劇団スポーツの舞台『略式:ハワイ』が5月15日(水)から19日(日)まで、東京・下北沢のOFF・OFF シアターで上演される。
2016年に旗揚げされた劇団スポーツのコンセプトは、「逃れられない『いつか死ぬ』という恐怖に立ち向かったり、一時的に目を背けるためのちょっとした休憩」。変化を恐れ、安定を求めてしまう人間の無意識的な弱さを、おかしみを持って描くコメディを創作し、新たな一歩を踏み出す勇気が持てない人の傍にそっと寄り添う作品づくりを目指しているという。
劇団スポーツの2年ぶりの新作となる同公演は、2017年に上演された『略式:ハワイ』を大幅にリメイクしたもの。片田舎の高校で出会った山戸と斜の関係をメインにし、あり得たかもしれない世界を求めて、山戸が過去をやり直していく「青春記憶改竄コメディ」となっている。脚本・演出を務めるのは内田倭史。出演者には内田のほか、田島実紘、竹内蓮、武田紗保、タナカエミ、てっぺい右利き(パ萬)、 端栞里(南極ゴジラ)が名を連ねている。


【主宰・田島実紘のコメント】
7 年前に上演した「略式:ハワイ」という作品を大幅にリメイクしもはや原型を留めていないものが今回の作品となります。前作は舞台上に 3 台の自転車が設置されており、それを漕がなければ照明がつかず、僕たちは 90 分間自転車をこぎ続けて自分たちの閉ざしていた過去に光を当てる…といった内容のものでした。今作もそのテーマ性のようなものは変わっていませんが、どちらかというと“あった過去”に光を当てるというよりも、“無かった過去”に光を当てていくものとなっています。
昔のバイト先に、自分は B’z の稲葉君と飲み友達で、歌詞のアイディアを提供することもあったと話すおじさんがいました。僕はバイトの帰りによくそのおじさんと二人になって、京王新線の車内で地下鉄の轟音が響き渡る中、あまりよく聞こえないその話を、何度も何度も繰り返しされました。7 年経った今、あれだけ嫌いだったあのおじさんのことを、元気にしているのだろうかと振り返ることがよくあります。
政治と権力の力で歴史の改竄が可能なら、僕たちが皆さんと一緒にハワイに行くことなんて簡単なはず。物語なんてなくても、綱渡りな妄想と無意味な空中戦で、常夏の海に飛び立つことができたら、嬉しいです。