グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。
8月7日は、画家の福津宣人さんからの紹介で、建築家の大野友資さんが登場。建築の仕事を請けた時にまず取り掛かることや、Instagramに投稿している公園の遊具の魅力などについて伺いました。
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建築家を志したのは、子供の頃にやっていた表現の延長線上にあったから
タカノ(MC):実は私、大野さんと知り合いなんです。お久しぶりですね。
大野:ご無沙汰しております。
小原(MC):お会いするのは何年ぶりくらいですか?
大野:多分7年ぶりくらいじゃないですかね。2018年に一緒に仕事をしたんだと思います。
タカノ:そうですね。2018年に六本木ヒルズで行われた『MY DEAR CHUNKY』というプロジェクトでご一緒しました。クリスマスカラーの巨大なニットで編まれた柔らかいオブジェで六本木ヒルズを彩る、というプロジェクトだったんですが、大野さんが設計をやり、僕は音楽ユニット「Frasco」として音楽を担当して、テキスタイルは以前番組が始まった頃に来てくれた、大江ようさんがやっていましたね。また六本木(J-WAVEのスタジオが六本木にある)で大野さんと会うとは! という感じです。東京は狭いですね。
大野:当時とはタカノさんの立場が違うからびっくりしました。当時は黙々と音楽を作る人、というイメージだったので。1日に何曲も作られていましたよね。
タカノ:音楽家兼広告の仕事をやっているような感じでした。では改めて、大野さんのプロフィールをご紹介しましょう。大野さんはドイツ生まれ。リスボンと東京の建築事務所を経て、2016年に独立されました。現在は「DOMINO ARCHITECTS」代表として様々な建築を手がけ、さらに東京藝術大学、東京理科大学で非常勤講師も務められています。まず、建築家を目指したきっかけは何だったんでしょうか?
大野:一言ではあまり言えないんですが、目指したというか「気がついたらなっていた」という感じでした。小さい頃から「表現」というか、何かを作ったりとか、色を集めたりするのが好きだったんです。あと、自然科学もすごく好きでした。物理学が1番好きなんですが、生物や地学なんかも好きで。なので、文系とか理系は関係なく全部一緒に学べて、かつ全部尖っている感じの学問は何だろうと考えた時に、建築にたどり着きました。
大学受験の時も、「美大、芸大じゃないな」とか、「でもエンジニア的な工学系すぎるのもちょっと違うな」と思って、建築を学ぶことに決めて。なんとなく、建築家と言われる人たちが、どっちもやっているイメージがあったんですよね。建築って理系の大学に行かないと勉強できないはずなのに、子供の頃にやっていたような「表現」の延長線上にあるような感じもしたんです。もちろん建築家にも色々な人がいるんですが、僕はその憧れから目指したような気がしています。
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仕事に取り掛かる時にまず行うのは、クライアントとの散歩
タカノ:建築家の方って仕事のオファーが入った時に、何から手をつけ始めるんですか?
大野:僕は割と応答型というか、自分でやりたいことがあるというよりは、クライアントの方々が面白ければ面白いほど、その人たちと一緒に何ができるかを考えるタイプなんです。なので、最初にクライアントの方の観察やリサーチから入りますね。 その人たちが持っているポテンシャルの観察だったり、その方々はどういう場所に興味があるのかを、一緒に散歩したりしてフィールドワークをして集めます。例えば、いきなりUFOがポンと現れてすごいだろうというよりは、その人たちの文脈と僕の持つ文脈が合わさった交差点みたいなものを作りたいと思っています。
タカノ:クライアントの方と一緒に散歩をされるんですか?
大野:建物を建てる敷地の周りにどういうものがあるのかを見たりするんです。歩いて近づいた時に、その場所がどういうふうに見えてくるのか、車で近づいた時だとどうかとか。あとは日当たりや風向き、実はこういう木が生えているとか、現地でゆっくり歩いてみてわかることが多いので、机の上でのリサーチをしてから、現地に行って結構歩きますね。
タカノ:大野さんは散歩が好きだという話を聞いたんですが、趣味としてもお好きなんですか?
大野:散歩が好きというよりは、状態として散歩していることが多いという感じですかね(笑)。どこかに行く時には歩いて行きたいし、周りをぐるぐる回ってから目的地に着くようにしています。色々歩いていると楽しいことが多くて、本当にお金のかからない趣味だなと思います。道端に咲いている花だけでも、1時間くらい妄想できるんじゃないかと思うほどです。
タカノ:小原さんも散歩がお好きですよね?
小原:散歩はすごく好きでよくするんですが、道端の花で妄想はしたことがないですね。
大野:結構できますよ。「この草食べられるだろうな」とか「何でここに種が飛んできたんだろう」とか。
小原:フィールドワークの観点でも面白く散歩できるんですね。
大野:「お金持ちが多い住宅街に生えている道草は、ベランダから種が落ちてきて、実は高級な花が咲いているんじゃないか」とか(笑)。結構地域性があるんじゃないかなと思います。
タカノ:想像力を働かせるのが面白いですね。
小原:知識の発射台があると、見えないものが見えるようになるんですね。
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世界中で公園の遊具を撮影して、Instagramに投稿している
タカノ:大野さんのInstagramがすごく面白くて。世界中の遊具の写真を投稿されていますよね。
大野:10年くらい前から遊具の写真をずっと集めているんです。
タカノ:10年間も集めていらっしゃるんですね!
大野:ドイツに旅行に行った時に、町を歩いていたら、いっぱい公園があることに気がついて。 よく見てみたら1個1個の遊具がなんだか面白くて、あまり見たことがないユニークな遊具がたくさんあったので、ポケモンを集めるみたいに集めていたら止まらなくなったんです。それが今でも続いていますね。公園の遊具って、全然被らないんですよ。もちろん「これ見たことあるな」と思う遊具もいっぱい出てくるんですけど、行く先々で見たことのない形の遊具を見つけるとすごく楽しいんです。
小原:Instagramでは、「ここが可愛いです」とか一言コメントを添えて投稿されているじゃないですか。「確かにここがいいな」と大野さんの目線に共感しながら写真を見ていて、遊具と近くなれました。
タカノ:あの遊具の投稿をぜひ書籍化してほしいですね。
大野:あまり考えていなかったですが、もしいっぱい集まったらぜひ。
小原:ちょっとミニマムな本だといいですね。蛇腹の形状の本とか似合いそう。
大野:終わらせたくないという気持ちがあるので、増やしていけるといいなと思っています。本にすると終わってしまう感じがあるので、ずっと続いていけるようなフォーマットを探しているんですよね。それでとりあえずInstagramに載せているんですけど。
タカノ:大野さんのInstagramを皆さんぜひチェックしてみてください。そして、大野さんからお知らせがあるんだとか?
大野:東京ミッドタウン内にあるギャラリー「21_21 DESIGN SIGHT」で、8月31日(日)まで一般公開される展示『GOOD PRINTER』(現在は終了)の会場構成を担当しています。
タカノ:『GOOD PRINTER』はどんな内容ですか?
大野:「GOOD GOODS ISSEY MIYAKE」というチームと、「nomena」というエンジニアの集団が一緒に作り上げた展示です。ギャラリーの空間全体がプリンターになっていて、機械が自分で操作して、真っさらな生地に色々な色をプリントしていくんです。入場料も無料なのでぜひ。
タカノ:皆さんぜひ『GOOD PRINTER』に足を運んでみてください。「FIST BUMP」、今日お迎えしたのは、建築家の大野友資さんでした。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann