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青春群像ミステリードラマ『シナントロープ』が繋ぐ言葉と音と「ひとり」たち

2025.11.17

#MOVIE

©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会
©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会

水上恒司、山田杏奈ら演者の魅力と「鳥」になぞらえたキャラクター造形の妙

瞬間記憶能力を持つ都成剣之介(水上恒司)©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会
瞬間記憶能力を持つ都成剣之介(水上恒司)©此元和津也 / 「シナントロープ」製作委員会

テレビ東京の連続ドラマ枠「ドラマプレミア23」で放送中の『シナントロープ』が面白い。アニメ『オッドタクシー』(テレ東系)の脚本をはじめ、映画『ホウセンカ』(2025年)の脚本、漫画『カミキル-KAMI KILL-』(ヤングジャンプにて連載)の原作など、活躍が多岐にわたる此元和津也のオリジナルストーリーであり、『忘却のサチコ』(テレ東系)、『時をかけるな恋人たち』(カンテレ)の山岸聖太が監督を務める作品だ。

まず特筆すべきは演者の魅力であり、キャラクターの魅力だろう。水上恒司に山田杏奈、板東龍汰という、様々な作品で唯一無二の輝きを幾重にも放ってきた俳優たちは、本作でもすばらしい演技を見せている。そして、朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)に出演していた鳴海唯は新たな一面を見せており、「ハシビロコウ」と呼ばれる言葉少なな新人バイト・志沢匠を演じる萩原護も、その絶妙な存在感に目が離せない。挙げればキリがないほど、魅力的な若手俳優が充実しているのだ。

演者自身の魅力に加え、キャラクター造形の妙も光る。志沢の「ハシビロコウ」もそうだが、水町ことみ(山田杏奈)に「音を立てずに対象に近づくことができる“カラフトフクロウ”」に例えられる里見奈々(影山優佳)や、「金髪でギャーギャーうるさい鳥」こと「キバタン」と呼ばれる木場幹太(板東龍汰)など、本作の重要なモチーフである「鳥」に登場人物をなぞらえることで、それぞれの特徴を「愛すべき生態」として印象づける。

さらには裏組織「バーミン」のトップ・折田浩平を演じる染谷将太の佇まいの、ただならぬ不穏さ。基本的には「フルーツをひたすら食べている」だけなのに、その所作の端々には狂気と色気が滲み、その冷徹さは、底知れない恐ろしさを感じさせる。そして、折田の下で働く幼馴染コンビ・リュウちゃんこと龍二(遠藤雄弥)とキュウちゃんこと久太郎(アフロ)のとめどない会話も魅力的だ。他者に向ける暴力の容赦のなさとは裏腹に、常に互いを気遣い、時には久太郎が死生観を滔々と語ったり、彼らの命運を握っている折田への不信感を募らせたかと思ったら、持ち前の忘れっぽさでうっかり何かを忘れていることに気づいたりと、会話の流れがジェットコースターのようで、聴き入らずにいられない。

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