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耕造から耕一へ、伴走者としての妻夫木聡の変化

本作前半について書いた記事で、妻夫木聡のピュアな表情について触れた。物語の後半になるにつれて栗須は相応に歳を取っていくが、その表情の魅力が損なわれることはない。伴走者でありながら、自分事として山王家を見つめている表情にはまだピュアさが残っている。
特に印象的だったのは、第7話の終盤。耕造は癌を患いながら、耕一と約束した愛馬・ロイヤルファミリーの競走馬登録まではと、なんとか命を繋ぎ止めていたが、ロイヤルファミリーのデビュー戦勝利を病室で見届けた末に、命を落としてしまう。
現地ではロイヤルファミリーの勝利の歓喜に包まれる中、電話でその事実を知った栗須は耕一(目黒蓮)に、耕造が亡くなったことではなく、「今このときから、耕一さんがファミリーの馬主です」と告げる。わずかに動揺する耕一を安心させるように優しい笑顔を見せながらも、栗須の瞳には涙が滲んでいく。その時の栗須の頭には、競走馬のために耕造と共に奔走した日々が駆け巡っていたことだろう。それでも、耕造の思いに報いて耕一に夢を継承し、支え続ける決意を持ち、栗須は凛とした表情を見せ続けた。
レースの勝利と人の死。喜びと悲しみが対比された第7話の終盤は、悲しみを抱えながらも、夢の実現に向けて決意を新たにする、伴走者・栗須栄治にとっての第1章の終幕、第2章の幕開けとして、最高の場面だったと言える。