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NEWS EVENT SPECIAL SERIES

画家の福津宣人は、いいと思った景色のコンディションを描くために模様を用いる

2025.8.15

#ART

グータッチでつなぐ友達の輪! ラジオ番組『GRAND MARQUEE』のコーナー「FIST BUMP」は、東京で生きる、東京を楽しむ人たちがリレー形式で登場します。

8月6日は、アーティストの遠藤治郎さんからの紹介で、画家の福津宣人さんが登場。映像クリエイターから画家に転身したきっかけや、絵を描く時に模様を使う理由についても伺いました。

チームでの制作よりも、個人的な物語を自分で紡ぐことに興味があった

タカノ(MC):福津さんは映像クリエイターとして活動されていたとお聞きしましたが、今は画家として活動されているんですね。

福津:そうですね。最近は絵を描くだけで生きています。

タカノ:様々な模様を使った、独自の絵画様式を用いているということで。まず、映像クリエイターから画家になった経緯を教えて下さい。

福津:仕事をしている中で、本当に自分自身が求めていることが見い出せなかったんですよね。自分がこの世界についてどう思っているのかを感じ取るにはどうしたらいいのか、ということを集中して考えたいというのが、1番大きな理由でした。あとは、僕自身が絵を見て、絵っていいな、と思った瞬間があって。

タカノ:もともと絵は描かれていたんですか?

福津:仕事をしている間も、絵は描いていました。30年前ぐらいにニューヨークに行ったんですが、その頃のアートの世界は、現代美術と言われるような、インスタレーションとか、ものすごくコンセプトと密接に繋がっているような作品が多く出てきた時代なんです。そういうものも好きだったんですけど、ただただ、ペインティングを見た時に、ぐっときちゃったんですよね。

タカノ:作品を見て、それで自分も絵の世界に、という。

福津:そうですね。もちろんコンセプチュアルな絵とかもいっぱいあったわけですが、僕自身がすごく惹かれたのは、「この人、なんでこれを描いたんだろう」という、ものすごく個人の話に特化しているような作品で。それで、やっぱり絵っていいな、この作業をずっとしていきたいな、と思ったんです。そういう経験も、画家になったきっかけの大きな部分かもしれないです。

タカノ:やっぱり映像よりも、絵の方が自分としっかり向き合う感覚が強いですか?

福津:強いですね、絵ってすごく制約のある表現だと思うんですよ。目の前にあるところに何かを描いていく。その制約の強さみたいなものによって、逆にその場でものすごく個人的なことで自由でいられるというか。外的なものが色々あると、自分のことにフォーカスしづらいというのはあると思います。映像だとスタッフが沢山いるので。でも、チームで作ることもすごい喜びだと思うんです。ただ、僕自身はその喜びよりは、個人的な物語を自分で紡ぐということに興味があったのかもしれない。

mikako(MC):自分との1対1の対話みたいなことですね。

福津:そうですね。

いいと思った景色のコンディションを表現するために模様を用いる

タカノ:福津さんの作品を拝見しているんですが、模様がすごいんです。こういう作風に行き着くまでにはどういうプロセスがあったんですか?

福津:僕は、自分で見た景色を描いているんです。この景色いいな、と思って景色を描くんですけど、「その景色が良かった理由はなんなんだろう?」ということをよく考えるんですね。僕がいいと思っているのは、例えば、ここに誰かがいて、ここにこういう木があって、こういう枝ぶりで、ということではなくて、その場所がどういうコンディションだったか、ということに近いなと思うんです。

タカノ:コンディションと言うと。

福津:空間としてどういう状態だったか、ということですね。温度がどれくらいだったのか、風がどのくらい吹いていたのか、どういう匂いがしたのか。景色を見る時って、集中してどこか1点を見ると周りが見えなくなって、その場所がどういうものであるかよりは、それがどういうものであるか、この人がどうであるか、という方にフォーカスしませんか?

タカノ:確かにそうかもしれないですね。

福津:なので、焦点を合わせないで、均一に全ての要素をぼんやりと見ているような状況の方が、その場所がどういうコンディションであるかというのを感じ取りやすいと思うんです。で、その感じをどうしたら表現できるんだろうと考えて行き着いたのが、模様を使うことでした。

タカノ:そうなんですね。

福津:はい。この技法って、上手く描けないんですよ。ちゃんと人を描こうと思って、どんなにこの技法で努力しても、決してフォルムは生まれてこないんです。そういう不自由さがあることで、本質が見えてくるというか。実際に自分が感じていたものはどういうものなんだろう、ということに触れられる気がしたので、模様を使っています。

タカノ:面白いですね。そういう風に世界を捉えたことが今までなかったので、新しい視点をいただいた気がします。きっと福津さんが今見ているこのスタジオの風景も、我々と違うかもしれないし。

mikako:空気とか匂いに色が見えたりするんですか?

福津:実際に見えているかどうかは別として、感覚としてはあります。

mikako:じゃあここの空気は何色だから、例えば次の作品でここを描くとしたら、この色を使おうみたいな。

福津:そうですね、そういうのはあります。その関係性について、常に考えているからというのもあるとは思いますけど。例えば桜の木を描く時も、その時には花が散っていても、必ずその木の幹に、花と同じ色を使うようにしているんです。そういうことの積み重ねで、隣にあった小さい雑草の黄色い花の黄色が、必ずここの桜の木の幹に反映されているだろうな、とか。そういうことは常に考えているかもしれないです。

タカノ:福津さんの作品を実際に目にする機会というのは、近々あるんですか?

福津:まだWEBサイトなどで告知が出ていないのですが、六本木ヒルズのミュージアムショップで、8月29日(金)から、ZINEなどの展示と販売のイベントがあるんです。そこで、絵画作品を2点ぐらいと、あとは自分で作った、あまり普段は展示で人に見せないような絵を集めた小さい本を売ろうと思っています。

タカノ:いいですね、タイムリーですね。

福津:そうなんです。ちょうどこのお話をいただいた時に、ちょうどいいなあと思って(笑)。

mikako:素晴らしい。

タカノ:詳しい情報は、福津さんのSNSなどを皆さんにチェックしていただければ。

福津:そうですね。そのうち多分、六本木ヒルズのミュージアムショップの方でも情報があがると思います。

タカノ:こちら要チェックです。さあ「FIST BUMP」、グータッチで繋ぐ友達の輪ということで、お友達を紹介してもらっています。福津さんが紹介してくれるのは、どんな方でしょうか?

福津:建築家の大野友資さんです。

タカノ:知り合いです(笑)。

福津:そうですか!

タカノ:昔一緒に仕事したことがあるんです。しかも六本木ヒルズで。

mikako:すごい。ご縁がありますね。

福津:明日も、六本木にいるんでちょうどいいですって言っていました。

タカノ:久しぶりに会えるのが嬉しいです。こういうミラクルが起きるんですよ、「FIST BUMP」って。東京は狭いですね。ありがとうございます。

mikako:明日は、建築家の大野友資さんに繋ぎます。

タカノ:ということで、「FIST BUMP」、本日は画家の福津宣人さんにお越しいただきました。ありがとうございました。

GRAND MARQUEE

J-WAVE (81.3FM) Mon-Thu 16:00 – 18:50
ナビゲーター:タカノシンヤ、Celeina Ann

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