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制作陣の功績にも注目
制作陣の功績を言及せずに今作を評することは難しいだろう。サウンドの裏にいるのは、5作目の制作から携わっているプロデューサー、ジャック・アントノフとジョン・ライアン、作詞家のエイミー・アレンだ。カーペンター自身、前作同様彼らとの制作はまるでバンドのようで、この時間がずっと続いて欲しいと思ったほど、純粋に楽しい経験だったようだ。
前作リリース直後に今作を制作したということもあってか、シンセポップとカントリーが融合した音像は、リスナーには耳馴染みがある部分もあるが、そこはポップミュージックの名人たちの腕のみせどころ。“Sugar Talking”はソウルとポップが溶け込みあう楽曲で、前作の“Bed Chem”的な立ち位置と筆者は捉えている。続く“We Almost Broke Up Again Last Night”は、アコースティックギターやストリングスの静かな響きと、コーラスの盛り上がりが交互に繰り返され、別れと復縁を繰り返していたアイルランド人俳優との関係を反映しているかのようである。