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MCU『サンダーボルツ*』を見る前に知っておきたい、主要キャラクターの設定まとめ

2025.5.1

#MOVIE

©2025 MARVEL

MCUを彩ってきた無法者たちが遂に集結する。

『サンダーボルツ*』は、過去のMCU作品でヴィランとしてヒーローに立ちはだかったキャラクター達が集い、世界の危機と対峙するアンチヒーロー映画だ。

各作品で強烈な印象を残してきた彼らだが、一体どんなバックボーンがあるのだろうか? 知れば映画をより楽しめる、コミックスや過去作品でのキャラクター設定について、アメコミトークライブ『しゃべんじゃーず』主催、アメコミ侍・柳生玄十郎が解説する。

ヴィランズが自主的に組織した偽物ヒーローチーム、サンダーボルツ

この記事では、映画『サンダーボルツ*』に登場する7人の個性的なアンチヒーローについて、コミックスや過去作品がどう描いてきたかをご紹介しよう。

SNS上などではよく、DCコミックスの『スーサイド・スクワッド』と比較されがちな『サンダーボルツ*』だが、実はこの二つのグループはストーリー上の性質が全く違う。スーサイド・スクワッドは、受刑者が刑期の短縮と引き換えに、体内に小型の爆弾を埋め込まれて生存率0%のミッションに強制的に行かされる「決死隊」だ。一方、マーベル・コミックのサンダーボルツは、アベンジャーズとファンタスティック・フォーがとある事件でこの世から消えてしまい、その隙を狙ってマーベルを代表する敵キャラクターの一人であるバロン・ジモが、仲間のヴィランとヒーローの振りをした「偽物ヒーローチーム」だ。強制的に従わされてるスーサイド・スクワッドに対して、サンダーボルツは自発的にヒーローを装っている、真逆の性質を持ったグループなのだ。

なお、今回の映画『サンダーボルツ*』のメンバーは、原作の顔ぶれとは異なり、MCU独自のメンバーとなっている。

ではそのキャラクターたちを一人ずつ見ていこう。

CIA長官ヴァレンティーナによって集められたサンダーボルツのメンバーたち。ヘッドハンティングの様子は各出演作のポストクレジットで見ることができる ©2025 MARVEL

ジェームズ・ブキャナン・”バッキー”・バーンズ / ウィンターソルジャー

ウィンターソルジャーことバッキー。演じるのは映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』でドナルド・トランプを演じたセバスチャン・スタン

第二次世界大戦中、キャプテン・アメリカに憧れる10代の少年だったバッキーはこっそり彼のテントに忍び込みその正体を知ってしまう。バッキーの大胆さと潜入能力に感銘を受けたキャプテン・アメリカは、彼をサイドキックとして採用。キャップが望んでいた以上の活躍を果たしたバッキーだったが、バロン・ジモの策略で、爆弾を搭載した戦闘機と共に冷たい海に沈む。

©2025 MARVEL

死んだと思われていた彼だが、当時のソビエト連邦に拾われ、失った左腕をメタルアームに改造された上、記憶を消されたバッキーは、潜入を得意とするソ連の暗殺者として暗躍することになる。この部分は映画『キャプテン・アメリカ:ウィンターソルジャー』で使われたプロットと同じである。原作の『サンダーボルツ』ではバッキーは第3シリーズ、第5シリーズ、そして現在の第6となるであろうシリーズでリーダーを勤めている。

MCUでは映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』でメインヴィランとしてキャプテン・アメリカの前に立ちはだかった。

エレーナ・ヴェロワ / ホワイト・ウィドウ

本作の鍵を握るキャラクター・エレーナ。演じるのはフローレンス・ピュー ©2025 MARVEL

ロシアの暗殺者養成施設=レッドルーム・アカデミーで史上最高のブラック・ウィドウとして鍛え上げられたスーパースパイ。同じくブラック・ウィドウであるナターシャ・ロマノフに憧れ、執着していたが、ナターシャが母国を裏切った事で憧れは強い憎しみに変わり、彼女を追うべくソ連を抜け出す。ナターシャと対峙したエレーナは「スパイはヒーローではなく道具だ」と諭され、彼女もまたナターシャ同様、ソ連を離れ一人で歩み始める。

©2025 MARVEL

その後、スーパーヒーローたちが所属する平和維持組織=S.H.I.E.L.D.のエージェントとなるが、S.H.I.E.L.D.長官だったニック・フューリーによりナターシャと顔を入れ替えられたり、母国ロシアにスパイとして潜入させられたり、いつの間にか世界征服を目論む秘密結社ヒドラのエージェントになっていたり、マーベル最強クラスのヒーローであると同時にヴィランでもあるセントリーの暗黒面=ボイドと融合し爆散して死亡したりと、散々な目に遭っている。

