10月14日(土)より日本公開される映画『ヨーロッパ新世紀』(原題:R.M.N.)の監督、クリスティアン・ムンジウからのメッセージ映像が公開された。
動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=PsbnQMr8pEg
映像内で監督は「ルーマニアのトランシルヴァニア地方の村で実際に起きた事件が、映画を創るきっかけになった」と述べ、外国人労働者をめぐって起きたささいな対立が深刻な紛争へと発展していく様を描きながら、幾多の火種を抱えたヨーロッパの不穏な新世紀、そして分断された世界の今をあぶり出す同作を紹介。日本の観客に対しては「この映画は人と人とのつながり、民主主義、偽善、真実、寛容、他者を思いやること、そして何よりも大事なこととして、人間とは、つまり自分は何者なのかということを描いています。日本、ルーマニア、アメリカどこに住んでいても他者との関係は益々複雑化しています。この映画に興味をもってもらえたら嬉しいです。もし質問や感想があればInstagramにコメント下さい。お答えします。ありがと。」と発言している。
メッセージ映像の解禁とともに、イーサン・ホークがムンジウ監督とのオンライン対談で同作を絶賛したコメントも公開された。また、映画を鑑賞した小島秀夫、SYOからのコメントも到着している。
公開初日となる10月14日(土)には東京・渋谷のユーロスペースで、監督の舞台挨拶と観客との質疑応答をオンライン登壇で行うことが予定されている。イベントの詳細は後日公式サイトなどで発表となる。
とても美しく、素晴らしい映画だ。
途方もなく哀しく、この上ない瞬間が訪れる。少年が初めて言葉を発したシーンに、私はとても感動しました。この映画には兆候のようなものを感じる瞬間がたくさんあります。驚くべきは、超リアリズムと精神世界の融合です。その融合は明らかに映画のラストに活きてくる。少年は何を見たのか、それは何なのか、そして私たちは何を見るのか。この素晴らしい映画をありがとう。
——イーサン・ホーク(俳優)
トランシルヴァニアといえば、僕を含めた日本人は、“ドラキュラ”くらいしか連想しないだろう。僕らは、ルーマニアに関しては無知だ。
ところが、この「ヨーロッパ新世紀」の小さな村で炙り出される”新世紀“は、明日の日本そのものだ。
多民族、多言語、少数民族。貧困と失業。経営者と地元労働者、出稼ぎ労働者。宗教と伝統。混沌と変化。夫婦と家族、父と子。日常に潜む分断を大胆なモンタージュで切り取る群像劇の断面図。
原題の“R.M.N”とは、日本での MRI(核磁気共鳴画像法)のこと。本作は、未だ言語化できない我々の脳をスキャンして、病理を剔出する映画だ。
——小島秀夫(ゲームクリエイター)
異国で出稼ぎしながら故郷に純血を求める矛盾。
清貧は遺物化し、排斥感情はデジタルにも侵食。
わからない事象がひとつもないことが恐ろしい。
遠く離れているはずの我々も結局同じ村にいる。
この壊れた新世紀こそ、人類の終着地なのか……
—— SYO(物書き)
『ヨーロッパ新世紀』
2023年10月14日(土)よりユーロスペース他にて全国順次公開
©Mobra Films-Why Not Productions-FilmGate Films-Film I Vest-France 3 Cinema 2022
監督:脚本:クリスティアン・ムンジウ
出演:マリン・グリゴーレ、エディット・スターテ、マクリーナ・バルラデアヌ他
原題:R.M.N. 2022年/ルーマニア・フランス・ベルギー/カラー/シネスコ/127分/5.1ch
日本語字幕:関美冬 宣伝:テレザ、竹田美智留 後援:在日ルーマニア大使館
配給:活弁シネマ倶楽部/インターフィルム 映倫G区分
公式サイトhttps://rmn.lespros.co.jp