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Rol3ertが語る、英語で歌う理由、人種や性別を超えて届けたい感情、この先目指すもの

2025.9.8

#MUSIC

前へ進むために必要な希望と和らぎ

―今、世界各国で分断や排外主義が拡大している状況で。そういう時代だからこそ、Rol3ertさんの目線や、そこから音楽に込めているメッセージとか成分は、すごく大事なものであると思うんですね。

Rol3ert:みんながみんな同じことを思うのは無理だと思う。でも空を飛びたくても飛べないからと言って、「じゃあ飛べないからいいや」ってなるんじゃなくて、飛べないなりにこの気持ちを落ち着かせようとか、分断を抑えるのは難しいけど、諦めるんじゃなくて、別の切り口で気持ちを落ち着かせようとか、そういうことに一番ハマるのが音楽だと思っているのでいろんな人に届けたいのだと思います。

―「飛べないからいいや、ではない」という考え方もそうですけど、Rol3ertの音楽って、過去への後悔や未練はたくさん歌っているものの、未来に対しては暗いことを言ってない気がしていて。Rol3ertさん自身、これだけ混沌とした時代であっても、未来は明るくなると信じているとも言えますか?

Rol3ert:俺自身すっげえネガティブでセンシティブな人なので、過去に対する後悔みたいなものがすごく強いんですよ。「なんであんなことをしちゃったんだろう」みたいな後悔が、本当に小さなことからいっぱいある。だからこそ同じ想いを二度としないように、ちょっとでも希望を持って前に進みたい。そうじゃないと前に進むこともできないから。そういう考えが曲のどこかしらに入っているのは間違いないです。「飛びたくても飛べないなら、飛べないなりにどうするか」と同じように、過去に戻れない中で、この気持ちをちょっとでも落ち着かせるために音楽に昇華して、自分のそばにいてくれる音楽を作るという意識が強いですね。

―「未来のことを明るく見ている」という言い方より、「希望を持っていないと前に進めない」という言い方のほうが合っていそうですね。その感覚こそ、今の時代のリアルな気がします。

Rol3ert:そうですね、「思いたい」が強いです。基本的にはもちろん希望を持って進みたいですけど、進めないときもあると思う。そのときはそのときなりの歌詞を書き溜めていますね。

―最近、たくさんの人に読んでもらったSKY-HIさんのインタビュー記事でも、「鬱ソングが大衆に求められて流行歌になる時期が長くあったけど、最近は『ここまできたなら、これ以上暗いことを言っても仕方ない、どうにか変えていかなきゃ』という希望を見せる音楽が増えつつある」という話になったんですよね。

Rol3ert:あ、本当ですか。悪い事象に対して「まあいいんじゃない」みたいな感じで対処して気楽になることもあるとは思うんですけど、僕はどちらかというと、それを解消したい人なので。解消できないことを間接的に解消する術として、それをちょっとでも和らげるために音楽作っている感覚があります。ただハッピーソングを書いて「みんな幸せ」とかではなく、「こうやれ」と言っているわけでもなく、解決策みたいなものを提示している意識があると思います。

―時代のダークな部分や自分の後悔や不安に蓋をするのではなく、ちゃんと直視して自分の表現に昇華し、その上で「こうしたら気持ちが和らぐかもね」くらいの寄り添い方がRol3ertさんの音楽にはある気がします。

Rol3ert:それ、一番嬉しいです。大学の心理学の授業でも学んだんですよね。悪いものに対して、直視したほうが不安は減る、みたいな。だからないがしろにするのではなくて、むしろ直視しつつ、ちょっと和らげていく、みたいな感じだと思います。

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