そんな彼女は『サンダーボルツ』第1シリーズにフィールドリーダーとして、マーベルを代表する大企業オズコープ社の社長、ノーマン・オズボーンによってスカウトされている。(ただ、実はこの時のエレーナの正体は、再び顔を変えていたナターシャであり、エレーナ本人はまだ死んだままであった)その後、第5シリーズでようやくサンダーボルツに加わる事となる。

MCUでは映画『ブラック・ウィドウ』に初登場後、ドラマ『ホークアイ』に再登場し強烈な印象を残した。

アレクセイ・ショスタコフ / レッド・ガーディアン

アレクセイ・ショスタコフ。演じるのはドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の警察署長、ホッパー役としてもお馴染み、デヴィッド・ハーバー ©2025 MARVEL

アレクセイはもともと、ロシアの優秀なテストパイロットだった。有名なバレリーナだったナターシャ・ロマノフと結婚したが、KGBにより秘密工作員に選ばれたために、妻と会うことができなくなる(ナターシャには、彼はロケット実験の事故で死亡したと伝えられた。その後ナターシャは、スパイ養成プログラムであるブラック・ウィドウ・プログラムへ参加することとなる)。

アレクセイはロシア版キャプテン・アメリカとなるべく訓練され、レッド・ガーディアンとなった。なお、超人血清などは投与されていない常人である。集団幻覚を引き起こす兵器サイコトロンの破壊作戦に来たアベンジャーズに立ち向かった際、敵となった元妻ナターシャに正体を明かし、キャプテン・アメリカと戦った。彼も『サンダーボルツ』第5シリーズでバッキーに協力する1人となる。

MCUでは映画『ブラック・ウィドウ』で初登場。20年以上の投獄生活で、ヒーローには似つかない肥満体になっていた。

ジョン・F・ウォーカー / U.S.エージェント

MCUドラマシリーズから映画初登場となるジョン・F・ウォーカー。演じるのは、名優カート・ラッセルの息子、ワイアット・ラッセル ©2025 MARVEL

愛国心の強い青年ジョンは、尊敬する亡き兄に倣い救国の英雄になるべく陸軍に入隊したが、一度も戦闘に出る事のないままベトナム戦争が終戦する。ヒーローになりたいという願望を抑えきれない彼は、違法な人体強化実験を繰り返すパワーブローカー社の検体に応募し、超人的パワーを得る。そして同社の後押しで新世代のヒーロー=スーパーパトリオットとしてデビューするも、ジョンは彼らを裏切り、キャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースが国家に返却した装備と名前を政府の組織である超人活動委員会から受け継ぎ、新たな政府公認のキャプテン・アメリカとなった。

その後ジョンは、自分の暴力性と非道徳性はキャプテン・アメリカの名に相応しくないと悟り、スティーブに名前と盾を返すため記者会見を開くが、その場で射殺されてしまう。だが、この暗殺は偽装であり、スティーブがキャプテン・アメリカとして復帰する陰で、超人活動委員会はジョンに新たな装備と新たな名前=U.S.エージェントを与えたのだった。

©2025 MARVEL

『サンダーボルツ』においては第1シリーズ後半で左足と左腕を失った車椅子の状態で、作戦リーダーとして影でチームを支える役目を担った。さらに第5シリーズでは、借りのできたバッキーに仕方なく協力する事となる。

MCUではドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に初登場。キャプテン・アメリカという重責に押しつぶされ狂気に走る。

エイヴァ・スター / ゴースト

ハナ・ジョン=カーメン演じるエイヴァ・スターは、なんと7年ぶりのMCU登場 ©2025 MARVEL

MCUでは女性として描かれるゴーストだが、実はコミックスでは男性である。

優秀なプログラマーとしてオムニサピエントシステムズという大手コンピュータ企業にヘッドハンティングされた彼は、果てしなく膨大なデータを保存できる無形化プロセッサ、ゴーストテックを開発する。しかし、会社からの裏切りに絶望した彼は自らにゴーストテックを移植。会社が彼を殺すために仕組んだ爆破工作がトリガーとなり、全身を透過する能力を手に入れた。彼は『サンダーボルツ』第1シリーズ中盤からシリーズラストまで中核を担うメインメンバーである。本名以下個人情報は一切不明。「自分は既に幽霊である」と自称し、それだけが彼のアイデンティティであり、この世の全ての「大企業」を憎み破壊する事を生き甲斐としている。

なお、MCUで名付けられたエイヴァ・スターという名前は、エイヴァの父エライアス・スターに由来する。エライアスは原作では、初代アントマン=ハンク・ピムの宿敵エッグヘッドであるが、MCUでは科学者エライアスとしての設定のみが引き継がれた。

