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音楽を始めたことで、苦手だった人とのコミュニケーションが楽しくなった
ー音楽を聴いたり、本を読んだりすることは、好きなものに触れるという自分の選択だけど、会話ってどの方向に行くかわからないじゃないですか。その意外性をおもしろがることができる人なのかなと思いました。
xiangyu:確かにそうかもしれない。電車とかで人の会話を聞いていると、「この人こんなこと考えてんだ」ってふと気づいたりして。それに、例えば夜の帰宅ラッシュで「この人これから家帰るのかな? それとも遊びに行くのかな?」って勝手に想像するのがめっちゃ楽しいんですよね。そういう時間がずっと好き。
ーxiangyuさんが作るものは、人との関係性で生まれるものなのかなと思うんですよね。リリースコメントにあった「良いor悪いじゃなく、食べ頃はとっくに過ぎてても最後の一つに対する向き合い方は人それぞれで」という言葉が個人的にすごく印象に残っているんですが、遠慮のかたまりが冷めてるのは、出来合いのご飯をUber Eatsで頼んで家で一人で食べる冷たさとは違うと思うんです。人が集まっているからこそ、遠慮のかたまりは冷めてるし一つだけ残っている。光岡さんがいなかったらこのアルバムもできてなかったかもしれないし、デビューアルバムも違う形になってたと思うんですが、人との関わりは、xiangyuさんにとってなくてはならないものだと思いますか?

xiangyu:なくてはならないんだって改めて気づいたんだと思います。元々、人は好きで興味もあるし、いろんな人と話したいってずっと思ってたけど、コミュニケーションがめちゃくちゃ苦手だった。今のxiangyuしか知らない人からしたらびっくりするかもしれないけど、昔はほんと無理だったんです。でも音楽を始めて7年目くらいになるけど、その中で人との距離感とか付き合い方、気持ちの伝え方が少しずつ分かるようになってきた。お客さん含め、いろんな人と関わるのがどんどん楽しくなってきたんです。だから今回のアルバムは、そういう対話とか人との繋がりをすごく大事にした作品になったと思います。
前作のEPの時は、どちらかというと自分の中にある「おもしろい」をひたすら1人で突き詰めた作品だったんです。だから内向きだったし、誰かと一緒に作るとか、共有するっていう感じではなかった。でも今回は、完成する前からいろんな対話を重ねていって「自分がおもしろいと思うものを、他の人の視点でどう見えるか」をやりとりしながら作ったことが大きな違いかなって思います。
ーどのように対話を重ねていったんですか?
xiangyu:いろんな人に聴いてもらったり、フィーチャリングで自分が好きなアーティストと一緒に曲を作ってみたり。光岡さんとの会話もそうだし、ライブのお客さんの反応も参考にしたかな。地方にライブで行った時には「遠慮のかたまりに遭遇したらどうしてる?」って聞いて、いろんな人の価値観や考え方を吸収して、自分の中にためていきました。