金沢21世紀美術館の2026年度の展覧会およびプログラムの概要が公開された。1年を通して、6つの展覧会を開催する。
4月からは「路上」をキーワードに、都市の公共性や自由を探る企画展『路上、お邪魔ですか?』を開催。1986年に結成された「路上観察学会」から40年という節目に、現代美術から大道芸、ビデオゲームまで多角的な視点で路上の芸術を提示する。10月からは、美術館の使命である「作品の継承」に焦点を当てた企画展『今日から明日へ(仮)』を予定。ミクスト・メディアやメディア・アートの保存という現代特有の課題に向き合い、修復のプロセスを一体として公開する。


また、能登半島地震からの復興支援として『奥能登国際芸術祭being』と連動した『再生、能登と共に(仮)』を開催。甚大な被害を受けた所蔵作家の作品再生を通じ、能登の未来を展望する。
金沢21世紀美術館は、2027年5月から2028年3月にかけて空調設備更新等のための長期休館を予定している。長期休館中は、旧日本銀行金沢支店跡地や市街地の公共空間を会場とした『金沢まちなか芸術祭(仮称)』の展開が予定されており、美術館の枠を飛び出した「まちに活きる」活動が継続される。
金沢21世紀美術館
所在地:石川県金沢市広坂1-2-1
『路上、お邪魔ですか?』

日時:2026年4月25日(土)〜9月6日(日)
路上には、自由と邪魔が同居しています。かつて日本には、公界と呼ばれる一定の制度や権力の及ばない自由な空間が存在していました。寺社の門前や宿場町に見られた領域は、移動する人々や芸能を受け入れ、 文化や交流を育む装置でもありました。一方で路上は、単に自由や解放の象徴だけではなく、排除の論理によって居心地の悪さや不安定さも抱えています。 1986年に赤瀬川原平や藤森照信らにより結成された 「路上観察学会」は、変わりゆく都市のなかで、路上を観察し、読み替える目を提示しました。それから40 年を経た今年、本展では、現代美術から歴史的資料、テレビゲームや銭湯、大道芸までをも紹介しながら、 路上は誰のものか?をキーワードに、路上の公共性を 探ります。批評とユーモアの喧騒に溢れた、路上の芸術に出会いにきてください。
『今日から明日へ(仮)』

日時:2026年10月31日(土)〜2027年4月18日(日)
長期休館を控えた美術館の現在地を見つめ直し、作品を未来へ継承することの意味を問い直す展覧会です。「今日」は現代美術における「現代」=「いま」、そして当館が開館してからの約20年を指し、「明日」は 休館後から次の20年以降を想定しています。美術館 は本来、百年、千年先まで作品を残す使命を担いますが、不確実な現代において、まず20年先まで作品をどう残すかという現実的な課題に21世紀の美術館として向き合います。本展では、修復や継承方法の検討を要する所蔵作品を中心に、ミクスト・メディアやメディア・アート、インスタレーション作品の保存にまつわる課題を具体的に提示し、作品とその修復や継承のプロセスを一体として示すことで、美術館のこれからの役割と姿勢を明らかにします。
『コレクション展 歩く、とどまる』

日時:2026年5月23日(土)〜10月18日(日)
「歩く」あるいは「移動する」という行為を切り口に、当館のコレクション作品を紹介します。展示作品には、一歩踏み出すという行為を起点に、外の世界を観察すること、思考や記憶の内側へと分け入ること、また、歩く人が位置する場所で生じる摩擦や、場所との関係性のなかで交渉する姿など、さまざまな「歩み」があらわれます。歩く、とどまる、というシンプルな行為から、観察、抵抗、記憶 や時間への思考といった、多様な態度へとつながる実践を通して、 人と空間、そして社会との関係性を浮かび上がらせます。
『再生、能登と共に(仮)』

日時:2026年9月8日(火)〜2027年4月18日(日)
能登半島地震から2年、被災地は今なお復興の途上にあります。 2026年度は、開催を見送った奥能登国際芸術祭に代わり、「奥能 登国際芸術祭being」として新規の作品制作は行わず、過去に制 作された一部の作品を公開しています。本展では、同芸術祭出品 作家で当館所蔵作家でもある牛嶋均とさわひらきを取り上げます。 甚大な被害を受けた両者の作品は、公開の目処が立っていません。 作品を通して能登と関わり続ける両者が、被災地の今と向き合い、 自身の作品の再生とともに能登の未来を考えます。
『アペルト21 野村由香 黄金の川』

日時:2026年4月4日(土)〜8月23日(日)
野村由香は、日常生活や社会、自然に通底する根源的な力に関心を寄せ、現場での観察や介入を通して、その作用やベクトル、そこに流れる固有の時間を、彫刻やインスタレーションとして可視化してきました。本展では、犀川で採取される「砂金」に着目し、新作を発表します。
『NEUTRAL COLORS』

日時:2026年9月15日(火)- 2027年 4月18日(日)
NEUTRAL COLORS(ニュー・カラー)は、独立した出版社であり、発行する雑誌であり、印刷製本所の名前でもあります。本展では、それらが有機的につながりながら、個人的な体験や創作、記憶をリソグラフなどのハンドメイドな印刷手法を交えながら唯一無二の誌面で発信し続けるNEUTRAL COLORSの取り組みそのものを紹介します。