大森時生がプロデュースを担ったドラマ『フィクショナル』が、11月15日(金)より劇場公開される。
テレビ東京ドラマ『TXQ FICTION』の「イシナガキクエを探しています」などで知られるプロデューサー・大森時生が手がけ、ショートドラマ配信アプリBUMPで配信された『フィクショナル』。BL作品でありながら、不穏な緊張感あふれる内容で大きな話題となった。監督は酒井善三が務め、劇場公開にあたりキービジュアルをFranz K Endoがデザインした。
また『フィクショナル』の劇場公開を記念し、酒井監督の前作である『カウンセラー』のリバイバル上映も決定した。同作はSKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて、短編映画では初のSKIPシティアワードを受賞。全国劇場で公開されるなど、短編自主映画としては異例の反響を呼んだカルト的話題作となっている。ホラー映画の巨匠・黒沢清は、注目の若手監督として酒井の名前を挙げており、2024年に公開された黒沢監督の『Chime』が『カウンセラー』の影響を受けたと語っている。
上映決定にあたり、各界からのコメントも公開された。『フィクショナル』には浅野いにお、背筋、高瀬隼子、皆口大地、『カウンセラー』には黒沢清、清水崇が賛辞を寄せている。
■『フィクショナル』
漫画家 浅野いにお
これは架空の物語ですが、確信を持って描かれる示唆的なラストに、自我を見失いつつある現代社会の縮図を感じました。混沌と不安、そしてやり場のない怒り。これは明日の自分の姿なのかもしれない。
小説家 背筋(「近畿地方のある場所について」「穢れた聖地巡礼について」著者)
虚実ない交ぜのこの世界。もしかしたら私たちは、情報に溺れたままのほうが幸せなのかもしれません。人がおかしくなってしまうのは、疑うことに気づいたときですから。
そのことに気づいた私は、もうおかしいのかもしれませんが。
小説家 高瀬隼子
自分の目で見て、耳で聞いて、頭で考える、その先にある「信じる」が驚くほど遠い。こんなに難しかったんだっけ、と頭を抱えている…この頭も本物だろうか? と疑ってしまう。根底からぐらぐらと不安定になる、じっくり見つめてほしい作品。
皆口大地(ゾゾゾ/フェイクドキュメンタリー「Q」)
この時代にまた一つとても危険な作品が生まれてしまった。ヒリヒリと皮膚を刺す様な穏やかな緊張感を終始張り巡らせ、この作品は優しくしかし確かに現実を蝕んでいく。
■『カウンセラー』
映画監督 黒沢清
40分ちょっとの中編だが、
これは凄い!近年最も不気味な映画と言っていいだろう。
全ての画面に恐怖と錯乱が張り付き、見ているこっちまで気が変になりそうだ。
映画監督 清水崇
かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまった……
脚本、構成、場所、キャスト、間合い、画、音響、全てに不安が張り詰め、
薄気味悪い空気が満ち満ちてくる──
かなり久々に“ヤバいもの”を観てしまっ…あれ?
……気がしただけ?……マズい、憑り込まれる。
酒井善三監督、、、、凄い才能だ!ぎっちり憑り組まれた長編が観たい。
『フィクショナル』

出演:清水尚弥、木村文 ほか
脚本・監督:酒井善三
プロデューサー:大森時生
劇場:シモキタ – エキマエ – シネマ『K2』/新文芸坐 他
<ストーリー>
うだつの上がらない映像制作業者・神保のもとに、ある日、大学時代の先輩・及川から連絡がくる。憧れの先輩との共同業務に、気分が湧き立つ神保だったが、その仕事は怪しいディープフェイク映像制作の下請けであった。やがて迫りくる自身の「仕事」の影響と責任…神保は、徐々にリアルとフェイクの境目に堕ちていくのだった…
『カウンセラー』

出演:鈴木睦海、西山真来 ほか
監督・脚本:酒井善三
劇場:シモキタ – エキマエ – シネマ『K2』/新文芸坐 他
<ストーリー>
ある心理相談室に勤める心理カウンセラーの倉田真美は妊娠6カ月で、産休前最後の出勤日だった。予定していた最後の相談者を見送った真美の前に、予約のなかった吉高アケミという女性がやってくる。やむなく相談内容だけでも聞くことにした真美に対し、アケミは「妖怪が見える」と語り始める。謎めいたアケミの口から語られる昏い物語は、聞いている真美の妄想を駆り立て、真美は次第に不安の渦に飲み込まれていく。