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音楽家・小瀬村晶が、初めて「伝えたい」と思ったこと。子どもたちや未来のために

2025.7.16

#PR #MUSIC

海外レーベルとのやり取りで見つめ直した、現代の「日本らしさ」

─前作『SEASONS』はピアノを中心にした内省的な作品でしたが、今作はさまざまな「音」が加わったことで、多様な文化が混ざり合っている印象を受けました。中でも、最も大きな違いは「声=ボーカル」が入っていることですね。

小瀬村:2020年の夏にデッカ・レコードのA&Rから連絡をいただいてこのプロジェクトがスタートしたんですけど、会話の中で、「デッカに所属するアーティストたちは、それぞれの土地に根ざした音楽を作っていて、そうしたローカルな個性こそが、グローバルに発信する価値を持っている」と言われたんです。

その言葉を受け、最初に生まれたのが『SEASONS』です。日本の四季や自分の記憶にある風景、すでに失われつつある感覚へのまなざしをピアノだけで表現した、かなり内向きな作品でした。一方で次に作る作品は、より外に向けたものにしたいと考えていたんです。

─なるほど。国籍や性別、世代の違うミュージシャンが多数参加し、古今東西に楽器を用いていながらなお「日本らしさ」が漂ってくる。デッカ・レコードのA&Rが言うところの「ローカルな個性」を、強く感じる仕上がりになっているのは、そうした経緯があったからですね。

小瀬村:まさに。僕は1985年生まれで今年40歳になるのですが、世代的に欧米文化の影響を強く受けて育ちました。戦後、日本には欧米の文化が一気に流入し、それが日本的なものと混ざり合って現在の文化が形成されています。僕たちの世代にとってそれが「当たり前」でしたし、1980〜1990年代の映画音楽や洋楽からの影響は特に大きかった。外から見た「伝統的な日本」とは少し違うかもしれないけど、僕らにとって「日本らしさ」とは、すでにいろんなものが混ざり合った状態なんです。

その一方で、アジアや日本の伝統楽器に対しても、どこかDNAレベルで親しみを感じている自分もいます。たとえばお正月にしか耳にしないような音でも、聴くと心が落ち着く。そういう感覚って、多くの日本人が共有していると思いませんか?

─確かにそうですね。

小瀬村:和楽器との関わりが生まれたのは、2017年ごろでした。漫画家の石田スイ先生と『ジャックジャンヌ』というゲームを制作しているときに「和楽器を取り入れたら面白いかも」とアイデアをもらって、その過程で和楽器の奥深さや魅力を改めて実感したんです。そうした背景もあって、今回は改めて日本の伝統的な音や文化に光を当てたいと考え、琴や尺八、三味線、笙、のほか、インドのディルルバや、中国の二胡なども取り入れました。

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