhiani_big_and_little_hands/
片桐:SCAI THE BATHHOUSEは、歴史ある銭湯を改築したというギャラリーの建築もなんだか面白そうで。「歴史と自然、不在と存在、あるいは家族と経済といった二項対立的な構造、およびそれらによって生じる矛盾などから派生する個人の心理的な問題を照らし出し、鑑賞者へ強く訴える」……。ジョージアを拠点とするヴァジコ・チャッキアーニさんがどのような表現をされるのか、すごく気になります。
僕も、いろいろな活動をしていますが、たとえばいまだに同世代のクリエイターと比べて自分自身に悔しい気持ちを抱いたりすることもあります。それは生きている限りきっと、ずっと続くものだと思うんですよね。そんな思いもあり、興味が湧きました。
アートウィーク東京(AWT)は無料のシャトルバスがいっぱい出ていて、普段よりスペースにアクセスしやすくなるのも嬉しいですし、街全体で盛り上がっていると気軽にアートを楽しめますよね。せっかくたくさんの現代アートに出会える機会なので、身構えずリラックスして東京のアートの盛り上がりを楽しもうと思います。

片桐仁がAWT BUSで回りたいおすすめルート

AWT BUSのマップはこちら
ウェイティングルーム(江戸川橋)
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タリオンギャラリー(目白)
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フイギユア(大塚)
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スカイザバスハウス(根津)
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カナカワニシギャラリー(清澄白河)
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コウサクカネチカ(天王洲)
『アートウィーク東京』

会期:2024年11⽉7⽇(⽊)〜11⽉10⽇(⽇) 10:00〜18:00
会場:都内の参加美術館・ギャラリー、AWT FOCUS、AWT BARほか各プログラム会場
主催:⼀般社団法⼈コンテンポラリーアートプラットフォーム
提携:アートバーゼル(Art Basel)
特別協⼒:⽂化庁
公式サイト:https://www.artweektokyo.com/