MCUでは映画『アントマン&ワスプ』で初登場。子供の頃に背負った能力に翻弄され、仕方なくスパイや暗殺任務に従事させられていた。

アンドレアス・ドレイコフ / タスクマスター

タスクマスター。演じているのはウクライナ出身のスーパーモデルで、『007/慰めの報酬』ではボンドガールにも抜擢されたオルガ・キュリレンコ ©2025 MARVEL

タスクマスターも原作ではアンソニー・マスターズという名の男性であり、生まれつき見たものを写真で写したように記憶できるという写真反射能力の持ち主であった。大人になりS.H.I.E.L.D.のエージェントとなった彼は、ナチスが開発した超人血清を自ら投与し、超人兵士となる。そして、生来の特殊能力を活かし、ヒーローやヴィランの技を研究して動きをコピーする事で、どんな依頼も必ず成功させる傭兵として名を挙げる事となる。ただ、超人血清の副作用により、新しい技を覚える度に個人的な記憶が失われるという問題を抱えている。

原作の『サンダーボルツ』は、デアデビルの宿敵でニューヨーク市長となったウィルソン・フィスクによって選ばれた、「私的に便宜上名乗らせた」名ばかりのサンダーボルツのリーダーになった事があるが、正式にサンダーボルツメンバーにはなった事はない。

MCUでは映画『ブラック・ウィドウ』で初登場。レッドルームから送り込まれる悲しき運命を背負った暗殺者だった。

ロバート・”ボブ”・レイノルズ / セントリー

セントリー=ボブ。演じるルイス・プルマンは『トップガン マーヴェリック』での役名もボブだった ©2025 MARVEL

本作の敵役としてMCUに初登場するのが、セントリーだ。

1947年、カナダとアメリカの秘密組織が30年をかけてキャプテン・アメリカの超人血清の10万倍の効果があるゴールデン・セントリー血清を生み出したが、その10数年後、放置されたその薬品を、不法侵入した薬物中毒者のロバート・レイノルズ、通称ボブが発見し摂取。ボブは、爆発する太陽100万個分の力を得る事となった。

ボブは衣装を自作し、セントリーと名乗りヒーローとしてデビューした。彼はファンタスティック・フォーやハルク、アイアンマン、プロフェッサーX達の先輩ヒーローとなり、私生活ではリンディという女性と結婚した。そんな中、相手の恐怖を利用する影の怪物ヴォイドが現れ、ヒーローや人々を含む100万人を殺害。そのヴォイドの正体が実は自分自身の悪の人格だと気付いたボブは、リード・リチャーズ=ミスター・ファンタスティックとドクター・ストレンジに頼み、自分のことを世界中が忘れるシステムを作り、ヴォイドを消滅させた。しかしボブは、忘れられたセントリーの活躍を後世に残すべく、潜在意識の中でコミックライターに自分の記憶を植え付け、その活躍をコミックに描かせる。

その後、記憶を取り戻したボブは、ニューアベンジャーズやダークアベンジャーズとして活躍するが、時折ヴォイドの人格により暴走してしまう事があり、ドクター・ストレンジはその暴走を抑えるため、彼の中にセントリーワールドという新たな世界を生み出し、その中でならいくらでも力を使えるようにした。

なお、原作でのサンダーボルツとの関係性としては、『サンダーボルツvs.アベンジャーズ』でアベンジャーズの一人としてサンダーボルツと戦った事や、前述のウィルソン・フィスクによる私設のサンダーボルツに真っ二つになったセントリーの死体をぞんざいに扱われるくらいしか出てこない。

このように、セントリーはコミックスでとてつもなくややこしい設定を持っている。このキャラクターをどう映画に落とし込んだのか、その扱い方は本作の一番の見どころだろう。

原作コミックの『サンダーボルツ』もヴィラン好きにはたまらない作品だが、さてMCU版『サンダーボルツ*』では彼らのどんな活躍が見られるだろうか。筆者も制作が発表されて以来とても楽しみにしてきたが、いよいよと世界公開を迎えた今は何より、マーベルユニバースにおいて一、二を争うほど好きなキャラクターであるレッド・ガーディアンがどうなるかが心配でならない。早速、劇場でその答えを知ろうと思う。

『サンダーボルツ*』

5月2日(金)日本公開

監督:ジェイク・シュライアー(『ペーパータウン』、『BEEF/ビーフ』)
 
キャスト:フローレンス・ピュー、セバスチャン・スタン、デヴィッド・ハーバー、ジュリア・ルイス=ドレイファス、ワイアット・ラッセル、ハナ・ジョン=カーメン、オルガ・キュリレンコ
 
©2025 MARVEL

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