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青春群像ミステリードラマ『シナントロープ』が繋ぐ言葉と音と「ひとり」たち

2025.11.17

#MOVIE

©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会
©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会

同じ街にいるはずの「おじさんと若い男」のズレ

「シナントロープ」で起こるすべてを見つめ続ける志沢匠(萩原護)©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会
「シナントロープ」で起こるすべてを見つめ続ける志沢匠(萩原護)©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会

また、本作におけるこうした「繋がり」は、彼らが必死に生きているのが同じ「街」であることを教えてくれる。例えば、第4話において店の厨房にいる都成の「降ってくるんだよなあ、幸運ってのは」という台詞は、レジにいる志沢が雨を見て言う「あ、降ってきた」に繋がる。その後、志沢と会話していた水町は、1人になってふと窓の外に目をやる。その先の公園の遊具の下では、龍二と久太郎が雨宿りをしていて、久太郎が、子供の頃の「蚊帳」の記憶を連想し、自身が「蚊帳の外」であることに憤っている。第5話では、店にいる都成が外の工事の音の大きさに苛立って「うっさいな、工事」と言って入り口を開け放った次の場面で、工事現場で働く木場の姿が映しだされ、さらには暗い部屋に籠もってずっと向かいの部屋の監視をしているおじさん(山本浩司)と若い男(栗原颯人)もまた「うるせえな、工事」とぼやいている。

一方、この「おじさんと若い男」のエピソードは、繋がっているように見えて他のエピソードと時折ズレが生じているのが興味深いところであり(彼らが次の巻である5巻を探し続けている漫画『笑い者の風船』が、第1話で映された里見の部屋に18巻揃っているなど)、同じ街で起きていることとはいえ、必ずしも同じ時間軸にいるとは限らないというのがまた面白い。

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