近年、アメコミ原作映画が席巻してきたハリウッドで、それに迫らんとする勢いでゲーム原作映画が台頭してきている。日本に先駆けて世界的大ヒットとなっている『マインクラフト/ザ・ムービー』は、言語や世代、文化を超えて広がるゲーム原作映画の力を証明しつつある。日本でも『8番出口』など、次々に控えるゲーム原作映画だが、その潮流は今後どこへ向かうのか。映画評論家の小野寺系が解説する。
INDEX
アメコミからゲームへ。転換期を迎えるエンタメの潮流
エンターテインメントをグローバルに牽引してきた、アメリカの大作映画。ここ10数年間でその主流となってきたのは、アメリカンコミック・ヒーローのユニバース化シリーズだといえる。そんな潮流が近年、変化のときを迎えようとしている。日本でも公開が始まった、世界的な人気ゲームを原作とした映画『マインクラフト/ザ・ムービー』の大ヒットは、そんな転換の潮流に拍車をかける1作となりそうだ。
プレイヤーが世界の姿を変えていけるサンドボックス型オープンワールドゲーム『マインクラフト』は、世界売上3億本を突破し、「世界で最も売れたゲーム作品」としてギネス世界記録に認定されたメガヒットゲームだ。その初の映画版となった『マインクラフト/ザ・ムービー』は、若年層やファミリー層を中心に、強い訴求力を発揮。ジャック・ブラック、ジェイソン・モモア、エマ・マイヤーズなどの人気俳優の出演や、若者を中心としたSNSなどでのバイラル効果もあって、わずか2週間で約7億ドルの興行収入を獲得。先に大ヒットを果たした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023年)とともに、大きな記録を積み上げている。