空音央(そら ねお)による映画『HAPPYEND』が10月4日(金)に公開されることが決定した。
短編映画『The Chicken』、コンサートドキュメンタリー映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』を手がけた空音央にとって、初の長編劇映画となる同作。幼馴染で大親友の高校生・ユウタとコウが高校卒業と進学を控える中、自分たちが夜の学校で起こしたいたずらをきっかけに、学校に四六時中生徒を監視するAIシステムが導入される騒ぎにまで発展してしまう。リアリティのある近未来がユーモラスかつシニカルに表現されると同時に、少しずつ変化していくふたりの友情の揺れ動きや葛藤、自分自身への向き合い方を描いた青春映画となっている。
公開決定に際し、11名のキャストも一挙解禁となった。ユウタは栗原颯人、コウは日高由起刀が演じ、ともに同作がスクリーンデビューとなる。また2人と仲の良い同級生役を林裕太、シナ・ペン、ARAZI、人一倍正義感が強くコウと関わるようになる同級生・フミ役を祷キララ、ユウタとコウたちの担任・岡田役を中島歩が務める。さらに、校長秘書・平を矢作マサル、ユウタの母を渡辺真起子、コウの母をレゲエシンガーのPUSHIM、長井校長を佐野史郎が演じている。
公開決定に際し、空音央からのコメントが公開されている。
友情とは曖昧なもので、恋人や家族のような規範がありません。人によっては、いつもの風景に溶け込んで、たまたま同じような音楽を好み、お酒を介して理解し合える相手もいれば、真剣な話だけをする相手もいます。しかし、どんな形であれ、友人に対する愛や信頼が深いほど、その相手に落胆した時に湧き上がる怒りや悲しみは凄まじいものです。勢い余って関係を断ち切ることもあれば、知らず知らずのうちに断ち切られることもあります。そうなると、自分が乗っかっていた地盤がガラガラと崩れ落ちるような感覚に陥ることがあります。
空音央
そんなことを考えながら、この映画を思い立ったのだろうと思います。メモを見返すと、記録として残っている中で最も古いものが2017年でした。つまり、7年かそれ以上前からこの映画の構想を練り始めたようです。その時の社会や世界が変わらず、そのまま進んだ少し先の未来を想像しました。恐怖を煽り、軍国主義的な独裁国家へと着実に向かってゆく日本を舞台に、それまで自分の中に蓄積されていた危機感や揺らぎ、そして自分にとってなくてはならない、地盤ともいえる友人たちに対する愛を投影しました。
自分が想像した近未来像が間違っているといいなと願いながら脚本を書いていましたが、出来上がった映画を見てみると、なんだかどんどん現実味を帯びてきているようで、すこし残念です。同時に、そのような状況だからこそ、素晴らしいキャストとスタッフと一緒に、色んな人にいま見てほしい映画に仕上げることができたと思っています。劇場公開できることを本当に嬉しく思います。