『本屋大賞2024』のノミネート作品が発表された。
『本屋大賞』は、新刊書の書店で働く書店員のみの投票によって選ばれる文学賞。書店員自身が1年間に読んで「面白かった」「お客様にも薦めたい」「自分の店で売りたい」と思ったかどうかが投票基準となっている。2023年は凪良ゆうの『汝、星のごとく』が大賞を受賞した。
今回発表されたノミネート作品は、過去最多の530書店736人からの投票によって選出されたもの。2年連続ノミネートとなった凪良ゆうの『星を編む』と小川哲の『君が手にするはずだった黄金について』、デビュー作品がノミネートされた宮島未奈の『成瀬は天下を取りに行く』など、投票結果上位の10作品が発表された。
2024年本屋大賞ノミネート10作(作品名五十音順)
「黄色い家」川上未映子/中央公論新社
「君が手にするはずだった黄金について」小川哲/新潮社
「水車小屋のネネ」津村記久子/毎日新聞出版
「スピノザの診察室」夏川草介/水鈴社
「存在のすべてを」塩田武士/朝日新聞出版
「成瀬は天下を取りにいく」宮島未奈/新潮社
「放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件」知念実希人/ライツ社
「星を編む」凪良ゆう/講談社
「リカバリー・カバヒコ」青山美智子/光文社
「レーエンデ国物語」多崎礼/講談社
大賞作品などの発表と贈呈式は、4月10日(水)に東京港区の元赤坂明治記念館にて行われる予定となっている。なお、多くの出版社がノミネートを受けプレスリリースを公開しており、小川哲や宮島未奈はコメントを発表している。
◆小川哲のコメント
書店を運営するという業務の外ですでに大量のゲラやらプルーフやらを読まされている書店員に、さらに追い討ちをかけているのが本屋大賞です。短い期間に十冊の小説を読んで、さらにはそれに順位をつけなくてはなりません。直木賞の選考委員だって、読まなければいけない候補作は五冊か六冊なんです。本屋大賞が、どれだけの血と涙の上に成立しているのか——考えるだけでも頭が下がる思いです。しかも、その十冊に、(去年に引き続き)拙著が紛れこんでしまったようで、全国の書店員の皆さまの貴重な時間をいただいてしまうという事態になってしまいました。本当に申し訳ないと思いつつ、「やったぜ」というのが一人の著者としての正直な感想です。
◆宮島未奈のコメント
本屋大賞は憧れの賞です。
ノミネートされてうれしいのと同時に、身が引き締まる思いです。
これをきっかけに、さらに多くの皆さまに成瀬と出会ってほしいです。