北野武が監督 / 脚本 / 編集を手掛け、2月14日(金)からPrime Videoで世界配信されている映画『Broken Rage』のオフィシャル特別インタビュー映像が公開された。
同作は、Amazonのオリジナル映画としてAmazon MGMスタジオが製作。「暴力映画におけるお笑い」がテーマとなっている。約60分のうち、前半は警察とヤクザの間で板ばさみになった殺し屋が生き残りをかけて奮闘し、裏社会が舞台の骨太のクライムアクションとして展開。後半は前半と同じ物語をなぞるコメディタッチのセルフパロディになっている。主人公の殺し屋・ねずみをビートたけしが演じ、ねずみを麻薬捜査の覆面捜査官として協力させようとする刑事役を浅野忠信と大森南朋が演じた。劇団ひとり、長谷川雅紀(錦鯉)、馬場園梓、鈴木もぐら(空気階段)、前田志良(ビコーン!)といった芸人や、DDTプロレスリング所属のプロレスラー・秋山準も出演。同作は2024年に日本の動画配信作品として初めて『第81回ベネチア国際映画祭』に正式出品されており、世界的にも注目を集めている。
今回公開された特別インタビュー映像は、お笑い界のレジェンドであり世界有数の映画監督でもある北野が同作で試みた「新たな挑戦」について、北野をはじめ浅野、大森、麻薬売買を取り仕切るヤクザの親分を演じた中村獅童、若頭を演じた白竜がそれぞれの視点から語るもの。セルフパロディというアイデアの意図、アドリブの応酬だった撮影現場の様子や、実験的な撮影に挑んだ俳優たちの思いが本編映像を挟みながら明かされる。
同作の実験的な構成について、北野は「これは映画界で初めてだろう、これをやったやつはいないだろうと思って、ほくそ笑んだ」と笑顔を見せた。同作の「お笑い」要素については、「笑いとしてはクスクスなんだよね。シリアスな映画で失敗したときに、笑っちゃう感じ。殺し屋というモノトーンな題材で、緊張させておいてクスクス笑うような感じを撮りたかった。お笑いを全面的に出したくなくて、シリアスだけど同じトーンでパロディにすると『こんなになっちゃうよ』っていうのがメインなんだ」と明かした。 「北野組」の常連俳優である浅野、大森については「浅野くんや大森くんたちは上手いからね! 役者としてすごいところは、パロディのお笑い部分だと知っていても笑わせようとしないんだよね。ネタふりの前の(シリアスな)芝居とどう違うのかを分かっていて、大げさにボケようとはしない。言われたことをちゃんとやるから、作品を見たらそれがボケに見えるようになっている。それはすごいなと思う」と絶賛した。

大森は、撮影を振り返って「真面目な方のパートに打ち合わせはないんですが、お笑いパートの打ち合わせはあって、監督の意図されているところや間、狙いについては(浅野くんと)けっこう話しました」と語る。浅野は「突然、監督が『これもやってみようか』という風にアイデアをくれるんです。 それに追いつくために大森さんといろんな話をして、結果大森さんに頼りきりで、全負担をかけていたような気がします(笑)」と撮影の日々を振り返り、「僕が笑わせようとすることで笑いが取れることは絶対にないと思っていました。これがお笑いのストーリーラインとして進んでいたとしても、真剣に受け止めて演じなければと思っていました」と、芸人とは異なる役者としての覚悟をもって演じたことを明かした。
北野の新しい挑戦について、大森は「『Broken Rage』は、今の北野監督の真骨頂であると思います。ある芸術家の生き様の断片を見ているようなイメージです」、中村は「監督は時代の流れや、世の中がどんなものを求めていて、どんな風に昭和から平成、令和と時代が変わっていったことを、それを敏感に察知されています」と讃えた。数々の北野作品に出演してきた白竜は「監督の中には、いろんな方向にいろんなアイデアがあると思うんです。これからもいろんなジャンルを撮るんじゃないかと思います」と今後の北野への期待を語り、北野は同作で「方向やベクトルは見せたから、あとはいろんな人がチャレンジすればすごいものができる可能性もある」と、映画のまだ見ぬ未来について期待を膨らませた。
『Broken Rage』(読み:ブロークンレイジ)

監督・脚本・編集:北野武
出演:ビートたけし
浅野忠信 大森南朋
仁科貴 宇野祥平
國本鍾建 馬場園梓 長谷川雅紀(錦鯉) 矢野聖人
佳久創 前田志良(ビコーン!) 秋山準 鈴木もぐら(空気階段)
劇団ひとり
白竜
中村獅童
音楽:清塚信也
製作:Amazon MGM スタジオ
制作プロダクション:北野エージェンシー
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