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10代の下積み時代に出会った、思い入れのあるアート作品
―「迎えに行く」「作品が発する言葉を聞く」という言葉に、アオイさんの優しさや温かさを感じます。そういう感覚が芽生えたのは、アオイさん自身も誰かから迎えに来てもらったような経験があるからなんでしょうか。
アオイヤマダ:そうかもしれません。私も人間なので、エネルギーが足りずフルでアートと向き合えない時もあるし、逆に創作意欲が高すぎて他の人のアートを弾き飛ばしてしまうような時もあります。そういう時は、別のタイミングでもう一度観に行くこともあります。
それでもファンの皆さんは、私の表現を迎えに来てくれるし、自分なりの楽しみ方を見つけ出してくれる人が多いです。あと私は、作品のほうから自分を迎えに来てくれたような感覚になることもあって。大好きなコスチュームアーティストのひびのこづえさんが衣装を用意して、おとぎ話をテーマに「UP AND DOWN」というダンスパフォーマンスをシリーズ展開しているのですが、最近それを観に行った時にすごく元気をもらいました。

―16歳で一人上京したアオイさんですが、10代の下積み時代の中で思い入れのある作品はありますか?
アオイヤマダ:音楽家の曽我大穂さんが主宰となって、ガンジー(CINEMA dub MONKS)さんや服飾家のスズキタカユキ(suzuki takayuki)さんと展開している「仕立て屋のサーカス」を観た時の感動は今も覚えています。
「仕立て屋のサーカス」はほとんど言葉がない作品なのですが、言葉では作り出せないような尖りや叫び、温かさを目の当たりにして、当時抱えていた悩みが晴れて世界がひらけるような感覚がありました。
